第三十三 魔法ギルドの受付嬢
いつも読んで頂きありがとうございます。
魔法ギルドの受付嬢です。
冒険者、パーティー、ダンジョン攻略などの王道は、必ず入れたかったのでこの辺で入れます。でも、「良くある」と言いながら全くオリジナルが信条のこの物語ですので、普通でない迷宮攻略になるよう頑張ります。
第三十三 魔法ギルドの受付嬢
学内魔法ギルドに入った。
魔法ギルドの受付は、悪魔種の女の子のようだ。悪魔種は、魔界の人間で魔力が強く、魔法がとても上手だ。
見ると、受付嬢は、可愛い女の子みたいな外見とは全く違い相当な魔力を持っている。
悪魔種は、天神種と同じで魔力と聖力のバランスがすこぶる悪い。魔力ばかりが目立つ。彼らには、天神種と真逆の魔力を感じる魔眼を持っている。
「こんちは。可愛い嬢ちゃん」
もちろん。アール達一行の誰かが言ったものではない。
先客達がいたのである。先客達は、もちろんアール達と同じ新入生だろう。
アール達は、極普通の普段着を着ているが、先客達は、魔法師のローブのような少しあざとい感じのグループだ。
「用か?」
受付嬢は、にべもなく言った。用に、きまってるよ。用があるから受付にきたのでしょ。
案の定、「嬢ちゃん」発言の新入生が食ってかかる。
「何言ってるの? 受付嬢の取り柄は愛想でしょう。そんな態度でいいとおもってるのかい?」
なかなか、先客君も人を食った男のようだ。しかし、この新入生君達は、ダメだ。
魔力の量も修練もてんで話にならない。魔眼に丸見えだよ。
「お前達のような素人に用はない。とっとと帰れ」
受付嬢はキッパリと言い放った。
アールは、冒険者ギルドの事は知っていたがどうやら思っていたのとは大分違うのだと分かった。
見ると、受付嬢は、ムッとして何やら剣呑な雰囲気になってきた新入生達に『ブルースフィア』の水晶級の魔法をかけようとしているようだ。
美しい魔法の詠唱だ。
まぁ。できの悪い新入生とは言え、目の前の受付嬢がただの受付嬢ではない事が分かるほどには魔法がわかっている。まさか学内で水晶級の攻撃魔法をかけるつもりはないのだろうが、レベル違いを表明するには効果的だ。彼らは丁寧に謝って出て行った。
次にアール達が受付嬢の前に一列に並ぶ。
とびきりの美少年が二人。美少女が一人。竜種の巨人が一人だ。
受付嬢は、ラーサイオンに目をやって、その魔力総量に度肝を抜かれる。
おーい。ラーサイオン君。バレバレだよ。
次に、メイアを見て、メイアの魔力の総量をチェック。そこそこの大きさだと判断した。
次に、ヨッ君だ。また、受付嬢は魔力総量の大きさに驚いてギョッとしている。
ずいぶんと忙しそうだ。
次にアールを見る。そこで彼女は、怪訝な顔をする。
「あなたは、魔力を制御していますか?」
受付嬢はそう聞いた。「そこは、何かご用ですか?」でしょ。と突っ込みを入れたくなるが我慢。
「さすがに、水晶級の魔法をあれ程美しく使う方ですね」
アールが褒めてやる。この程度の魔法師は大抵自分が一番の天才って思ってるから、褒めそやしたりが必要。
「ふん。つまらんお世辞を言うな」
仰る通りです。
「お前達。新入生だな。何者だ?」
なるほど。魔眼持ちの態度は、こんなものかと、アールは思う。それほど緻密には分からないのだ。
魔力のだだ漏れのラーサイオンを見ればレベルぐらいはわかるだろうにと、アールは思ったのだ。
ヨランダードに魔力・聖力の総量制御を教えておいて良かったと、アールは密かに吐息をついた。
さすがに、魔法学院だ。これ程の使い手がゴロゴロしている。
彼女もあと少し成長すれば、魔力の総量だけでなくどれほど制御しているかで総合してレベル判定する事が出来るようになるはずだ。
魔法ギルドの受付を彼女がしているのは魔眼のこの能力が必要だったからだろうと思われた。
「まぁ。新入生だな。頼もしい新入生が入ったものだな」
アール達が答えないでいると受付嬢は一人で納得した。
「ところで、お前達は、何の用だ?」
やっと本題だ。
「冒険者ギルドの情報は、冒険者にならないともらえないのですか?」
アールが聞いた。
「まぁ、当然そうだが、レベルの低い冒険者にはろくな情報も開示されないだろうな」
「最近、魔物の数が増えている。それには人為的な操作が含まれているなんて事はありませんか?」
アールがとりあえず聞いてみる。
「それは、いまクエストで出されているな。魔物は、西部地方モンランタンの水晶迷宮と西南部サーフラカ地方の金剛迷宮の二つから魔物が大量発生している。そのところまではわかっちゃいるが、魔物の大量発生した迷宮探索は至難。原因が何だかは不明だ。
お前達なら迷宮探索に少しは役立つだろう。やってみるか?」
「どうすればやれるのです?」
「ああ。それでは冒険者ギルドの説明をしよう。
冒険者ギルドは、仕事の斡旋料と物販の儲けで運営されている。
仕事はクエストと呼ばれる。請け負うクエスト条件を満たせばクエストを受けることが可能だ。
冒険者ランクやパーティーランクがクエスト条件の場合が多いので冒険者ランクは高い方がいいだろう。
冒険者ランク、パーティーランクは、最初はランク試験で得ることが可能だ。
その後は、ギルドのランク委員会がランクを決める。
ギルドに関する説明はだいたい以上だ」
アールは、だいたい理解した。
「魔物の大量発生しているという二つの迷宮のクエストとはどんなクエストですか?」
「そのクエストを受けることができるのは、ランクがCランク以上となっている。君たちなら大丈夫だろう。
しかし、君達だけのパーティーではクエストは受けられない。君達には、防御力の強いアーマードがいない。それに重武装剣士が最低一人必要だ。そこの竜種君達が重武装剣士なのだったら別だけどね
どこかのパーティーに参加するということは可能だ。たぶん引っ張りだこだろう」
なるほど、アール達には、今、登録して、どこかのパーティーに参加するか、最低でもアーマードが必要なわけだ。しかも、ラーサイオンを重武装剣士としてパーティーを組んだとしてだ。速度重視のラーサイオンの利点を捨ててパーティー条件をクリアするだけのためにあまりにも勿体無い。
しかし、アールも自分がパーティーを組む場合、今の仲間ではあまりにも魔法側に特化していることを痛感している。
彼には、重武装の剣士、アーマードが必要になった。
第三十三 魔法ギルドの受付嬢
いかがでしたでしょうか?
だいたい副題に名前を出した人は脇役ではない人を出してきましたが今回は脇役です。
レベルが上がってきて受付嬢が水晶級なんて少しやりすぎました。
今回で忘れてください。普通は、王宮の正式な魔法師になれるレベルです。
ちなみに水晶級は、メチャメチャすごいレベルでもありません。シーナ先生は、14歳で水晶級だったからすごいのです。
自分の設定に言い訳してるのをお許しください。
次回は、水曜日までアップしたいと思っています。




