2400話 仮想的と断絶の排除
俺、【霧咲朱芽】は【株式会社幽刻修験堂】の本社へと足を運んでいた。
毎度毎度のことだが、特別枠での会社勤めという扱いになっているので普段は出勤せず自由に行動していればいいのだが、召集がかかれば強制的に来なければいけないのだ!
「やあやあ、今日もご苦労様。
この【山伏権現】の召集に応じてくれて嬉しいよ」
俺たちの前に現れたのはゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】だ。
山伏のような姿とサラリーマンのような姿をまぜこぜにしたカオスな見た目のやつだ。
基本は山伏衣装なんだが、ネクタイをしていたり、キッチリメガネをキメて、髪は七三分の状態でワックスで固めている。
「【カニタマ】の討伐お疲れ様だったね。
やっぱりといったところだけれど、元々ボトムダウンオンラインに仕込んでいたギミックをほとんど使われなかったよ。
代わりにこの【山伏権現】の認知していない、許可していないギミックばかり使用してきていたのが『面白』くないね。
ただ、それを上手く対処する【霧咲朱芽】君の動きは『面白』かったよ」
まぁ、自分のゲームをむちゃくちゃにされていたら面白くないよな。
それを捌き返すのは爽快だろうけど。
「そして俺はきっちり成果を持ち帰ってきたぞ!
お前の解析してみたかったのはあの【海溝異本】だろ?」
「その通りだとも」
俺と【山伏権現】の前には3Dで浮かび上がる俺のアバターと、所持している【海溝異本】だった。
俺がここにいるから疑似ログインした状態でアバターを操作出来るわけだな。
当然こんな技術や設備は一般家庭には置いておけないんだが、ここは大企業だからな……
こういう機材も置いておくことが出来るわけだ!
「これはテクノロジーの違いを感じるね。
今、この世界に存在している技術で作り上げられるシステムではないよ。
明らかに外部からの干渉を受けている。
それが異世界なのか、或いは別次元なのか、位相が異なるのか……
それは解析をしてみないと分からないけれど、今こちらにはこのテクノロジーに抗う術が泥臭い地力以外ないからね。
特にこの【山伏権現】が認知していないテクノロジーでプレイヤーたちを強制ログアウトさせたのは遺憾だよ」
実際、強制ログアウトもそうだが他にも【アキカゼ・ハヤテ】や【ウルウシンバー=|◉〻◉)=サハギン】、そして【絶深海溝の異旧外主】もやってきた特殊行動が向こう側のテクノロジーってやつなんだろうな。
「それでどうするんだ?」
「そうだね。
【霧咲朱芽】君に依頼した【カニタマ】の討伐は果たしてくれたからね。
次はその影響で解放された【世界剣獣】の【アトラ】を倒してもらおうかな。
どちらにしても影響を取り除かないといけないものだったんだけれど、誰も【アトラ】に当たらなかったことから見て【カニタマ】を倒した者だけに解放されるように遭遇自体にプロテクトがかけられていたのかもしれないよ。
結果論にはなるけれど、世界剣樹の攻略だけを進めていたら状況的に詰んでいたかもしれない。
それを考えると包丁次元での並列攻略は最適解だったようだね。
実に喜ばしい結果だよ」
なんか【山伏権現】に誉められたな……!?
「とはいえ、俺一人で【アトラ】を倒せるかと言われると微妙なんだよなぁ……
中々しんどい気がするんだが……」
「何を今さら。
【霧咲朱芽】君なら打倒は確実だとこの【山伏権現】は確信しているよ。
むしろ、君が成し遂げてくれなければ我々は先に進めないのだから、討伐は命令とも言えるだろうけど」
「仕事でレイドボス討伐を頼まれるっていうのも妙な気分だが、開けるための鍵を俺しか持ってないなら業務命令にもなるよな。
ボトムダウンオンラインとしてのストーリーが止まるわけだし」
「その通りだとも。
この【山伏権現】は所謂理不尽と世間一般に呼ばれるものを押しつけることはあるが、不可能を押しつけることはしない。
だからこそ、【霧咲朱芽】君にやってもらう他ないんだよ。
この底下箱庭計画を遂行する上で、重大なエラーは無くしておきたいところだからね。
……それとは別に、ガーデンバトルの方も首尾よく頼むよ。
仮想敵は邂逅箱庭だけではなくて、天昇箱庭も同様だからね。
三つ巴ということを忘れてはいけないよ」
くそっ、やることが多いな!?
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
2400話到達です!
ありがとうございます。




