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箱舟が出る港  作者: 村雨 正巳
13/16

死に風吹き行く ~ある妹弟の話 その四~

チュンチュンとスズメのさえずりが聞こえた。

新聞配達だろう、バイクの去る音も朝が来たことを伝えていた。

まだ眠いと弟は布団にくるまっているが、野球部の朝は早い。

布団を少しあげて横で寝ている姉をみた。

すやすやと寝息を立てている。

ええい起きなきゃと顔をパンパンと叩き布団から出た。

濃紺のカーテンは寝る前に閉めた。

昨夜の不気味な現象のことは熟睡したようですっかり忘れていた。

天気はどうかなと姉を起こさないように静かにカーテンを開けた。

弟は「えっ?」と小さくつぶやいた。

なんとまだ外は真っ暗ではないか!



―――さっきスズメが鳴き新聞配達のバイク音が聞こえたじゃないか?夢か・・・

五月の朝の太陽は早い。

ほほをつねりながら、朝じゃなかったのか?と携帯の時間をみた。

充電しそこなったのを忘れていた。

まあいいやまだ寝れると布団に入った。

夏の甲子園が近い、猛練習で疲れはてていた。

とその時だった!

居間を中心にして一階の右に姉の部屋、右が弟の部屋だ。

そして居間の後ろにもうひとつの部屋がある。

そこの障子がゆっくりと、ゆっくりと開いていくのを弟は見た。




 ―――なんだなんなんだよ・・・おい?

 白い手が浮びあがり障子を開けている。

 その白い手が弟の眼前まで、グッ、と迫った。

 同時に呪文のようなしわがれた言葉が聞こえた。




―――シニカゼフキユキミチノイシ・・・ツチニキシタリコノヨノモノドモ・・・


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