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第609巻
喫茶店は歩いて5分ほどのところだった。
3月のゆっくりと春へと向かっていく陽気の中、爽やかに歩くことができた。
「ここかぁ」
何か懐かしそうに、桜が言う。
「遠足で、ここで少し休んだのはいい思い出さ」
幌が、そんな思い出を口にしつつ、喫茶店の入り口を覗く。
数人座っているのが、見えた。
「空いてるみたい」
「そりゃ良かった。ちょいと休憩してから、またぶらつこうや」
琴子が疲れた声を出す。
実際、一番疲れているように見えるのは琴子だった。
一行は、とりあえず喫茶店に入り、少しばかり休憩することにした。