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良くある転生物語 聖と魔  作者: Seisei
第六章 青春期 天空編

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第五十一 雷帝神

いつも読ん頂きありがとうございます。


第五十一 雷帝神


です。



第五十一 雷帝神


 雷帝神は、両手に干将かんしょう莫耶ばくやの名剣を持って玄武げんぶの背に立つ。


 玄武げんぶは、動きが鈍い分、防御力が驚異的に高い。


 背中の甲羅には、雷帝神を守るような形で突起が屹立きつりつしている。雷帝神は、玄武げんぶの上から雷撃を見舞う事ができる。


 上空からの攻撃に弱そうに思えるが、雷帝神の上には雷雲が恐ろしい電撃を秘めて漂っているので、雷帝神の上からの攻撃は、御法度タブーだ。


 雷帝神は、四天聖神の中の最上位として、神格も高く古い神だ。


 四天聖神の主神。貫禄も相当なものだ。神格は第八位 御大柱神おんおおはしらしん。数多くの神々を治める神の王である。


 干将かんしょうはひと振りごとに旋風を起こし、莫耶ばくやは、ひと振りごとに真空波を起こして、雷帝神の雷雨を荒々しく演出させる神器である。


 対するは、紫姫むらさきひめ。アルテミシアである。彼女の剣技は受けとカウンターの連携による剣技が特に秀でている。


 アールとの鍛錬で、アルテミシアはアールの強烈な斬撃を真正面から受ける事の愚を悟り、アールの斬撃を受け流す鍛錬に専念した。


 その結果、彼女はどの様な強力な攻撃でも、それを受け流し相手の懐に入り、相手の攻撃の威力をそのまま活かして斬撃を叩きつける剣技を編み出していた。


 アルテミシアの特技は、闘気を一点に集中する事だ。受ける時も、返す時も彼女の闘気は、柔軟に移動して、必要な箇所に集中され、より硬度と破壊力を強めるのだ。


 アールは、アルテミシアの剣技を『柔鋼剣』と名付けた。


 紫姫むらさきひめの動作は円の動きであり流れる剣舞のような美しさであった。


 もう一人のサーリは、天照てんしょうつまり太陽神だ。神としての潜在的な神格は誰よりも高い。


 アールが見る所、サーリは、仲間達よりもかなり抜きん出た実力を持つ。


 彼女は、天神種の中でも多くの才能を授けられて転生した天才である。


 特殊技能の『慧眼』を持ち、魔力・聖力も恐ろしく巨大な総量を持っていて、あまりにも大きいので、子供の時に誰にも教わらずに、魔力・聖力を制御して、今の可愛い聖力で出来た蝶々のハネを作る様になった。


 そんな経緯もアールとよく似ているし、天才性もアールとそっくりである。アールにアルフレッドが残した十二使徒がいる様に、彼女には文化として、『恩恵の転生者』に係る豊富な事例と『恩恵の転生者』の幼少時代の育て方の確立があった。


 結論として、アールがよりたくさんアドバンテージがあり、アルフレッドの十二使徒の存在があったためによりアールの方が成長速度が速かった。しかし、サーリも相当に異常な成長をしている事だけは間違いなかった。


 さて、サーリ姫は、どんな闘いっぷりを見せてくれるのか。





 雷帝神は、屹立きつりつする玄武げんぶの甲羅の突起の隙間から、干将かんしょうを振るった。


 彼は、サーリを生きたまま捕らえる必要が有ったので、攻撃はもっぱら前衛の女の子に絞る。かわいそうだが、敵の戦力は、各個撃破が基準だ。


 少女からは、小さな体からは想像もできない鬼気迫る気迫が感じられる。


 雷帝神の第一撃を紫姫むらさきひめは、横に受け流して、カウンターの一撃を放つ。


 紫姫むらさきひめの放った一撃は、玄武げんぶの甲羅の突起に当たって弾け飛んだ。


 雷帝神は、ニヤリと笑う。値踏みのために放った一撃の対処は大したものだ。


 人間の少女ごときと、侮蔑が胸に出てくるのを雷帝神は完全に理性で抑えていた。


 相手の力量もわからないうちから侮蔑するのは拙速せっそくだという事だ。油断しない事が大切だ。


 サーリ姫が、『雨』を降らせはじめた。雷帝神は、いぶかしむ。雷と雨は相性が良い。なぜ雨など降らせるのか。


 見ると、雨は雷帝神にだけ降っている。かなりの量の雨だ。サーリは面白い戦い方をする。こんな攻撃をしてきたのは初めてだ。


 彼はびしょびしょになった。そして、雷帝神は、とんでもない事に気付いた。自分が濡れネズミになっては、雷が禁じ手となってしまうのだ。


 雷帝神は、雷の神と言いながら、雷が無害というわけではない。だから彼は電気抵抗が高い玄武げんぶの甲羅に乗って雷撃を放っているのだ。雷は水により電導率が上がる。


 彼の欠点を、たった一つのしかも初級魔法の『雨』でついてきたのだ。


 これが、強い水魔法なら雷帝神は簡単に避けていただろう。緩い『雨』だから相手の意図を読み取れなかった。


 サーリが『大神の雷撃』を発動。雷帝神は、自らの得意技で攻撃してくるなど想定もしていないので、争う術もない。


 たった一撃で勝負は決した。


「サーリ姫。お見事です」


 アールがサーリと紫姫むらさきひめねぎらいの言葉を投げかけた。


 アールが心底関心した様子でサーリを褒めた。


 サーリ姫は首を横に振った。


「まさか、雷帝神様が雷の対処をされておられないとは思いませんでした。運が良かったのです」


 それが、『慧眼』という能力なのだろう。確率的に、どうすれば勝てるかを計算しただけ。


 サーリは、そう謙遜しているのだろうが、それがサーリの実力なのだ。


「もし、雷帝神が防御したら、次はどうするつもりだったのですか?」


 アールが尋ねると、サーリは「内緒です」とだけ答えた。


 やはり、二の手、三の手の戦い方が有るのだろう。


 いつも、力で相手を上回る事ばかり考えていたアールにとって、サーリの戦い方はとても参考になった。


 全ての戦いが終わり、仲間達が集まって来た。


「ごめんなさい。貴重な機会を台無しにしてしまったのですね」


 サーリが、皆の戦い方を見ていてアールにそう言ってきた。確かに、雷帝神などという高位の敵はそうそう会えるものではない。


 仲間達にとって貴重な戦闘経験の機会でもある。


「私達には、まだやらねばならない事が有るはずです。サーリ姫」


 戦いの機会だなどと、余裕を言っている場合ではないのだ。


「お兄様ですね」


「そうです。私の想定よりも、貴方のお兄様が強い場合、私かお兄様のどちらかが死ぬ事になります。


 しかし、そのどちらにもならない様に頑張ってみます」


 アールのその言葉で、サーリの陰鬱な顔が驚くほどに明るくなる。


「ですが、兄や私達のために無理しないでください」


 サーリが申し訳無さそうに呟くように言うとまた、顔が曇る。


「貴方の選んだ男を、信じてみてください」

次回は、ついにの天空編の戦いの方のクライマックスに突入します。



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