第三 裏アドバンテージ
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第三 裏のアドバンテージ
【アールの父ハルト視線】
ハルトは、家庭教師を招いてアールについて聞いて見た。
家庭教師は、狂喜するかのようにアールの天才ぶりを褒め称えたがハルトにしてみると単純に喜べない。
サファリも心配そうに家庭教師とハルトの話に聞き入っている。
「アールは異常なのでは無いのか? 正直に言ってみよ」
ハルトは鎮痛な面持ちで尋ねた。息子が異常だったら冗談事では無い。
「滅相もありません。ご子息様は何百年に一人の天才です。まだ二歳にも満た無いお年でわたくしの講義が理解できるだけで天才と言わずなんと申しましょう。
ご子息様がキッチリ理解されているのはお顔を拝見すれば分かります。確かに最初は私の話など分かるはずがないと思っておりましたが、ご子息様は理解さるておられるのを途中から感じておりました。このような天才であればこそ実際に魔法を使われてもおかしくはありません」
「しかしあいつはまだ二歳にもならないんだぞ」
「だから、天才なのでしょう。もしかしたらご子息様は伝説の魔法探知能力を持ってらっしゃるかもしれません。なぜなら私の講義中、魔法が見えないって話をした時不思議そうな顔をされておられました」
もともと、この家庭教師はアールが物心ついた時に勉強を毛嫌いしないように勉強に慣れる為に雇われた家庭教師だった。
彼は本当に赤ん坊にも分かる講義がしたいと言う夢を持っていてその夢が叶った形になる。
「しかし、キャサリンに聞くと全くの無詠唱だったらしいじゃないか? そんな事が出来るという話は聞いた事が無いぞ?」
「ハルト様。誠に申し訳ありません。ご子息様が無詠唱で魔法を成就されたのはわたくしも確認させて頂きました。
あの理論はわたくしも昨夜夢で天啓を受け本日初めて申し上げた理論でございます。なんだか不思議な夢でしてご子息様にどうしてもこの理論を申し上げないといけなきと思いました。神の天啓としか言いようがありません」
家庭教師はポツリと言った。
怒ったのはハルトである。夢の思いつきを息子にしたのかと烈火の如く怒り、家庭教師を首にした。
アールはこの家庭教師の夢の事は知らずじまいだった。もしその事を知れば自分がまたアドバンテージを得た事を知ったであろう。
次回は、『第四 アドバンテージ再び』です。