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蛇に転生しました。勇者か魔王になろうと思います。  作者: 松明ノ音
【野性編】■■■は魔性の蛇になった。
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《?蜘蛛?》




 頭を前にやろうにも動かず、後ろにわずかにしか動かない。左右も。


 目をこらす。視覚も《第三の目》も、舌も。舌が直接、糸に触れた。


「あぁ、蜘蛛の巣か」


 さすがに魔物の巣だ。大きくなった俺の力でも、やすやすと抜けない。


『おっほー! 大物がかかっとるやんけ! 今日はご馳走やぁぁあ!』


 甲高い声が聞こえてきた。何かと思ったが《第三の目》で上から蜘蛛が降りてきているのが見えた。


 おそらく《念話》でこの巣の主の声が聞こえたのだろう。体長は体感50センチくらい。


 デケぇ。


 近づいてきている。視力の弱い目と蜘蛛の複眼が合うほどに、距離を縮めていた。



    《威圧LV1》《眼力LV2》《念話》



『ブチ殺すぞ』


 見つめ合う蛇と蜘蛛、もう言葉は不要だった。


『…………』


『…………』


『キェェェェェェアァァァァァ! シャベッタァァァアア!?』


 カサカサと顔まで近づいてきたそれは、近づく速度の3倍以上で去っていった。


 ほぅ、と安堵のため息を吐く。わずかであっても、生きながら食われるなんて想像だけでもぞっとする。


 ぐいぐいと前後左右に頭を振る。


「お? これマジで頑丈だな」


 全然壊れない。蜘蛛の臆病さというか、慎重さのおかげですぐ去ってくれたが、ちょっと食われるどころか、完食される可能性もあったかもしれない。


 さすがは野性。武器と慎重さ、重要なものを合わせ持っている。


 去ってしまったが、蜘蛛を称賛した。


「そういえば、この姿になって初めてナニカと喋ったな」


 殺すぞ、喋った! では、会話とはとても言えないけれど。


 ちょっと焦る。蜘蛛が気まぐれに戻って来てしまえば、食われてしまうし、もうすぐ夜が来る。


 この状況で夜の強者たちを出迎えるなんて、ごめんだ。今日はひっそり木の下で隠れるつもりなのだから。




「ふんっ!」


 渾身の力で頭を引き抜き、ようやく蜘蛛の巣から逃れられた。


「あぁー、しんどかった」



    《粘着》を克服した!

    《粘着耐性LV2》を獲得した!

    『耐性』の概念を発見した!

     すでに体験している耐性を得る!

    《恐怖耐性LV4》を獲得した!

     生まれ持った耐性を得る!

    《毒耐性LV2》を獲得した!



「おぉ?」


 なんか倒してもいないのに。天の声の言葉数が多い。


 耐性。《粘着》性の蜘蛛の巣を突破できたからか。そもそも今まで俺は耐性の概念を知らなかったらしい。


 にしても恐怖耐性が上がりすぎ。蜘蛛の巣は怖かったが、そこまで? 毒耐性は、蛇だから持ってるんだろうけど。


 そう考えたが、あー、昨日の夜小便漏らしそうになりながら一睡もせず、ビビり倒してたからかと納得する。


 まぁ夜には間に合ったし、目を付けていた木の下には近いので、蜘蛛には感謝しよう。次見つけたら食ってやってもいい。


 水たまりがあったので糸を濡らして取り、寝床予定の木の根へ向かった。




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