1140話 螺旋塔の掃除
【Raid Battle!】
【深淵域の管理者】
【エルル】
【???】【上位権限】【ボーダー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【深淵へ誘い】
【冒険者を堕とす】
【深き真価を見極め】
【境界に流転する】
【封印された夢想が解き放たれし時】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はルル様との交渉で無駄に精神をすり減らされたので、1日置いてから再ログインだ!
というわけでやって来ました【深淵奈落浅層ールルイン】。
この暗闇に覆われた廃墟群を探索していくわけだが、自分で移動するのは手間なので愛する我が子でも呼んでおこう。
スキル発動!【想起現像】!
来い、【キリゲー】!
【ГГГГГГГГГ!!!!!】
俺が呼び出したのは黄金の翼を持った深淵と聖獣の力を持った鳶……俺の力を取り込んで成長した【キリゲー】だ。
地道に歩行訓練を重ねたことや、時間の経過による身体への適応もあって俺を背中に乗せて移動することも可能になったのだ!
前まで歩くだけでそこら辺の廃墟に頭から突っ込んでいたというのに、本当に成長をしたなぁ……(しみじみ)。
ちょくちょくプレイヤーキラーとして活動している最中の戦闘にも出すようにしていたが、そこで蓄えたであろう経験値を活かしているのだろう。
実に微笑ましい成長だ。
そんな【キリゲー】に乗ってトコトコと廃墟の間を進んでいると、ふと【キリゲー】が道端で立ち止まってしまった。
背中から顔を覗き込んでみたが別に疲れた様子ではない。
むしろ、何かに気がついたかのような素振りでそれの気配を辿っているみたいだな。
今までならこういう場合、【アルベー】の力を俺の身に宿して力の流れを探っていただろうが、今回は【キリゲー】に任せよう。
せっかく自ら気がついたものを俺が横取りしてしまっては拗ねてしまうだろうからな!
それに、これは訓練でもある。
こうやって探索能力を鍛えておけば、俺がいない間にもし何かがあった時自己判断出来るような能力が育まれていくからだ。
そんな教育方針のため、【キリゲー】が立ち止まっても特に手を出さず見守っていく。
歩み始めたと思ったら再び止まってしまうことが多々あったし、俺の判断を仰ぐようにこっちに顔を向けてきたがジェスチャーで自分で考えるように伝えたりした。
獅子は生まれたばかりの子を深い谷に落とし、這い上がってきた生命力の高い子供のみを育てると言うがそこまでいかないにしても自力で何とかしてもらおう。
……いや、ここはすでに深淵奈落だからここにいる時点で谷から突き落とされたようなものだけど。
ここまで過酷な環境のエリアってよほどないからな……
そうしてたどり着いた場所には漆黒の螺旋塔のようなものが聳え立っていた。
俺と【キリゲー】は迷わずにその中へと入っていった。
すると、そのタイミングで俺の脳内に無機質な声のアナウンスが鳴り響き始めた。
【Raid Battle!】
【獰猛なる針犬舌】
【レイドバトルを開始します】
どうやらここには新たな深淵レイドボスがいるらしい。
だが、アナウンスが鳴り響いたもののその姿は周りになかった。
たまにあるレイドボスの領域に立ち入ることがアナウンスの条件になるタイプなのだろうか?
何はともあれ、無事に中に入ることが出来たので【キリゲー】の頭を撫でながら辺りを見渡してみると確かに色々なものが散乱していた。
これはルル様も整理を頼みたくなるわけだ。
外見は立派な螺旋塔だというのに、中身はゴミ屋敷レベルの散らかりっぷりだ。
これではこの施設を活かすことも出来ない。
リソースの無駄遣いとルル様が断言したのも頷けるぞ!
せっかくの新施設を眷属にこんな使われ方をされたのではたまったものじゃないからな!
そんなわけで俺は必要そうなものを塔の隅へ固めていき、【キリゲー】は俺が物をどかし終えた後の場所を通って地面に落ちているものを入り口から外へ蹴り出していった。
中々ダイナミックな清掃方法だが、今回は荒療治だ!
チンタラやっていてはいつまで経っても終わる見込みが無さそうなので、この場所に住み始めた【獰猛なる針犬舌】とやらには悪いが手荒に行かせてもらっている。
くそっ、やってもやっても終わる気がしないぞっ!?
【キリゲー】!
こうなったらスピードアップだ!
やれるだけやってやるぞ、うおおおおおおお!!!
ご苦労だったのぅ……
我では全て破壊してしまったであろうから、頼んでおいて正解だった。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




