第四 アドバンテージ再び
第四 アドバンテージ再び
その日を境に家庭教師は姿を現さなくなった。
しかし本当の家庭教師がやってきた。
家庭教師はまだ若い女性だった。名前をシーナと言った。
アールは後で知る事になるが、シーナは最大最高と称される魔法学院を五年も飛び級して今年卒業した天才との噂が高い少女だった。
彼女には、両親から何らかの含みがもたらされていたのだろう。
「はじめまして。私はシーナ・ジュライと申します。アールティンカー殿下にはご機嫌麗しゅうございます。私は新しい家庭教師でございます。殿下のお望みの学科をご教授させて頂きますのでお望みがあれば仰ってください」
丁寧な挨拶だ。唯の一歳の赤ん坊にする挨拶でも一般の人にする挨拶でもない。
殿下って。
アールは頭を抱えた。これもアドバンテージなんだろうな。
こんだけのアドバンテージに対してどんだけ人助けをすれば釣り合いが取れるのか想像もつか無い。
自分は唯のお金持ちの息子では無かったのだ。メイドや家庭教師のハルトへのぺこぺこ感でなんとなく覚悟していたが神様か仏様かしらんけどやりすぎだよ。
「僕は、どのような家に生まれたのでしょう?」
アールは家庭教師に尋ねた。
シーナ先生は少し驚いたようだった。
「貴方は、マキシミリアン王朝の第一王子の第一子でらっしゃいます」
アールは頭を抱えたくなる。
「マキシミリアン王朝はどのような王朝なのでしょう?」
「殿下。マキシミリアン王朝は、我々ハイエンドの唯一の王朝で全世界で最大の王国でも有ります。もちろんハイエンドそのものがその他の全種族を支配している現状に照らせばマキシミリアン王朝は全世界の王と言っても過言では無いでしょう」
アールは本当に頭を抱えてうずくまってしまった。