友として並び立つために(終)
ゾッとした。
《先見の明》は《超直観》に進化した!
天の声で我に返る。
ピアノ線トラップかよっ!
戦慄するまま《超直観》が思考を加速させろと言っている。
狭くなった視界に映る景色。
俺の五分の二の首から大量に上がる血飛沫。
相棒の驚いた顔も血で染まる。
血飛沫で赤く染まる糸。
俺と相棒の間に赤い線は――無い。
動かせるか? 動かせた。
いつまで使える? 不明。
なら? やれ!
《瞬発LV9》《突貫LV4》
相棒は猛スピードで突っ込む俺を前にして、困惑しつつも俺の首と首の間を通り抜ける。
今まで通りで予想通り。裏をかくのが好きな相棒は死角に入る避け方を好む。
それは裏であれば裏であるほど、好む。
だから相棒は、俺の真後ろに向かって跳んだ。《斬》属性の付与された自分の糸の方へと。
俺は今度こそ俺たちを囲む糸の檻に突っ込んで、身動きが取れなくなる。
しかし、相棒を視線からは外さない。
相棒の着地する位置を《演算処理LV6》と《空中戦LV4》で掌握。おあつらえ向きだ。
《並列意思LV1》《破砕牙LV3》
相棒はクール。俺が糸に絡まっても俺から視線を外さない。
相棒は注意深い。相棒の死角を突くには、相棒の知らない攻撃でしか突けない。
ばくん。
相棒は、俺の落とされた右端の頭に食われた。
……終わった。
「あぁぁぁああああー。ビビったぁぁああ!」
いやマジで、頭を二つ落とされた時は死ぬかと思った。
よかった。頭五つあって。
そのままにはしておけないので、相棒を助ける。
《並列意思LV1》
「うっお! 痛ってぇぇえええええ!」
痛みに耐えながら、口の中に相棒を入れた、さっき落とされた頭の口を開く。
舌先でちょいと押し、相棒を吐き出す。
「ふぇえ」
幼女らしい声を出す相棒の無事を確認して《並列意思LV1》を切る。
「痛ぇぇえええ! 死ぬほど痛ぇぇえ!」
首からぶった斬られた頭に《並列意思LV1》で意思を持つと、激痛まで感じてしまう。
よく相棒を口に入れられたし《破砕牙LV3》を外せたと思う。
おかげで殺さずに済んだし、俺も死なずに済んだ。
ふぇえ、と呆然としていた相棒は、少しして自分を取り戻した。
「……あー、ウチの負けやな。勝ったと思たんけどなぁ」
右手で黒髪ロングの頭をかく。
「……そうでもないさ」
「何や? 相棒がその気なら《破砕牙》でウチ噛み殺されたんちゃうん?」
さっき手に入れたスキル《超直観》で、絶対に相棒を殺してはいけないとわかった。
それは、友だからとかいう、感情的なものでもない。
「周り、見てみろよ」
俺たちは1対1で戦いたかったので、相棒は下僕蜘蛛に待機命令を出していた。
その下僕蜘蛛たちが量を増やし、すべてが殺気立っている。殺気で魔物くらい殺せそうなほどに。
「……なるほどなぁ」
待機命令を出していた女王が死ねば、命令は意味を持たない。
感情のままに忠義のままに《蜘蛛糸》で動けない上に弱り切った俺を、下僕蜘蛛達は食い殺しただろう。
「怖いオンナだよ。お前は」
強くてなかなか殺せない上に、殺せたとしてもその後も恐ろしい。とんだ毒虫で毒婦だ。
「イイオンナっても言えるんちゃう?」
そう言って笑う。
「「てか」」
笑い合う。空を見ると、もう木漏れ日が落ちている。何時間戦っていたのか。
「「腹減った」」
そう言って、高らかに二人で大笑すると、下僕蜘蛛の殺気は収まった。
恐怖しているのは、蜘蛛の巣に捕らわれて朝食となる魔物たちだろう。
オレ、ブクマホシイ。評価ト感想ホシイ。
ナケレバニンゲンクウ。




