200話 怪盗紳士
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は、あれからも色々と【バットシーフ】後輩のabilityについて検証考察を重ねてみたが、中々ゲテモノっぽいムーヴができるようになったのでお開きになった。
今日は、【槌鍛治士】から【バットシーフ】後輩を連れてこいって言われたから、あの暑苦しい鍛治場に行こうと思う。
そろそろあれが出来た頃だな。
というわけでやって来ました草原エリアの鍛治場。
その奥に入っていくと、ガチムチのおっさんが腕を組んで仁王立ちをして待ち構えていた。
ポーズと体格の関係でめちゃくちゃ威圧感あるな……
「おう、ようやく来たか【包丁戦士】とその後輩!!!」
俺たちを出迎えた【槌鍛治士】はいつもと変わらない暑苦しさだ。
この暑苦しさが今や癖になりつつある自分が少し怖いが、俺の相棒だからそれくらいの包容力くらい持ってもらわないと困るので案外ちょうどいいのかもしれない。
「あっ、俺っち2つ名ゲットしたッスよ!
これからは【バットシーフ】って呼んで欲しいッス!」
「悪い泥棒……というわけではなさそうだな!!!
バッドではなく、バットか!!!
語感が面白い2つ名になったのう!!!」
言われてみるとそうだな。
シーフにバットか、軽く流していたが聞き間違えるとトンでもない2つ名に誤解されそうだ。
注意させないとな。
「窃盗が得意と聞いておったから、なんとなくだが盗賊関係の2つ名になるのは予想しておった!!!
というわけで、ワシが【バットシーフ】後輩に作った装備はこれだ!!!」
そう言って俺たちの前に装備を持ってきた。
あー、なるほど。
これは確かに2つ名とマッチした装備だな……
この装備をつけたら、いかにも盗人って感じの見た目か、小綺麗なやつってイメージになるだろう。
おい、【バットシーフ】後輩、せっかく作ってくれたんだ。
さっさと着替えたらどうだ?
「これ着ていいんッスか?
俺っちが着るにはきちっとし過ぎているような……あれ?
これは……俺っちが着やすいようにしてくれてるッスね!?
これなら安心して着れるッス!」
なんか【バットシーフ】後輩は一人で困惑して、一人で気づいて、一人で安心している。
そんな後輩を、忙しいやつだなと俺と【槌鍛治士】は生暖かい目をして見守る。
どんなゲームでも一番始めに手にいれた装備っていうのは感動するものだ。
これくらいは満足するまでは待ってやろうと思う。
俺の装備しているマントやリボンを【槌鍛治士】からもらった時にも、ああやって驚いたり感動したりしたものだ。
だからこそ、今でもあの時の装備のままで戦い続けている。
「別に他の装備に変えてもいいぞ!!!
だが、気に入ってくれているならば、無理強いはせんがな!!!」
【槌鍛治士】はそういうやつだ。
こいつなら、今手にはいる素材を使えば更に高性能な装備を作れるだろう。
だが、この【槌鍛治士】はそれを使うように強制してこない。
熱いが、優しいやつでもあるってことだ。
そんな俺の装備について懐かしみながら話していると、【バットシーフ】後輩の着替えが終わったようだ。
「どうッスか?
似合うッス?」
俺の前に現れた【バットシーフ】後輩は頭にシルクハット、スーツのようなスラッとした服という今までのタンクトップ姿とはうって変わって、しっかりとした服装だ。
装備の色は、岩山エリアの三本足カラスの羽を使ったからか艶のある黒色に仕上がったようだ。
闇夜に潜む怪盗紳士と言ったところか。
だが、そんなしっかりした服をきちっと着こなしている後輩に俺は感心した。
「ありがとうッス!
ただ、【槌鍛治士】先輩の配慮のおかげッスよ。
これを見て欲しいッス!」
そう言って、装備のイロイロナところを見せてきた。
まず、シルクハットの中にはヘルメットが仕込まれていた。
ただのシルクハットよりも頭を守れるだろうし、まさかシルクハットの中にヘルメットがあるなんて相手も思わないだろうから意表を突けるだろう。
それと、スーツもじっくり見てみると作りが野球のユニフォームを意識したものになっている。
戦闘するというのなら、ただのスーツよりも運動を意識したものに近づけたのだろうな。
この機能性を装備に持たせたのはたしかに凄い。
「それだけじゃないッスよ!
俺っちがリアルでも着ているものに近いから違和感がないんッス!
だから、自然に着れてるッス!」
そうか!
こいつは野球部員だから、見た目が少し違っても着心地が野球セットだからいいのか!
そんな装備を作り上げてしまう【槌鍛治士】……なんて恐ろしい腕前の持ち主なんだ……
流石は俺の相棒だ!
「て、照れるのう!!!」
照れているガチムチおっさんはもじもじしているが、そんな姿は誰にも需要がないぞ!
うへぇ……
怪盗……これ以上私の庭を荒らすのは止めてください。
【Bottom Down-Online Now loading……】
とうとう200話突破しました!
毎日投稿でここまで続くとは思ってなかったので、ビックリしています!




