友として並び立つために(3)
今度は俺は、のそのそと近づいた。
見えないままで同じことをしても、身体が伸び切って動けないところにカウンターを貰う。
格好の獲物になるだけだ。
のそのそと近づく。相棒は俺を待つ。
《瞬発LV8》《破砕牙LV3》×2
相棒は避ける。
《瞬発LV8》《破砕牙LV3》
追いかける俺を《蜘蛛糸》の噴射で避けたり、逆に俺の首を《蜘蛛巣》で絡めようとしてくる。
避け様に、俺を《毒爪》で引っ掻いていくことも忘れない。
時には相棒から仕掛けてくることもあった。
《蜘蛛巣》
俺の避ける方向に、また《蜘蛛巣》。避けるのが精いっぱいになる。
だからこそ、それをさせないように俺は、
《瞬発LV8》《破砕牙LV3》×2
を出し、相棒の避けた先を
《瞬発LV8》《引っ掻くLV2》《毒爪》
で追いかける。
牙にまでは当たってくれない。たまに、俺の首の肉に当たる。
相棒の幼女の小さな体には、爪が当たらなくても俺の巨体の首が当たればそれなりにダメージが入る。
俺は相棒の《蜘蛛巣》を出させないように、襲い続けるしかない。《蜘蛛巣》を出させるだけでも、この《蜘蛛巣》の囲いの中で俺が動ける範囲が狭くなる。
ひょっとしたら、相棒が最初に俺の中心の頭、縦に割れた邪眼に《毒牙》を入れたのも『糸を燃やせる邪眼』の存在を危険視したからかもしれない。
残念ながらそんなスキルはなかったが《恐怖の邪眼》《麻痺の邪眼》も使えなくなった。
襲い続ける限り、相棒は《蜘蛛巣》を出せない。しかし、俺の牙も当たらない。
相棒は《毒爪》で引っ掻く。俺は偶然当たるような首でダメージを与える。
お互いに削り合う、持久走をやっている気分だ。襲い続けなければならない俺、避け続けなければならない相棒。
ATKはそこまで意味がない。HPもDEFも体力も俺に分がある。しかし、相棒に分がある。
相棒は強い《毒牙》を俺に一度入れ、《毒爪》で俺に毒を入れ続けている。
繰り返す。
繰り返し、繰り返す。
俺は襲い続け、相棒は避け続ける。
使っている《持久》や《瞬発》、《引っ掻き》《毒爪》《毒耐性》等のスキルが上がったという天の声が何度も聞こえた。
しかし、それでも状況は変わらない。変えるようなスキルでもない。
状況を長引かせるだけのスキルが上がる中、それでも繰り返す。
繰り返す。
繰り返し、繰り返す。
「あ」
どれだけ繰り返しただろう。すでに相棒の脚は数本折れ。俺の首には無数の引っ掻き傷がついた。
相棒が一音だけ出して避けながら《毒爪》で引っ掻かずに距離を取ることを優先した。
襲い続けることが俺のテーマだったのに、それができなかった。
毒はとっくに回っている。頭なんて働かない。
俺に出来ることは、なおのろのろと相棒に這い寄ることだけだ。
一本、細い糸が張ってある。見える糸だ。
あぁ億劫だ。細い分弱い糸を。そのまま進んで切って前進しよう。
そう思ったのだが、何かの直感で真ん中――、手で言う人差し指中指薬指の三つの頭だけは、引いた。
俺が見た景色は、両端の二つの頭が血飛沫を上げながらゴトリゴトリと落ちるものだった。




