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とある女教師の日記

○月×日 晴れ

 今日は朝から学長に呼ばれ、アンリエッタさんを連れてくるよう言われました。

 彼女はこの世の物とは思えないほど美しいけれど、この世の物とは思えないほど性格が悪い。

 特定の生徒にイタズラをしているので、その事で呼び出されたんじゃないかと思います。

 ここは決してただの学び舎ではなく、処罰の中に処刑も含まれている特殊な学園。

 学長からはすぐに部屋を離れるように言われているので、もしかしたらアンリエッタさんは処刑されるのかもしれません。そこまで酷い事をしたのかしら。

 彼女を迎えに行くと、随分とスッキリした顔をしてました。学長室へ向かう間も聖女の如く穏やかな表情だったので、もしかしたら悟っているのかもしれない。

 可哀想になりましたが、まだ処刑と決まった訳ではありませんし、学長の言いつけ通りアンリエッタさんを学長室へ送ってすぐに退出しました。


○月×日 曇り

 今日アンリエッタさんが廊下を歩いている所を数週間ぶりに見かけました。

 処刑されなかったようで、安心です。やはり、自分の知っている人が死ぬのは心苦しい。

 ただ、彼女の歩く姿は、何かに怯えているような、逃げるような小走りだったのが気になります。


○月×日 晴れ

 特定の男子生徒に生傷が絶えません。喧嘩でもしているんでしょうか。本人に聞いても、ハッキリとした答えが返ってきません。まさか、いじめがあるのかしら。


○月×日 雨

 最近男子生徒のほとんどが、どこかしら怪我をしている状態です。あまりにおかしいので、学長に報告しました。

 学長は「元気があっていいじゃないか」と笑っていましたが、そう言う問題ではない気がしています。

 そう言った学長にも傷があるような……。


○月×日 雨

 今日、男子生徒がアンリエッタさん跪いて縋っている姿を見てしまいました。それも複数人から。彼女は必死に逃げて行きました。遠巻きにされている事が多かったのに、何があったんでしょう。


○月×日 曇り

 夜な夜な山の方から変な声が聞こえるとの噂を耳にしました。女子生徒が怖がっている旨を学長に伝えましたが、相手にしてもらえません。

 明日辺り、怖いけど一人で行ってみる事にします。





○月×日 曇り

 あまりの事に驚いて昨日は日記を書けませんでした。

 勇気を出して、夜に山へ行ったのですが……仮面を付けて水着の様な露出した服を着た網タイツの女性が、複数の男子生徒をいたぶっている所を見てしまいました。大問題です!

 でも、その男子生徒は嫌がっているわけではなく、その、なんというか……。

 今日その生徒に話を聞こうとしたところ、動揺して逃げてしまいました。


○月×日 雨

 学長から呼び出しがあり、夜の山には近寄らないよう注意されました。

 あそこで夜な夜な、一体何が行われているのかしら。。。


○月×日 晴れ

 やっとアンリエッタさんと話す事ができました。彼女は少し困惑しながら、相談に乗ってほしいと申し出てくれました。夜の山も気になってますが、アンリエッタさんが男子生徒に追いかけ回されているのも心配してたので、頼ってもらえて良かったです。

 明日の夜、話を聞く事になりました。




***********




 「先生、そろそろお時間ですよー」


 軽いノックの後、ドアの外からアンリエッタさんの声が聞こえました。


 「今行きます」


 読んでいた日記帳をパタンと閉じ、引き出しにしまう。もう書き込む事はないでしょう。

 この日記を書いていた時の私は、こんな事になるなんて思っていませんでしたが。


 ドアを開けると、アンリエッタさんが私を見て、形の良い眉を顰めました。


 「先生、なんか凄い事になってません?」


 そんなに変かしら。改めて自分の服装を見る。


 「新調したのだけれど、似合わないかしら?」


 そう言うと、アンリエッタさんが呆れた顔をしました。なぜかしら。


 「いや、似合わないというか、それもう紐じゃないですか」


 確かに紐に近いですが、服と言える程度には隠れているはず。ギリギリですが。


 「うーん、さすがにこの服で校内をうろつくわけには行きませんね。道中はコートを羽織ります」


 部屋の中へコートを取りに戻ると、机に忘れ物が。危ないところでした。


 「さぁ、行きましょうか」


 私は机から少し改造した玩具を手に取って、ドアに向かいます。


 「今日はどんな子豚ちゃんたちが待っているか、楽しみですね」


 アンリエッタさんに笑いかけると、彼女は苦笑しました。


 「先生って、真性のドSですね」


 「あんな素敵な遊び、今までしなかったのがもったいないくらいよ。さぁ、早く行きましょう!」


 そう言って新しい鞭を手に、高鳴る鼓動を抑えつつ裏山に向かったのでした。

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