2537話 狂人思考
【アイン=ソフ=オウル】個体の大体の能力が【リフレクトミラーディフェンダー】と【トランポリン守兵】お嬢様から聞けたわけだが、ざっくり言うと厄介なのは視界妨害の光と継続回復能力らしい。
当然能力はそれだけじゃないんだろうが、要点としてここを聞けただけでもヨシとしよう。
とりあえず継続回復能力がある以上、それを上回るくらいの攻撃力でじわじわと攻撃し続けるか、一転突破の破壊力でなぎ倒すかの二択しかない。
少なくとも、スリップダメージ頼りの戦術はほぼ通用しないわけだ。
こちら側のプレイヤーにタンクプレイヤーが二人いるから、本当はチマチマと持久戦を仕掛けたかったんだがそれが出来ないとなると既に目算が崩れてしまっていることになる。
……この状況、本当に勝てるのか?
当事者ながらつい遠い目をしてしまうほど戦況は絶望的ってわけだ。
あーあ、ここに【ランゼルート】でも居てくれたら継続回復能力すら余裕に突破して一撃で大ダメージを与えてくれるだろうに……
「無い物ねだりしても仕方ないわよ!
私たちは私たちでできることをやるだけ!」
おっ、【リフレクトミラーディフェンダー】もたまには建設的な意見を言うじゃないか。
見直したぞ!
「何よその口振りは!
むかつく~!」
……そんなコントみたいなやりとりをしながらも【リフレクトミラーディフェンダー】はきっちり光の反射をしてくれている。
世界剣種を保持しているだけあって、ただ口だけのプレイヤーじゃないのは知っていたが、侮れないなぁ……
「【包丁戦士】様、そろそろ攻撃をお願いしますわ!
その役目はここにいるメンバーの中でも【包丁戦士】様にしかお願いできませんでしてよ?」
【トランポリン守兵】お嬢様が俺に催促してきた。
さっきまで結構フォローしてくれていたが、流石に早く攻めて欲しいということなのだろう。
そろそろやるかぁ!
スキル発動!【魚尾砲撃】!
俺は補助のことを一切考えず、極太レーザー……ではなく毒球バージョンの深淵スキル【魚尾砲撃】を放っていった。
ぶっちゃけ俺に一撃突破できるスキルはない。
だからこそ着実にこのスキルを選んだわけだ。
極太レーザーを当て続けるのも悪くはないんだが、まずは少しでも継続回復能力に拮抗させるために毒状態を蓄積させていくぞ!
「あえて持久戦になったときの対策からされるのでして?
さきほど持久戦はしないようなことを仰られていたような気がしますわ」
「矛盾しているじゃん!
どういうことよ!」
いやいや、現実問題俺たちに一発で突破できる火力がないんだから少しでも継続回復能力に拮抗できる要素は保険としても入れておくべきだろ!
「現実的思考ですわね……
【包丁戦士】様が急にドライな考え方になるのが相変わらず読めませんわ……
思考のスイッチがワタクシたちとは違いましてよ……」
「やっぱり狂人よね……
プレイヤーキラーかどうかは置いておいて、考え方のツリーが多分違うね」
散々な言われようだが、そりゃ考え方には人それぞれの方向性があるだろ?
相手の考えていることなんて分からない……っていうのはざらにあることだしな!
俺はそう二人に対して反論してみるが、結果は芳しくなく……
「それを差し引いても【包丁戦士】様は独特過ぎるということでしてよ!
【包丁戦士】様なりの理論前提があってのことなので、他の人では考えについていけないですわよ」
「そういうことね。
他の人の考えが分からないとは別格の違いよ。
そろそろ自覚しなさい!」
……いや、まぁ、正直自覚はしてるんだが認めたくはないよな。
この事はあえて口に出さないけど。
分かっててある程度常人として振る舞ってる部分もあるし、あえて自分から口にする必要もあるまい。
この辺りの考え方からして狂人の類いなのですよ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




