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良くある転生物語 聖と魔  作者: Seisei
第三章 青春期 学生編

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第二十六 ヨランダード・ドートマルキ

いつも読んでくれてありがとうございます。


しばらく、更新できなくってすみませんでした。


ヨランダード・ドートマルキ君登場です。


これから本筋に影響する話がところどころ出てきます。


魔法、種族の事などがもう少しハッキリしてきます。

第二十六 ヨランダード・ドートマルキ


 その時よりも少し時間を遡り、レイライトことアールがこのマムルーク魔法高等学校に転校してから、数週間後の頃のこと。


 ヨッ君こと、ヨランダード・ドートマルキは、カナピア地方トカナード郡サラール県アスカ地区の三分の二程度を領する地方領主の息子だった。


 父は王国の上級騎士で上級三等レベル魔法師である。


 彼の家系は、魔法が不得意で上級三等レベル魔法師という地方貴族としてはやや不本意な魔法師レベルに甘んじている。


 王国の階級制度では、爵位制度とその下位に騎士階級がある。騎士となれば普通領地が貰える。


 ヨッ君の家系は、七代程昔、財を成した偉い先祖様が貴族株を買ってから地方貴族の仲間入りをした。成り上りである。ドートマルキ家の始祖様は、少しでも、ハイエンドの血を呼び込もうと考えた。代々少しずつハイエンドの血統を巻き込みながら現在に至っている。しかしヨッ君の血にはハイエンドの血はほとんど混じっていない。


 なぜなら先代も現当主もハイの血筋よりも美人を好んで純ノーマルの女性と結婚したためだ。


 ヨッ君は、母親が好きだし祖母も大好きなのでその血筋についてとやかく言うつもりはない。しかし、ドートマルキ家の当主としてはどうなのだろうかと思っている。


 少しでも、貴族っぽくしたければ、ハイエンドの血を呼び込めばいいのだ。もし、純ハイエンドの血筋と結婚したらその子はいきなりハーフになるのだ。


 しかし、純ハイエンドは、こんな地方にはたくさんいるわけではない。


 ハイエンドの血統が多いはずの高等魔法学校でも七、八人しかいない。しかも、少し怪しい純ハイエンドも混じっている。


 ヨッ君は、自分にはハイエンドがほとんど混じっていないと思っている。祖父で十六分の一だとか言っていたからほぼゼロだ。


 祖父などは、先祖帰りだってあるはずだ、なんて言うが、どっちかと言えばノーマルのご先祖様の方に先祖帰りしそうだ。


 しかし、祖父と父の作戦をヨッ君も理解できないわけでない。ハイエンドは、限りなく美しい。その美しさも貴族らしさの評価に入る。そして、もちろんノーマルにだって美しい人はいる。


 ドートマルキ家は、お金を稼ぐという才能があり、それはとても貴重な才能だし、魔法は、まぁおまけみたいなものだとして、もう一つの美しさに拘ったと言うことだと理解している。


 この選択がドートマルキ家の実利面の有能さを表しているのかもしれない。


 ヨッ君の祖母、母親は、ノーマルの中でも飛び抜けて美しい人でかつ同じ特性を持った人達だ。人柄が明るく良い性格で主人を立てる。一般庶民だが気立てが良くて美しい。嫁さんにするには最高の特性だ。


 結局、祖父も父も本当に実利主義者なのだ。


 さて、ドートマルキ家では、次第の当主であるヨッ君に魔法の才能など有るとは全く思っていない。だがヨッ君は、実利主義者の権化の二人の当主の目論見どおり、上等なハイエンドの貴族様と見紛う美しい青年になった。


