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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
卒業式編
662/688

第662巻

涼しいと思うのは、自分が熱っぽいからだ。

心も身体も、今までないほどに熱を感じている。

言いたいことはただ一つ。

そのための一歩に費やしたのは3年間。

全部が全部、きっとこの一瞬のためにあったんだ。

幌はそう感じている。

目の前にいる琴子がどう思っているのかは分からない。

でも言われたいこと、言いたいことはきっと同じ。

「この桜、ずっとずっと咲き続けて、たくさんの先輩らも、きっと俺らの後輩らも同じことをここですると思うんだ」

単なる都市伝説。

それがいつしか真実となるのは、みんながそれを信じるからだ。

この桜には力があると。

だから幌もそれを信じる。

桜の花びらが少し散り、それは琴子の髪をふんわり撫でる。

「もしも良かったら、付き合ってくれませんか」

顔が赤い、幌は自覚をする。

でも琴子は桜のような色味をしている。

まるで、枝垂れ桜の色が写り込んだようだった。

「私でいいのでしたら、全力でお受けします」

一歩、長かった一歩から二歩目、三歩目はとても短かった。

「だから、これは許してね」

琴子が幌の眼前に迫る。

瞬間、世界はまるで消えたかのように静かになった。

遠くから、どこかの学校のチャイムが鳴り響く。

それは、二人きりの結婚式のように。

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