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筋肉はどうしたら良いのか

 今は六限目社会の授業中。

 この後、部活と考えると少し先走って部活のことを考えてしまう。

 前回の話し合いで漠然としたものは決まった。

 次はもっと深く掘り下げ内容を決める必要がある。


「はー。シナリオライターとかいればなぁ……」

「佐々木。次読んでくれ」

「あ……何処でしたっけ先生」

「六行目の上からだ」

「……しかし昨今では脱炭素の取り組みが盛んに行われており……」


 キーンコーンカーンコーンとタイミング良く鐘が鳴り、キリがいいところまで読み終え

得ることが出来た。

 正直脱炭素と言われてもピンとこない。

 ここからシナリオのヒントは生まれないだろう。


「おーい凛。どうしたんだボーっとして」

「いや、部活のこと考えてたんだよ。流駆、何かいい案ない?」

「突然そう言われてもな。和装で武道ってだけじゃ駄目なのか?」

「和装のアニメキャラが武道っぽいことして喋ってるだけじゃ評価されなくね?」

「俺は評価するぞ。武道の」

「それって武道やってる奴だけだよな」

「あっ……そうか。んじゃ和歌でも読むとか?」

「和歌?」

「ああ。琴宮ってすげーいい声してるから、和歌でもやればいいんじゃって思ったんだよ」

「曲だけじゃなく歌か……悪くない。和装で武道、そして歌つきの琴や三味線の曲か。武道を

演じながら歌って可能なものなのか?」

「残心ってやつだな。武道の演武ってさ。終わった節目節目に気を抜かないってのがあるんだ

よ。それで掛け声が入ったりするんだけど」

「つまり歌と演武は同調しても違和感無いってことだよな」

「恐らくな。そうすると俺が歌に合わせて演じてみないと分からねぇか」

「ああ。流駆の課題だ」

「練習してみるよ。俺パソコンいじれねーし」

「言っただろ。俺たちそれぞれ役割があるんだ。既に琴宮と阿川は共同で作業にあたっても

らってるんだ」

「まじか。絵出来たの?」

「いいや。没りまくり。阿川の奴、相当妥協しない性格みたいだ。琴宮のイメージを完全

漫画絵にしようとしてる」

「筋肉が足りないんだよ、筋肉が」

「琴宮ってそんな筋肉質か!?」

「いや、そうじゃなくて。筋肉の総量が足りてない」

「総量? ……っとそろそろ視聴覚室行かねーと」


 教室で話し込むと遅刻する。

 遅刻したら阿川に酷い目で睨まれるから急いで行こう。


 視聴覚室に流駆と二人で向かうと――あれ、嵐がまだ来てない。

 いつも一早くいるのにどうしたんだろう? 


「阿川、嵐は?」

「今日風邪で休みでしょ。あんた気付かなかったの?」

「凛は一日中ぼーっとしてたからな」

「う……参ったな。話詰めようとしてたんだけど」

「後でニームズで送っておけばいいわよ。それより流駆。絵ちょっと見て」

「ん? 出来たのか」

「違うの。あんたの言ってた筋肉ってどの辺なの? 私が女だから分からないって

いうの、悔しいけど認めるわ。幾ら力こぶとか出そうとしても全然なんだもん」

「だからそうじゃねーって。筋肉の総量だ、総量」

「それさっきも言ってたよな。どういうこと?」

「俺も医学とかで習ったわけじゃ無く、親父に言われて知ったんだけど。人間の筋肉って

内と外があるんだよ」

「それっていわゆるインナーマッスルって奴? でも見えないんだろ?」

「見えない筋肉がある部分は内側から筋肉が押し出されて少し前に出る。すべての箇所に

盛り上がる程内側の筋肉があるわけじゃないんだけどさ」

「……! もっと詳しく教えて」

「んと、だからこことここと……」

 

 何かヒントを使んだようだ。

 専門書にも書いてないのか? 

 いや、専門書って言っても医学書でもないとそんなこと書いてあるわけはないか。

 絵が好きで他の人の絵を見て描いていても、実際人間の構造を詳しく知ってるかどうか

で差が出て当然だ。

 外見だけ見て描いても指定の箇所の盛り上がりなんて人それぞれだと思ってた。

 ある程度法則性があるんだな。

 さすがは武道家を目指すものってところか。

 

