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クリエイター部!   作者: 紫電のチュウニー


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和道具の下準備

 クリエイター部発足してからもう六月になった。

 五月の一学期中間テストを終えたばかりなのに、期末テストは六月の下旬に待ち構え

ている。

 短いけどその分範囲は広くない。ただ、科目が多いのだけはどうにかならないのかな。

 今は放課後の部活時間。視聴覚室にいるのは男子三名と顧問の朝霧先生のみだ。


「はぁ。俺たちの部活の方がよっぽどいい勉強だよなぁ」

「うん。僕もそう思う。役に立つのもあるとは思うけど」

「武道の足しにもならねー。逆に足引っ張られまくりだよ」

「あはは……武道家は学ぶことが違いそうだよね。何で全部一つにまとめて勉強させるん

だろう?」


 と嵐が声を出したら、顧問で教室にいた朝霧先生から珍しく口を開いた。


「例えばこの学校でも四百人近い生徒がいる。全国規模で考えるとカリキュラムに統一性

が無い場合、どのように管理されるか想像つくか?」

「えっと……管理?」

「評定平均という項目がある。どのように優秀な生徒揃いでも優劣をつけさせるのが社会

だ。これに疑問を呈しても覆せない。それは、優劣をつける社会でなければならないとい

う概念が強い。だがそういった中から君たちのような独創性を求める者たちが出てくる。

それを潰そうとする者と成就させようとする大人との争いが生まれる」

「どうして優劣をつける必要があるんですか? 全員成功者で良いと思うけど」

「……伊吹は頭の良い者で社会が埋め尽くされるとどうなると思うか考えたことはあるか?」

「いえ。凄く良い社会だと思います」

「ではその中でゴミ処理、下水掃除、書類整理、道路舗装、原子力発電管理など、やりたが

る人が少ない仕事を誰もやらない社会が出来てしまうかもしれない」

「つまり社会的役割分担を行うために優劣をつけてるんですか?」

「それが始まりだった。社会的優位性を武器に支配するという構造。だが改革は進んでいる。

全員が百点をとっても良い社会でなければおかしい。私はそう考えている」

「まぁ、テストで百点なんて全然取れないけどな」

「うん……僕も地理とか苦手だな」

「俺は英語がさっぱり分からん。何で日本語じゃダメなんだ」


 っとこのまま談義してると部活活動が進まないので切らないと。


「それよりもそろそろ部活の作業を開始しよう。今日は背景の考察からだ」

「あれ? 女子陣はいいのか?」

「主人公の和服見るために出掛ける段取り決めるって。教養推進同好会に顔出してる」

「男子と女子で綺麗に分かれたわけだ。うるさいのがいない間に進めちゃおうぜ」

「では私も混ざろう。三人では少ないだろう?」

「朝霧先生も一緒に考えてくれるんですか?」

「ああ。風景画などは好きだし、建物なども詳しい」

「何でも知ってるんですね」

「そうでもない。まだまだ中学生の心情を理解してるとは言えないだろう」


 って良く言うわ。あんたどれだけ人気あると思ってるんだよ。

 連日居残りで生徒の相談まで受けてるのに。

 忙しすぎて絶対将来結婚出来ないタイプだ。

 いや、する気もないのかな。恰好良いのに浮いた話一つすら聞かない。


「テーマは和だからって全ての建物を和で統一していいかどうか悩んでるんですよね」

「今の家って殆ど洋間だもんな。和っぽい建物なんて全然少ないし」

「僕の近所も和の建物なんてもう無いなぁ」

「漫画とかで出て来るああいう和の風景ってどこから取り出して作ってるんだろ?」

「そういった専門書もあるし、場所によっては風景をそのままに残している場所もある。

お前たちでいう和っぽい風景とは何を想像する?」

『寺とか?』

「全員同じか。仏教はインドより伝わったもの。神社はどのように伝えられたのかが不明

だが、これも異国より伝わったとする説が有力だろう」

「俺、歴史苦手だ……朝霧先生が担当だったら良かったんだけどな」

「長谷川はもう少し歴史の勉強が必要だな」

「でも俺、歴史が一番授業で必要無い気がするんですよ」

「歴史がそう感じてしまうのは、無理な教育日程のせいで楽しく伝えられないからだ。本

来歴史を語るのに、このような日程では伝わらない。本当に知っておくべき歴史を詳しく

精査出来てない。といよりも精査出来ないのが歴史でもある。人によって必要の観点が違う

からな」

「実は僕、戦国時代とか好きで本を見たり時代劇見たりしてます」

「それなら俺も好きだ。熱いバトルものだもんな」

「バトルものなのか? あれ。でも戦国時代なんてほんのちょっとやって終わりじゃん」

「……歴史は何が作りだす?」


 と朝霧先生に再び疑問を投げかけられた。

 ええっと……何だ? 

 しばらく考えて、嵐が手を挙げて答えた。


「人、ですか?」

「そうだ。勝手に出来上がるものじゃない。歴史を追うのではなく人を追えばいい。その人

がどうしたらこういった歴史が出来たのか。学校教育はそうじゃない。何年に何が起こったか。

そのような教え方をして面白いはずがない。人が面白いし凄いんだ」

「やべ。なんか覚えるヒントもらった気がする。そんな風にして考えたこと一度も無かった」

「僕も……確かに戦国時代で何が好きかって、真田幸村とか伊達政宗っていう人たちだ」

「んで、それが建物の外観にどう繋がるんですか? 先生」

「建物は誰が作るのか分かるか?」

「あっ……人ですね」

「つまり、現代で和の建物を作ってる人を追えってこと?」

「そうすれば和の建物について色々分かるかも。検索してみる」

「そういう人ってネット好きじゃないんじゃねーの?」

「本当だ……全然出て来ない」

「少し待っていてくれ。電話をしてくる」


 といって朝霧先生は廊下へと出て行く。

 別にここで電話してもいいのに。

 しばらくして戻って来た先生は嬉しいことを伝えてくれた。


「和専門のものを作っている会社の知人に早瀬早瀬道隆という人物がいてな。資料を拝借

出来ることになった。それを元にしてみるといい。それまでは……今アップロードした

が、こちらのサイトを見て細かな物から作っていこう」

「これって、和専門の小物!? こんなのあるんだ」


 そのサイトには大きなツボやよく分からない布やらが売られているサイトだった。


「僕これ知ってるよ。真田紐っていうんだ」

「これって身に着けさせたり出来るのか?」

「出来そうだな。こういうの着けるとぐっと和の感じが増して良いかもしれない」

「僕、これ作ってみていい?」

「こういうときに部費がありゃ現物を購入出来るんだけどなぁ」

「そのサイトを運営してるのも先ほど伝えた会社だ。それも追加で頼んでおこう。何点

か持って来てもらえるかもしれない」

「人を追えってこういうところで繋がるんですね」

「そうだ。今では会社という大きな規模の単位で動くことが多い。しかし共通するのは会社

というのも人が動かしているということだ」


 朝霧先生はその後追加で依頼をしてくれたようで、何と、後日実物を数点持ち寄ってくれ

ることになった。

 これは有難い。持つべきものは友人なんだろうな。

 自分も大事にしないと。

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