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3:悪魔ってなんでこんなに醜いんだろう

 悪魔と会って最初に思ったこと。醜い。それに尽きる。

『望みはなんだ』

 悪魔は、私にニタリと嗤いかけて言った。気持ち悪い。吐きそうだ。なんてひどい容貌なんだ。しかも声まで醜い。

 なんだろう。何かに似ている気がする。でも、思い出せない。

 私は何だったかな、と考えながら、目の前の不細工悪魔を見つめた。それにしても、本当に醜いな。もっとイケメンな悪魔が良かった。イケメンが良い。せめてイケメンな悪魔であれよ。

『その願い、聞き届けた』

 え?

 突然、悪魔はぐにゃりと歪んだ。そして、次の瞬間には、途轍もないイケメンに変身していた。

 ……まさか、この悪魔、心が読めるのか?

『その通りだ。契約を果たしたぞ、女』

 私は呆然と悪魔を見つめた。悪魔は嫌らしい笑みを浮かべている。イケメンでも不愉快になる笑顔だ。流石悪魔。

 いや、待て、信じられない。悪魔が心読めるなんて聞いてない。せっかくの願い事、もっと有意義なことに使いたかった。

 でも、どれほど目をこすっても、相変わらす悪魔は超イケメンな姿をしている。本当に、さっきまでとは大違いだ。さっきのはまさしくガーゴイルみたいなす……。

『なっ、貴様、なぜ俺の名前を……あっ、がっ、ぐぁああああっ!!』

 は?

 突然、悪魔は悶絶するように絶叫した。どういうこと? 意味が分からない。展開が早すぎる。

 悪魔は自分の首をガリガリと掻いていた。よく見ると、その首には、先ほどまでなかった黒い茨のような紋様が浮き出ている。

 イケメンに変貌した悪魔は、苦悶の表情を浮かべて叫び続ける。そして、模様が完全に浮き出た時、ようやく痛みが治まったらしい。荒く呼吸しながら、悪魔は射殺さんばかりに私を睨み付けた。

『ちょっと待って、どういうこと? 説明しろ』

『へ、へい、ご主人様』

『は? なんでいきなりそんな呼び方……』

『そ、それは、ご主人様が、俺の名前を言い当てたからです、へい。悪魔は自分の名前を握られると、その相手に逆らえなくなるんです』

『……じゃあ、お前の名前はガーゴイルだったのか?』

『そ、そうです、ご主人様』

 悪魔は絶対に怒っている顔で、しかし言葉だけは殊勝に答えた。どうやら、主人に刃向かうとよくないらしい。

 私は衝撃的な展開に、ぽかん、と口を開けて立ち尽くした。それを悪魔は憎々しげな表情で見つめてる。

 ……つまり、この悪魔の言ったことを信じるなら、本当に偶然だったが、私はこの悪魔を隷従させることに成功したということだ。

 しかし、こいつは曲がりなりにも悪魔。私をだまして、後々何かしようと企んでいるのかもしれない。私は悪魔に言った。

『ねえ、嘘じゃないよね? 嘘じゃないなら三回回ってワンと鳴いて私に食べ物を持ってきなさい』

『は? 誰がそんな……ぐっあああっ! くそがっ! ぎゃっ! はい、ご主人様! いち、に、さん……ワン!』

 悪魔は案の定、私の発言にぶち切れ、刃向かう素振りを見せた。しかしその瞬間、悪魔の首の紋様が光り、同時に悪魔が絶叫した。どうやら、私に刃向かうと悪魔に激痛が走るらしい。

 悪魔は観念したようで、私を睨みながらであるが、本当に三回回ってワンと鳴き、ポンッと消えた。そしてすぐに戻ってきた。今度は両手いっぱいにおいしそうな果物を持って。


 私は思わぬ収穫に、無意識のうちに笑みを浮かべていた。やっば、これ、最高じゃん。

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