合体 マリンヴァレッド
ここは戦場だ。何でリーファがいる?
マリンカイザーに、閉鎖空間に、水中に酷く怯えていたリーファが何故ここに来れたんだ?
頭の中に疑問と驚きが沸き立つ。ただ、そんなことよりも助けに来てくれたことが本当に嬉しかった。
救世主の登場に安心しきった所、マリンカイザーの下部からアンカーがエクスヴァレッドに向け、放たれる。
「これに掴まって!」
「わかった! ヴァレッド!」
「あぁ!」
リーファの言う通り、エクスヴァレッドがアンカーを掴む。そして、マリンカイザーはジェットスクリューを最大まで回転させ、渦の中から脱出。渦の中でもエクスヴァレッドを引っ張れるほどの馬力の高さ。一先ず窮地を脱したことにほっとひと息を吐く。
「大丈夫!? 勇気!!」
海流も穏やかな場所に移動するとモニターにリーファが映し出される。
リーファの表情は笑みは浮かんでいるものの目尻も頬も引き攣っていた。冷や汗だってかいている。誰がどう見ても無理して笑みを作っているようにしか見えない。
それだけ、自分の心に鞭を打って、無理をして出撃したんだろう。
「俺は大丈夫! だけど、それよりもリーファは……!?」
「何言ってるの? とても怖いに決まってるでしょ」
「なら、尚更!!」
「ねぇ、勇気だって死ぬのは怖いでしょ? なのにはどうして戦うの?」
「それは他の人達が死ぬのが怖いから!」
「甲太も同じこと言ってたわ。私も二人と同じ気持ち。自分が死ぬ以上に仲間を失う方が怖いから……動けるのに動かなくて、後悔するのも嫌だから。だから……来たの!」
「リーファ……!」
引きつった表情の中、その瞳はただただ真っ直ぐで確かな熱意が宿っていた。モニター越しでもリーファの覚悟が伝わる。
今ならリーファの覚悟も苦しみも手に取るようにわかる気がする。
俺が戦う理由を思い出した。目の前であっという間に散った命、破壊の限りを尽くし荒れた街を見て、もうこんな地獄を生み出したくなかった。そして、俺には阻止する力があった。死ぬのは怖い。逃げる選択肢だってあった。だけど、あんな現実を知って、見て見ぬふりなんてできなかった。だから、俺はここにいる。
「俺と全く一緒だよ」
「そうでしょうね! だって私達なんだから!!」
「二人とも! まだ戦いは続いているぞ!」
お互いの覚悟を通じあった最中、ヴァレッドが警鐘を鳴らす。
俺はモニターに後方の様子を映す出す。
獲物は逃がさんとギガ―スが雄叫びをあげながら迫ってきている。
マリンカイザーの馬力は高いとは言え、エクスヴァレッドという巨体を引っ張っているため、スピードはそこまで出ていない。ギガースとの距離は少しづつ狭まっている。
「わかってる! だけどもう……終わる!」
「えぇ! 私達が終わらせる! だから、二人とも!」
リーファが加わったおかげで二対一となったが以前としてピンチであることは変わらない。ここまでにダメージを食らいすぎているエクスヴァレッドの状態を考慮すると長時間の戦闘は厳しい。ここからは短期決戦でケリを付けるしかない。
だが、今の俺達には焦りも不安もない。寧ろあるのは絶対的自信。
力を合わせればこんなピンチは乗り越えられる。
『勇気! このまま一度距離を取る!』
「そしたら、どうする?」
「わかっているだろう、勇気?」
「もちろん! リーファ! ぶっつけ本番だけど!」
「ええ! 合体できるわよ! ただ、私は初めてだから、エスコートよろしくね!」
三人の考えは全く同じだった。ここから挽回するには合体しかない。
合体するには迫るギガースをどうにかして対処しなくてはいけない。
「付きまとう男は嫌われるわよ! リジェクトボム!!」
マリンカイザーは後部から複数の機雷を落とす。クラゲのようにゆっくりと漂う機雷を避けようとするギガース。しかし、既にかなりのスピードが出ているギガースは回避することはできなかった。
「ギャガッ」
ギガースと機雷が触れた瞬間、大きな爆発が起きる。視界を覆うほどの黒い煙と泡。その衝撃で俺達も少し後方へ押し出される。
この爆発が直撃した以上、ギガースも相応のダメージを受けているはず。だが、その煙を割るようにギガースが現れる。鋼鉄の肌には確かな裂傷が確認できるがそれでもなお、勢いは止まらない。
「さらにしつこいなんて……それなら捕まえるしかないでしょ!!」
リーファは冷静に操作。今度は後部から巨大な捕獲用ネットを発射。ネットはギガースを取りつき、動きを止める。ギガースはネットを外さんと藻掻き、噛み千切ろうと暴れる。
ギガースの動きは止まった。この隙にしかない!
「よし、勇気! リーファ! 合体だ!」
「えぇ!!」
「わかった!!」
エクスヴァレッドはアンカーから手を離し、合体シークエンスに入る。
マリンカイザーの先端にあるドリルが最初に分離。続いて胴体部分が半分に分割され、エクスヴァレッドの肩と合体。さらにスクリューの二つがバックパックに装着。
最後に残るドリルの後ろを殴りつけるように右腕に装着する。
『武装合体!! マリンヴァレッド!!』
三つの心が一つになる時、深淵から這い寄る悪にも打ち克つ蒼き巨人が現れる。
燃え尽きる程に伸ばした右腕に掴まれた鋼鉄のドリルは彼らを阻む壁を悪をも突破する正義の槍。
その名はマリンヴァレッド。
悪意を前にして、引くことなど決してない。彼らを一体、誰だと思っている。




