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良くある転生物語 聖と魔  作者: Seisei
第六章 青春期 天空編

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第四十四 サーリ

いつも読んで頂きありがとうございます。


新章『天空編』です。


天空では、サーリ姫以外に新しい仲間もできるかも。



第四十四 サーリ


 コツコツと、ドアの叩く音がした。侍女のシュエスタが人目を忍んでやってきてくれたのだろう。


 サーリは、ドアに走り寄って、返事のノックをする。


 ドアの下から、折りたたまれた紙をサーリは、取った。


「ありがとう。直ぐに行ってちょうだい」


 サーリは、手紙を両手で握るように持って、祈るような格好で囁く。


 去って行く気配がする。シュエスタは、彼女の小さな頃からの侍女で、年が近いから仲が良かった娘だ。今は、サーリの妹のメーサの侍女なのでサーリの寝所の前を通っても怪しまれないのだ。


 メーサが寄越してくれているのだ。


 手紙を開く。


『親愛なるお姉さま。


 会えなくて寂しいです。お姉さまを閉じ込めるなんて、本当にお母様のお気持ちは分かりません。


 お兄様は、何かと腐心してくれていますが、お姉さまの事は、どうしようも無いと悲しんでおられました。


 お兄様のお計らいで、部屋に小鳥を入れて頂ける事になりました。お姉さまも、小鳥で少しでも心休まれますように。


 フリンデハール卿が粛清されました。お母様は、気が狂ったとしか思えません。


 お兄様がお母様のお側で、お母様が暴走されないように腐心されていますが、お母様は別人のようです。


 お姉さま。この天界はどうなるのでしょうね。天界と第七層の『エルデハラ神聖国』で戦争が起こりそうです。


 何が何が訳が分かりません。フリンデハール卿が、謀反だとか、『エルデハラ神聖国』と戦争するだとか、お姉さまを幽閉するだとか。


 世の中の破滅が始まったみたいです』


 悲鳴のような内容だった。皆が全てがおかしいと感じながらどうする事もできない。そんな感じだった。


 心の中で、アールティンカーの顔を思い出す。自分の国ぐらいはと思って助けを求めなかったが、彼女は、自らの無能さを呪わずにはおれなかった。


 もっと早くに手を打つべきだったのだ。


 今、彼女の国がこのようになった事を分析してみて、原因は、一つしか思いつかなかった。それはツウラ兄様。


 彼女には、全てが手に取るように、その場で見ていたようにわかる。特殊能力『慧眼』だ。


 しかし、彼女は『慧眼』の警鐘を無視し続けた。まさか兄上がそんな人物じゃないと。


 彼女の兄のツウラは、真の天才だ。魔法の才能は、サーリよりも劣るが、ツウラは、頭の出来ではサーリよりもはるかに天才なのだ。


 ツウラの計画は、まだ子供の頃から着々と進められていたのだ。誰からも好かれる、皆の味方。


 お母様のサーラは、もともと心の弱い方だった。その心に何もかも入り込み心を支配してしまった。今は、お母様は、お兄様の傀儡となってしまった。心に疑心暗鬼を流し込み、不安定にさせ、思い通り操っているのだ。そう。『慧眼』でお見通しだった。


 自分の母親に、その様な恐ろしい事をするとは、なんと業の深い事だろうか。


 サーリは、天才の兄上の目の上のタンコブ。真っ先に幽閉されてしまった。殺されないのは、偏に生きていた方が都合が良かったからだ。


 こんな状態では、アールティンカーに連絡も取れず、薄情な女だと愛想を尽かされている事だろう。


 アールティンカーからは、年の初めにお祝いの品が届いていた。


 彼女からは、お返しを送ることも許されず、第一層のミネルバ皇女を通して手紙を何度か送っただけだ。


 アールティンカーからは、その後もお祝いが届いているだろうが、彼女からは手紙も出せないのだ。


 怒ってらっしゃるだろう。事情が分かったら許して頂けるか? それよりも愛想を尽かされ別の素敵な女性をお好きになってらっしゃらないだろうか。


 アールティンカーの事を思うと心がふさぎ込んで苦しくなる。





 二日して、サーリの部屋に小鳥が差し入れされた。


 鳥籠の中の美しい小鳥を見て、サーリの目が光ったが、鳥籠を差し入れた女官長のマナミの顔は全くの無表情だった。


 サーリの特殊能力をマナミは知っているのに知らない振りをしているのだ。


 もしくは、サーリの特殊能力を知っているから小鳥を差し入れるように手配してくれたのかだろう。


 サーリは、動物に乗り移る事ができるのだ。その能力は、兄上のツウラは知らない。彼女の周りでは女官長ぐらいしか知らないと思う。


 女官長のマナミは、実直を絵に描いたよう人物だから主人の能力を誰彼構わず話すなんて考えられない。


 サーリも、自分の能力をひけらかすのは一番嫌な事だったから。その性格が本当に幸いした。


 彼女は、兄のツウラにすら本当の能力については語っていない。彼女の本当の能力の事を一番知っているのはアールティンカーだろう。もし、天才の兄上がサーリの能力を知ったら彼女はずっと前に殺されていただろう。


