201話 ライバル登場!
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
「おや、ようやくログインしてきましたか。
今日からイベント限定の初心者ダンジョンが解放されます。
辛うじて引き込めた新人プレイヤーに精々頑張ってもらうといいでしょう。
底辺種族がどこまでやれるのか高みの見物といきましょうか」
ログイン早々に声をかけてきたのは【菜刀天子】だ。
相変わらず上から目線の物言いで、むしろ安心してしまう自分がいる。
そうか、今日から初心者ダンジョンが現れるのか。
とりあえず【バットシーフ】後輩に装備の支援をしたり、abilityのストックを補充させたり最低限だがバックアップはしたつもりだ。
そのタイミングでイベントが本番になるのならちょうどいいな。
じゃあ、さっそくイベントダンジョンに行くように指示出しておくか。
「待ちなさい!
まだイベントの詳細を伝えていませんよ。
今回のイベントでは攻略者としてダンジョンに突入できるのは第3陣プレイヤーだけです。
そして、クラン1つにつき1人選出してイベントに参加させることになります。
ですが、マスコット枠としてクランのリーダーが一緒に入れます」
あっ、1人だけなのか。
それならちょうど良かった……
マスコット枠ぅ?
なんだそれは?
「原則、ダンジョンのモンスターにダメージを与えられないという制約がついた上で初心者プレイヤーに同行できます。
そして、敵モンスターからの攻撃はすり抜けます。
なので、このダンジョンの中で、劣化天子である【包丁戦士】は近くでアドバイスするだけのゴースト的な存在として生きることになるのですよ」
初心者プレイヤーを引き込もうと必死になっている運営の秘策か。
いきなり右も左も分からない戦場に投げ込まれるだけの初心者プレイヤーは、なにもできずに死に戻りするのがオチだからな。
だが、近くで経験豊富な先人がいれば話は別だ。
俺たちはこのゲームで人権がないからこうやって、唐突に駆り出されても文句を言う権利すら与えられていない。
だからこそ、システム的なサポート役としてこきつかおうって魂胆なんだろう。
流石汚い。
だが、俺も【バットシーフ】後輩の近くでアドバイス出来るのはラッキーだと思っている。
あいつ、器用ではあるが頭が少し足りてないからな。
その頭を俺が補ってやれるのなら活躍させられるだろう。
「そういうことです。
精々接待することですね」
よーし、そうと決まったらダンジョンに突入だ!
「先輩!
人がめっちゃいるッス!」
というわけでやって来ましたイベントダンジョンの入り口!
このイベントダンジョンは新緑都市アネイブルの端にある空き地にぽつんと出来ていた。
その空き地には人がごった返すほどいる。
このダンジョンに挑めるやつ以外にも、クランメンバーが応援に来ていたりしているのだろう。
ここまでプレイヤーがいると腕が疼きはじめるが、今日は抑えるのだ……抑えるのだ……
「【包丁戦士】の後輩の初陣ということでワシも応援に来たぞ!!!
ワシの装備を活かして頑張ってくれ!!!」
「頑張るッス!」
【槌鍛治士】はその熱い熱意を後輩へと注ぎ込んでいる。
それだけやる気があれば頑張れそうだな。
「いや~、私はあんなことくらいしかできなかったですね……
クランメンバーとしてはもう少ししてあげたかったですけど、私の力も存分に使ってあげてください!」
「アイドルのボマード先輩の声援があれば百人力ッス!」
調子がいいやつだ。
【槌鍛治士】のときよりもいい返事してるし、女子には甘いな。
そんなクランメンバーとの団欒を過ごしていると、【バットシーフ】後輩に後ろからぶつかってきたやつがいた。
「あら、失礼しましたわ。
……あなた様は【包丁戦士】様のクランメンバーですこと?」
おっ、【トランポリン守兵】お嬢様じゃん!
こいつは俺のクランメンバーの新人プレイヤーだ!
ポリンお嬢様がここにいるってことはクラン【お屋敷組】の新人プレイヤーもこのイベントに参加するのか!
「そうですわy「ちょっと!」
ポリンお嬢様が俺に話そうとしていると、それを遮るように……というより俺からポリンお嬢様を守るように仁王立ちをして現れたのはボブカットの黒髪の女性だ。
つり目で、きつそうな印象というのが第一印象として残った。
長身で燕尾服を着ているので一瞬男かと思ったが、声が高めなのとよくみると胸が膨らんでいるので女だろう。
「お姉さまに気安く話しかけないでくれるかしら?
しっしっ!」
俺たちをハエを追い払うかのように手を振って牽制してきた。
うわっ、出たよこういうやつ。
「この娘はワタクシの通っている女学院の後輩ですの。
ワタクシには優しいのに、他の方には厳しい態度を取ってしまいますわ……
困った娘ですこと……」
「お姉さま、このような下賎なものたちと口をきいてはいけません!
ワタシが対処します!」
このつり目燕尾服女は間違いなくポリンお嬢様に惚れているだろう。
サイコパスレズの薫りがプンプン漂ってきているぞ!
……それはどうでもいいが、俺たちを下賎って言ったな?
その言葉俺たちへの挑戦と受け取った!
このイベントで俺のクランメンバー【バットシーフ】とつり目燕尾服女で貢献ポイントで勝負だ!
「あらっ、そんな勝負事なんて……
お互いに協力することはできませんこと?」
ポリンお嬢様がそう提言する。
ポリンお嬢様はこのプレイヤーに人権がないゲームでも死に戻りを極力避けている数少ない正常な倫理観を保ったプレイヤーだ。
だからこそ、この場が丸く収まる方法を提案したのだろう。
だが……
いーや、俺たちのプライドと誇りをかけてそいつには勝負を受けてもらう!
「いいです!
ワタシが勝ってお姉さまに近づくものを排除します!」
決まりだな!
じゃ、後は【バットシーフ】後輩、頑張れよ!
「えぇ……
当事者の俺っちを差し置いていつの間にか対決することになっちゃったッス!?」
そういうことだ!
後輩の勤めとして、いっちょ締め上げてやれ!
何せ、包丁次元最高峰のプレイヤーキラーである俺の後輩なんだからな!
「無茶苦茶ッスよ~!!!」
そんな泣き言を言っている【バットシーフ】後輩を引っ張ってダンジョンへと放り込み、俺もマスコット枠として一緒に入っていった。
プライドと誇り……それは同じなのでは?
劣化天子は2つどころか1つすら満足に持っていないでしょうに……
【Bottom Down-Online Now loading……】