 父などは、自分は、性格の良い美人と結婚でき、目的の外見が得れたのだから文句あるまい。と、そううそぶいている。


 ドートマルキ家のご先祖様は、さぞ草場の陰で泣いてらっしゃるに違いない。


 そんな、ヨッ君の前に現れたのは、神様だ。中央の高級官吏の息子で純ハイエンド。それどころか始祖様の子孫だという。


 もう、ヨッ君からしたら神様だ。しかも、噂では、上級の魔法の中間ぐらいまでをスパっているとか。え? スパ? パスの逆。合格って事。


 ヨッ君は、三年生だが、純ノーマルのマサさんみたいにマホオタではない。親に言われて嫌々このクラスに在籍しているに過ぎない。


 もちろん、これはあまり大っぴらには言えないが全てお金で解決って奴で入学している。


 マムルーク魔法高等学校は、私立だ。超有能な特待生が一割程度おり、それなりに有能な受験生が大部分を占め、親が有能でお金持ちの逆特待生が一割程度いる。


 親の金銭に物を言わして頂いたおかげで、努力も才能もないのに入学し、年度とともに名誉魔法師の免状を頂いて卒業する事になっている。


 魔法レベルは、中級特等か上級第三等のどちらか、お金が潤沢な両親に恵まれた逆特待生は、上級第三等魔法師の免状がもらえるはず。


 ある日、ヨッ君は、レイライトに自分の実状を打ち明けた。レイライト君は、ヨッ君のような立場の人間を理解できないのか不思議そうにしていた。


 詳しく話してみると、レイライト君は大変感心すると同時にヨッ君に次のように聞いてきた。


「そんなに魔法がマスターしたければ勉強すればいいじゃないか?」


 はい。ごめんなさい。その通りです。


「僕は、魔法が好きじゃないので、上達する見込みもないのに勉強なんてできないよ」


 言い訳のための言い訳を言ったと自分でもよく分かっている。


「君に才能がないと、誰から聞いたの?」


 レイライトが女の子の様な綺麗な瞳にキラキラ星を煌めかせながら聞いてきた。


 なんて、綺麗なんだ。と、ヨッ君は頭がボーとする。いやいや自分にはそんな趣味は無いぞって、言い聞かせる。


 ヨッ君は、鏡に映る自分を見るのが好きだ。まぁ、ナルシストだ。だって、綺麗なんだもん。


 しかし、レイライトは、何と言うかレベルの違う美しさがある。髪の毛は、どこまでも細い白くさえ見えるプラチナブロンドで、目は透き通る様なスカイブルー。鼻も顎もどこもかしこも繊細で滑らかだ。


 凄く綺麗な女の子よりもずっと綺麗だ。ウットリ見惚れてしまう。


 レイライトは、体格も素晴らしい。同じ歳のヨッ君と比べてもふた回りは大きい。しかも、端整なのは顔だけではなく体型もとても端整でバランスが取れている。


 足は長くスラーと伸び、肩幅は広くかつ適度に筋肉が覆っている。何から何までヨッ君とは比較にならない。


 そんな雲の上の存在であるレイライトは、しかしヨッ君とも普通に話してくれる。本当。いい奴だ。


「ウチの父上やお爺様がそうだったから。血統から言えるのさ」


 レイライトは、美しい顔を曇らせて考えるような仕草をした。


「僕は、ヨランダード君は、決して才能が無いとは思わないよ」


 レイライトは軽く笑いながら言った。


 その言葉は、ヨッ君には新鮮だった。


「僕の目標は、実力で上級になれることなんだけど。もし、上級第二等白銀級になれたら夢見たい」


 ところが、レイライトは恐ろしいことを言ったのだ。


「何言ってる。君がその気になるなら大帝級にだってなれる」


 さすがにヨッ君は、そんなバカな。と取り合わない。


 大帝級なんてのは、人間族にはもともとなれるレベルではない。そんなレベルになった者は人間ではハイエンドでも御神祖様と第三祖様ぐらいのもんだ。


 あるいは、伝説の魔神族、天神族、龍神種、神獣種などの神様達か、魔界の魔族はどんな種族がいるのかわからないが、魔族の中で特別な種族からならそんな凄い者になれるかもしれない。


 ヨッ君は、漠然としか知らないが、魔王級ぐらいなら神族、魔族からそれなりになれる者もいるのだろうが、魔大帝や聖大帝なんて位の者は伝説でしか存在しない作り話みたいに感じる。


「信じる。信じないは、君しだいさ。しかし、目標を小さくもっちゃダメだよ。目標以上になれないどころか目標も達成できないよ」


 レイライトの言葉がヨッ君には厳しく響いた。


「そんな事は、神祖様の子孫で優秀な才能を、引き継いだ君だから言える事だよ」


 珍しく、ヨッ君が強い口調で言った。


 ところがアッサリとレイライトは、それを認める。


「確かに、僕は、ハイエンドの中のハイエンド。神祖様の末裔さ。才能を持って生まれ、苦労なく高位の魔法を修得した。しかしヨランダード君。そんな、僕だから君やノーマル達の才能が見えるのさ」


 レイライトの言葉に、ヨッ君はある事を思い出した。神祖一族には、魔法を探知力を持つ者がいるという噂があることだ。都市伝説として気にも止めなかったが。


「レイライト君は、魔法を感じるみたいなことができるの?」


 レイライトはそれには答えず意外なことをいう。


「魔法感知能力は、とても特別な能力だけど、その能力も訓練で養うことができるかもしれない。

 たぶん才能っていうんだったらその能力があるかないかが才能かもしれない。

 ヨランダード君は、魔法感知能力をどう思うの?」


「魔法感知能力なんて、神様か魔王様なんて特別な人しか持てないんじゃないの?」


 そのヨッ君の質問になぜだかレイライトは、声をあげて笑った。何がおかしいのかヨッ君には分からない。しかし、レイライトはヨッ君が想像もしないとんでも無い事を言い出した。


「ヨランダード君。君は、たぶん先天的に魔法感知能力が有ると思う」


「そんなはずないよ」


 ヨッ君は、まるで信じなかった。しかしレイライトは、さらに以外な事を言うのだった。


「君は、自分がどれほど恵まれた才能を持って生まれたか気づいてないだけさ。

 君は、たぶん先天的な魔法の天才だと思うよ」


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