第二百九十四話 世界調理開始/食材確保㉝食べるために必要なこと(その3の61~62の途中まで)
〈時間が無いので、単刀直入に申し上げます。モルンエルバから聞きました。貴方の体内に仕込んでおいた砂端末から、異常な数値と身体損壊の情報が観測されたそうです〉
「あー、ハハハ…アタイも歳かねぇ」
おいィ!なにヒトの個人情報を明かしてやがる!今しゃべったら隣に聞こえるじゃねえか!
アイツには、なるべく心配をかけたくねーんだってば!
だまれだまれと念を送るが、体内の砂端末はそういうのに限って送ってくれないらしく、向こうからは何の反応もない。
〈しかし、ひとまずそれは看過しておきましょう。話はここからです〉
「え?」
また予想外の反応に驚くアタイに、レシピの『姉妹』はさらに声をかけてくる。
それも、
〈貴方が諦めないなら、こちらにも手助けする準備は整っています!話はカスメルさんから聞きましたね?貴方がたには、今度こそ連携して砲撃をしてもらいますよ!〉
「いや、話は聞いたけどよ…いくら使用者認証があって近くにいても、連続爆破ミサイルなんてそんな器用なマネは…」
〈貴方のご主人を良くご覧なさい。これでも、そうおっしゃいますか?〉
「い、いいいやカスメルとはそんなんじゃ…って、こ、これは…!」
それはそれとして、自信満々に指し示しただけのことはあった。
カスメルは鋼のスーツを着込んでいたんだが…なんと、その形が急に変わったんだ。
なんだか、服のあちこちから砂らしきものがもれ出したかと思えば、それは服から飛び出して集まり“トゲ”となって突き出していく!
そして、その着用者が言うには…
「み、みろ!砂の、外骨格強化服だ!強いんだぞ!」
〈それだけではありません!〉
「こ、こいつは!」
服の“トゲ”が次々と爆発を…それも近い箇所で連続して繰り返してる!?
〈私たちは『姉妹』であり、その持っている機能も共通基盤から分化したものが多い。故に、ある程度は模倣も可能です。特に、体内で直接データを採れば、というわけですよ〉
「そう…なのか?いやだが、流石に“砂”じゃ強度に不安があるだろ。残念だけど、熱や急激な動きに弱いのがモルエルの弱点だったはずだ」
〈その通りです。だから、それに加えて更に“二人”の協力が必要なのですよ。つまり――〉
その弱点を補うためには、
〈カスメルさんには、貴方とモルンエルバ、“二人”の使用者になってもらいます。モルンエルバだけでは、爆破の再現だけでギリギリですが、貴方が砲撃を担当し、カスメルさんと爆破を連続させるタイミングを調整すれば…〉
「“連続爆破噴進弾”が実現出来る!」
〈そういうワケです〉
話がまとまった…ワケだ。
ただしそれは、アタイ以外にとっては、なんだが。
ざっくり言うと、カスメルを前線に出したくねぇ〜〜!
なんでわざわざ、慰謝料まで払ってアイツを置いて旅に出たと思ってるんだよ!
なんとかごまかせねえかなぁ…とアタイが苦悩していると…
「なんだ!?」
途端に、床全体に振動が来た。
大きい。
これは、また“針”かと思ったが、明らかに違う。
この振動は、もっと浅い。
しかもこれは、もっと遠くから響いてくる!
ちょうど、情報を集約している相手が目の前にいるので、尋ねてみる。
「おい、この揺れ。あの“獣頭”が動き出したんじゃないのか?」
〈問題ありませんよ。もうしばらくは持つはずです。援軍がいますからね〉
しかし、返ってきたのは不可解な返事だった。
「援軍?そんなものがいるわけが…」
「突撃ー!撃て、撃てーー!」
「ん?この声は?どっかで聞いた、ような…?」
アタイは声の方向を見た。
近いが大砲じゃない。
下の方、もっと先だ。
まだ残っていたアタイの眼の望遠機能が働き、そちらに焦点を合わせる。
見えた。
軍隊だ。
いやけど、あの装備と大砲はなんだ?
少し前に見たヤツと全然違うぞ?
率いているのは、さっきの『猫人族』の…なんだったっけ、なんとか将軍みたいだが…
いや、それどころじゃない!
アタイは、怒鳴った。
「危険だ!下がらせろ!普通の兵器であの大地獣に勝てるわけないだろ!アタイたちでさえ、敵わなかったばかりなんだぞ!」
〈問題ありません。彼らの兵器は私たちの手で強化していますし、それに…〉
そこへ、予想外な声があがった。
「き、聞いてくれエルト!」
「カスメル!?」
「え、エンサンが、さっきまで『糸電話』で話してたタツが言うんだ!料理人以外も、世界中のみんなも力を、合わせられたらって言うんだ!本当にみんなで協力出来たらって!」




