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4‐6

 丁度その騒ぎは、ルクス達がギルドの入り口が見える通りに差し掛かった時に起こっていた。

 炸裂音と共に扉から男達が飛び出してきたかと思うと、軟泥に喰われるように沈み込んでいく。

 なんとなく、何があったのかを理解したルクスは軽くため息を吐きながらギルドの中へと入っていく。

 中に入ると、あわあわしているアディと、決してルクスと目を合わせようとしないベオがいた。微妙にバツが悪そうな顔をしているのは、一応何かしらの自覚があるからだろうか。


「ベオ、今の人達って」

「賊だ。追い払ってやった」


 えへんと胸を張るが、すかさずエリアスが突っ込みを入れる。


「んなわけないでしょ、こんな白昼堂々ギルドを襲う賊が何処にいるんすか?」


 珍しくベオは言い返さない。つまりはエリアスの言葉が正しいと言うことだ。流石に上下関係がある二人とはいえ、ベオは無理矢理に自分の正しさを押し通すことはない。


「で、でもでもでも。ベオさんは仕方ないかと、アディも思うから……」


 無理くり言葉を紡ぎながら、アディがカウンターの向こうから細い声でそう言った。


「どういうこと?」

「い、今の人達はベオさんを、その、獣人だからって、ちょっと、嫌な目で見てた。だからどっちにしてもこのギルドには合わなかったかと、アディは思う、かも」

「……そう言うことなら仕方ないか」

「そうだ! それに私はまだ納得していないぞ。新人を入れずとも、このギルドはやっていけているではないか!」

「いや、実際仕事が回ってない部分はあるからね。実際に他のギルドに手伝ってもらって何とかなっているような状態だし」

「だが実際、足手まといを入れても仕方があるまい」

「それもそうだけど。仕事の規模からしても、せめて実働できる人がもう一人か二人は欲しいのは事実だよ」


 今日のような賊の討伐などに出る際には、最低でも三人の人員が欲しい。ベオの意見は最もだが、二人では不慮の事態に対処できないことも多い。


「いやぁ、やっぱり来てみて正解だったみたいだな」


 それまで黙っていた、最後尾にいたオーウェンがそう口を挟む。


「オーウェンさん?」

「あ、お前!」


 どうやら今更ベオはオーウェンに気付いたらしい。

「なんだ、フェンリスギルドの回し者か?」


「違う違う。あのギルドとは短い契約だったから、今の俺は何処の所属でもねえさ。ただ、お嬢ちゃんの返答次第じゃまた話も変わってくると思うが」

「……どういう意味だ?」

「俺がここに来た目的さ」


 オーウェンはルクス達一行を見渡す。


「魔王再誕の件、お前さん達の戦いぶりは俺の耳にも届いている。それに心打たれ、このギルドで一緒に戦わせてもらいたく、ここに参上した」


 そう言って、オーウェンは姿勢よく一礼する。

 彼の言葉に驚きルクス達は絶句した。オーウェン・スティール、英雄になり損なった男。そう呼ばれてはいるがその実力は折り紙付きで、英雄に匹敵するとまで言われている。


「お、オーウェン・スティールが……俺達のギルドに?」

「ギルドマスターが許せばだがね」


 ルクスに視線が向く。

 ルクスとしては断る理由はない。とはいえ、もう一人意見を無視してはならない人物がいるのもまた事実だ。

 ベオに視線をやると、彼女は腕を組んで何やら考え込んでいたようだが、不意にオーウェンを睨みつけると、その手に火球を生み出して投げつける。


「おっと」


 至近距離での魔法に、エリアスは愚かルクスですらも咄嗟に反応することはできなかった。 

 しかし、オーウェンは背負っていた槍をいつの間にか抜き払っており、その切っ先で火球を打ち払ってみせた。


「……やはりあのぼんくらとは違うな」

「これが入団テストってことでいいのかい?」

「ま、いいだろう。貴様なら実力も確かだしな。私が拒否する理由はない」

「ってことだけどいいのかい? ギルドマスター?」

「はい、よろしくお願いします。オーウェンさん」


 ベオが認めれば、異論をはさむ者は誰もいない。

 こうして、英雄になり損なった男、オーウェン・スティールがルクス達のギルドへと加わることになり、更なる名声が鳴り響くことになるのだった。


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