2480話 聖騎士の失墜
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……っ!
さ、流石に無茶しすぎたよ。
だけれども、ここまで【天纏ナゴナ】を追い詰めたのははじめてだね。
このまま追撃を……っ!」
【天纏ナゴナ】へさらなる攻撃を加えようと剣を構えた【ランゼルート】だったが、その瞬間に体勢が崩れてしまったようだ。
「くくく、身体が限界を迎えているようだ。
致命的な隙を見せたな。
朕がとどめをさしてやろう、【美徳ー純潔の爪戟】!」
【ランゼルート】が体勢を崩したのを好機と見た【天纏ナゴナ】は再び美徳【生樹技能】の【美徳ー純潔の爪戟】を発動させてきた。
斬撃系の攻撃を再現して使ってくる【生樹技能】だが……
「があぁっ!?
……このタイミングで反撃を受けるとはね。
そこまでの致命傷で、まだ動ける……なんて、ね……」
「それはお互い様であろう。
【ランゼルート】よ、なぜ上半身だけになった今でもまだ生存しているのだ……?」
【天纏ナゴナ】が指摘した通り、【ランゼルート】は腹部を真横に切り裂かれてしまい下半身が地面に墜落していってしまった。
光の粒子が急激に漏れ始め、【ランゼルート】が死に戻りするまで秒読みだろう。
「【包丁戦士】の言うように消えるまでの猶予があるだけさ。
でも、消えるまでにまだ出来ることがあるよね。
さぁ【包丁戦士】、前に君が見せてくれた死に損ないの有効活用方法を僕で試すといいよ」
【ランゼルート】はそう言ってきたが、死に損ないの有効活用方法……?
前にってことは……そうか!
あれだな!
【ランゼルート】、お望み通り正真正銘……俺の本気を見せてやるよ!
スキル発動!【夢幻深淵】!
俺がスキルを発動させると夢幻エネルギーと呼ばれるミチのエネルギーと深淵の力が同時に膜のように俺の身体に張り付き始めた。
そして俺は鍵穴へと走り抜けていく。
鍵穴の中に入ると四方八方が真っ暗で何も見えない空間が広がっていた。
そして、今の俺ではここから身動きが取れないようになっているようだ。
さらに、俺の身体に張り付いていた夢幻エネルギーと深淵の力が俺の内部構造を書き換え始めた。
俺の身体に纏わりついた深淵の霧が体内構造を変化させながら、俺の新たな服装となる。
俺の装備は黒色が基調で、赤色のラインが入ったセーラー服となった。
これは内部情報の性質を考えなければコスプレのようなものだろう。
そしてその後には、俺の背後には紫色の瞳のような形をした羽のようなものが左右に合計12枚出現した。
ルル様の翼と違い俺に直接生えるのではなく、背後に浮かぶ形だな。
最後に、俺の包丁にも変化があったようだ。
銀色の鍵……【失伝秘具】の【夢幻銀鍵】を刀身へと取り込むと姿を大きく変え始めた。
包丁の鍔には六匹の狼の頭が現れ、刃を呑み込もうとするかのように威圧感をしてしている。
柄には毛皮がびっしりと生え、末尾には六本の茶色の尻尾が生えた。
これが俺の最強フォームだ!
【ランゼルート】に残されたリソースを食らい尽くして強化された特別版でもあるぞ!
前は【キズマイナ】と【キョズコロン】を生け贄に捧げて成立させたわけだが、【ランゼルート】の場合はその二人を生け贄に捧げたよりもさらにグレードが高いものになっている。
「これが底下箱庭側の最終手段ということか。
弱肉強食を体現したかのような生け贄に、強化……
その力がどの程度か朕に見せてみよ!」
言われずとも存分に見せてやるさ!
スキル発動!【フィレオ】!
そして繋げてスキル発動!【暴食狂姫】!
【スキルチェイン!】
【【暴食狂姫】【フィレオ】】
【追加効果が付与されました】
【デメリットは発生しませんでした】
【連鎖発動【暴食斬魚】!】
俺のチュートリアル武器である包丁が全てを斬り食らい尽くす斬魚のオーラを纏い、周囲に残った【ランゼルート】の残滓や【天纏ナゴナ】がこれまで放った【生樹技能】を食らいながら【天纏ナゴナ】へと向かっていく。
くらいやがれえええええええ!!!!!
あとは、任せた、よ……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




