夕焼けと遥か遠く
何本もの枝葉が顔に当たる。それを突き破って見えたのは、夕焼けだった。
「うっお……!」
「うわぁ……!」
思えば、生まれて初めて空を見る。《義ある多頭の邪蛇》になって、色覚が増していてよかった。ずっと鬱蒼とした森の中だったのだ。
そこでずっと地を這って生きてきた俺には、初めて目にする景色。
美しい橙。大きな太陽。
オレンジに染まる森。
当たり前のことだ。生まれて見たことがなかったのでわからなかったが、空はどこまでも続いている。
世界はどこまでも続いている。
美しいという感情も、生まれて初めて抱いた。人の目であれば、もっと美しいのだろう。
「風が、気持ちええなぁ!」
相棒は幼女らしい声音に戻ってはしゃいでいる。感傷には浸り終えたようだ、
「ああ。これは、素晴らしい……!」
尾を力強く下に振ることで、落ちるどころかさらに浮き上がれるのは《空中戦LV4》に上がったおかげだろう。水泳のバタフライっぽい。
しかし、初めて上から森を見たのだが――、森続きすぎじゃね?
空に果てはないし、大地も果てしない。
それはいいけど、森も果てしない。
ものっすごく北の遠くに、何やら高い建造物がある気はするが、何かまではわからない。
対して南を頭の一つで見やれば、森の終わりと何やら町のようなものが見える。
――ふむ。どうやら俺は、かなり森の浅いところで生まれ落ちたらしい。
北上すれば、強い魔物が増えていくということは、あの遥かな建造物には魔王でもいるのだろうか。
空の風を感じながら思考していたが、相棒の声で我に返る。
「あいぼー、鳥が来てんで?」
三時の方向を見るに、数羽の鳥がこちらへ向かっている。
今までに見たことがないほどに大きい。
「デカいな。初めて見る魔物だし、一回降りるか?」
「せやな」
最近は、関西弁と老人が混じったような喋り方になっていた相棒だったが、関西弁幼女に戻っていた。
一応は女王として部下の前では気を張っていたのだと思うと、いじらしい。
下降しながら枝葉を《薙ぎ払うLV4》し、再び大地へと着地する。
水泳のバタフライっぽい。
相棒ははしゃぎながらも、ヘアアクセのような六つの眼で周囲を警戒もしている。
黒髪がばっさばさとなびいているのに、胸のあたりの髪は不思議な力で固定されている。
不思議に思い《解析LV8》で観てみると、
『小説家になろう利用規約第14条6項』
という反応だった。
何か危険な匂いを感じたので、これ以上触れてはならないのだろうと理解した。
第一部分みたいなことになってしまう。
戯言はさておき。
初めて上から森を見たのだが……、森続きすぎじゃね?
↑という部分もありましたが、削除しました。メタはよくないね。そんな面白くないし。
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