 サーリは、小鳥に乗り移る。視野が狭い。


 先ほど少し開いておいた窓から外に飛び出した。


 猶予時間は、三時間ぐらいだろうか。目指すは、アールティンカーの部屋だ。


 天空の城を出て、地上界に向けて急降下する。


 子供の時から慣れた感覚だ。


 アールティンカーとお別れした丘が見えてきた。


 旋回して、パレスに向かう。あの、美しいパレスが見えてきた。


 アールティンカーの部屋へ。窓から入った。





 丁度その時、アールティンカーのベッドの上には、少女が寝転んでいた。


 彼女は、黄金の髪と青い目が美しい。一目で、必ず美しくなる事が約束されている事が分かる、そんな女の子だった。


 アールティンカーの妹アリスである。


「お兄様ばかり、好き勝手に何処かに出て行って。もう」


 この年頃の子は、兄弟だけが好き勝手していると思いたがるものだ。


 美しいドレスをパタパタさせて、足をベッドにぶつけている。


 アリスは、今年十一歳だ。


 サーリが乗り移った小鳥がアールティンカーの部屋に入ってきたのは、丁度その時だった。


 アリスは、突然の鳥の進入に悲鳴をあげる。


 鳥は、最初くるくる部屋を回っていたが、アリスの肩に舞い降りた。


 アリスが驚いて鳥を見ている。次にアリスが鳥と目が合った瞬間、彼女は意識を失ったかの様にパタリと倒れた。


 直ぐにパッと跳ね起きる。


「大変だ! サーリお姉ちゃんが」


 アリスは、父の執務室に駆けて言った。





 アールは、迷宮から帰ってから、仲間達の訓練に一層力を入れた。学院の勉強などそっちのけで訓練を実施した。


 彼は、魔界に行く必要を感じていたが、『きゃはきゅと』という名の『敵』の存在と、『きゃはきゅと』を消滅させた天帝級の魔法に少なからず脅威を感じたのだ。


 天帝級の魔法とは、人レベル最高の魔法でアール意外は、まだ使えない。それほど高度な魔法だ。そんな魔法を『敵』は時限魔法として使ってきた。時限魔法も相当高度な応用魔法だ。その二つが重ねがけされているのだ。恐ろしい『敵』だ。


 しかし、迷宮での、魔物退治は、仲間達のレベルを確実に底上げさせた。


 フリンツは、『旋風剣』に磨きがかかり実力は、大帝級となった。二姫達は、アールに軽いと言われていた剣撃が重くなって大帝級をそろそろ卒業だ。


 ヨランダードは、空間魔法のコツをつかみ、ようやく皇帝級の魔法をマスターしつつあった。ラーサイオンは成龍になりつつある。


 メイアは、召喚魔法のコツをつかみつつあり、召喚師としての才能を開花させつつある。


 だが、まだまだ不安定材料ばかりだ。


 このままでは、仲間を連れて、魔界のさらに深淵に行くことは叶わないだろう。


 アールは急ぐ気持ちと、慎重になる気持ちが複雑に交差していた。


 シーナ教授から呼び出しがかかったのは、そんな時だった。





 シーナ教授の部屋に入ると、意外な人が待っていた。


「アリス! こんなとこでどういう事?」


 アリスが上品な仕草でお辞儀をしてみせる。挨拶のつもりだ。


 アールはそれに構わず、アリスをガッシリ抱き上げた。アールの最も可愛いがっている妹だ。


 アリスは、人前でそうされるといつもは怒るが今日は、久しぶりの再会なので喜んでいる。


「お兄様。お辞めになってください」


 アリスが恥ずかしそうに言う。


 ようやくアールはアリスを離してやった。


「アリス。少し大きくなったんじゃないか。ますます綺麗になったね」


 アールは手放しにアリスを褒めちぎる。馬鹿兄上になりきっている。


「もっと良く見せてくれ」


 アールがアリスの全体を眺める。可愛くなった。前に会って、そろそろ一年半になる。もう十一歳になった。そろそろ女性としての柔らかさなんかも出てきてなかなか良い。


 アールの顔が崩れる。


 良く見ると、魔力・聖力の量も格段に、増えている。さすがに始祖一族の直系の子孫だ。立派なものだ。


「魔法は?」


「上級第一等をそろそろ卒業です」


 おお。白銀級じゃないか。アリスすごい!


 すると、驚いた事に闘気を纏う。


「闘気もなかなかじゃないか」


「ええ。教師が良いのですわ」


 アールの手放しの褒め言葉に、アリスもアールの事を褒め返す。


「で? 今日は?」


 ひとしきり、騒いだ二人だが、いつまでもそうしているわけにはいかない。シーナ先生も呆れている事だし。本題だ。


 そして、アリスは、サーリ姫の窮地をアールに伝えたのだった。





 サーリの窮状は、アールの想定外だった。『慧眼』を持つ彼女が そんな事になるとは。


 アールは、サーリを助けに行こうと思うが、仲間の修行の事もある。どうするか。


 アールが悩んでいると、シーナ先生がアールに珍しく意見してくれた。


「殿下。貴方の一番良いところは、何事にも前向きな事。もし、ヨランダード君の恋人が閉じ込められたとしてあなたは助けませんか。


 今、一番大切な事は、団結と協力。例えどんなに素晴らしい能力を持っていたとしても全てはできませんよ」


 シーナ先生のアドバイスは、身に沁みた。何でも一人で済まそうとする人は、何でもできる人にはなれない。


 人と協力できる人が何でもできる人になるのだと改めて思う。


アールは、仲間に協力の要請をして、天空に駆け上ることに決意した。


新章のプロローグのような章ですみません。


次話から、ガンガン飛ばして行きますのでよろしくお願いします。


すみません。妹の名がメイアとかマリアとか変になってました。アリスが正しいです。お詫びして訂正させて頂きます。

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