「つまり、ここをこう……よね!?」

「大げさに描くとそうじゃねーの? でもこれ女の筋肉じゃねーだろ。武装ロボットかよ」

「あんたが筋肉筋肉言うからそう描いたんでしょ!」

「琴宮の絵ならもっと細くていいだろ……既に怪物じゃねーか」

「何? 私が太いって言いたいわけ? ねえそうなんでしょ?」

「あー、面倒くせー。ちょっとペン貸してみろ、もっとこう……」

「ちょ、バカ! あーあ、レイヤー敷いて無いのに。巻き戻し……あぁ。書き直しだぁ」

「でも雰囲気つかめたんだろ? 一歩進展したんじゃね?」

「逆よ逆。自分の絵の引き方からやり直さないと。感性まで遠ざかったわ」

「その分阿川の絵が上手くなるんならいいんじゃね?」

「それは、まぁ。そうだけどさ。私だって足引っ張りたくないの」

「大丈夫。絵が完成してなくても他に作っておけるものはあるから」

「マジ? 絵無くても作れるの?」

「そりゃ絵が無いとキャラ起こしは厳しいけど。幾つか動きのパターンとかは考えて

作り始めてる。そうじゃなきゃとてもじゃないけど一年じゃ終わらないよ」

「アニメの時間はどのくらいを想定して作るんだ?」

「一分から二分かな」

「たったそれだけ!?」

「おいおい。一分から二分作るのだってすげー大変なんだぞ。だからアニメ制作会社って

趣味の世界とか言われてるんだよ」

「でも凛はそっちの道に進みたいんだろ?」

「アニメ制作はもちろん最高だけど、それだけじゃ多分将来やっていけないかな。もっと

コアな技術は身につけたいと思ってる」

「ふーん。今のでも十分すげーのに。作業すんのにどの辺が大変なんだ?」

「今回声に音楽も入れるかもだろ? そうすると……コマ割りに音と声、音楽全て合わせて

入れる必要がある。このシートが時系列で進んでいくのに口の動きや瞬きを入れるんだ」

「そっか、人間ぽくしないといけないんだもんな」

「そう。それが大変なの。瞬きなんかの表情はパターンを作って保存出来るけど、それら

も全部手作業で作られてるんだよ」

「知らなかった……アニメキャラってそうやって作られてるんだ」

「カメラアングルで動きを作る技術もあるけど、静止シーンは演武なら少ないと思う。だか

ら時間が掛かるし俺一人じゃ厳しい。それで、背景を担当する予定の嵐にも手伝ってもらお

うと思ってたんだけど……」

「伊吹君、大丈夫かな……」

「あいつの家、片親だって聞いた。ちょっと心配だな」

「それじゃさ。お見舞い行こっか。私、家知ってるから」

「阿川がなんで伊吹の家知ってんの?」

「小学校同じだったんだ。仲が良かったわけじゃないけど。あいつ小学校で少しいじめら

れてたからさ。女子グループは止めなよって言ってたんだけど」

「今日は十分進展あったし、早めに切り上げてお見舞いに行くか。朝霧先生には俺が伝え

て来る」

「んじゃ、校門で待ってるわ」


 結局この日は部活を切り上げて、四人で嵐の家まで行った。

 途中お金を出し合いスポドリとパンを購入。

 チャイムを鳴らすと直ぐに具合の悪そうな嵐が出て来た。


「あれ、みんな……ご免。ゲホッ、ゲホッ……」

「悪い、寝てたか? これ、見舞い」

「……わざわざ、僕のために?」

「早く治せよ。お前がいないと始まらないぜ」

「うん。長谷川君みたいに強かったら良かったんだけどね」

「しっかり栄養取ってね……」

「あんた、一人で大丈夫?」

「有難う……大丈夫。凄く元気出たよ。早く治して学校に行かないと」

「お前、パソコン触ってたんじゃないよな?」

「え? ……うん。少しだけ」

「ちゃんと寝ろって。作業は治ってからだぞ。いいな」

「うん。気を付ける」

「よし、それじゃ今日は撤収! ニームズ報告は嵐がちゃんと治すまで無し!」

「ふふふ。そうゆうところ、佐々木君らしくていいね」

「ねえ伊吹。あんた、まだ義手は……」

「……ご免」

「ううん、私の方もご免ね。聞いちゃまずかったわね」

「いいんだ。それじゃ僕、休むから。本当に有難う」


 そう言って嵐は元気なく扉を閉めた。

 義手? そういえば義手は付けてないけど何故だろう。

 いや、片親だって言ってたし、義手って確か高いよな。

 でも国から補助が出るんじゃないのか? 

 あまり知らないことだし突っ込んで聞かない方がいいか……と思ったら帰りがてら

阿川が話てくれた。

 どうやらそのいじめ……で壊されてしまったらしい。

 しかも小学生相手だ。罪になんてならない。

 でも、とても許せないことで全員が強い憤りを感じていた。

 朝霧先生も何かと目を掛けているが、本人もそれだけで辛いのだろう。

 俺も部活ではなるべく気にしてやりたいが、し過ぎるのもきっと良くないんだ。

 嵐の風邪が良くなったら、まだまだやることがある。

 次は……背景、建物なんかをどうするかだ。

まだまだ物語の全貌などが明かされていませんが、中心となるのはあくまでクリエイター部の

五名です。

それと、朝霧先生のお話が若干入りましたが、以降は主人公である佐々木凛視点での物語となります。


書きおろし部分の推定文字数は十万文字ちょい……だと思っています(三千文字を三十五話)

が、なろうの下書きに文字数を知る術がないので、もう少し文字数があるかもしれません。

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