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良くある転生物語 聖と魔  作者: Seisei
第二章 青春期 初恋編

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第十八 神々の降臨

第十八 神々の降臨



 女帝ミネルバからのマキシミリアン王国皇太子への会見の申し込みは、直ぐに了承された。


 翌朝、ミネルバは天界の神々達一行を伴ってエバーハークに赴いた。


 ひとまず、聖女達は控え室で待っていてもらい、皇太子に会う事になった。



✳︎



 突然、雪の女帝ミネルバから面会したいと言ってきた。父王のハルトに了解を得て会う事とする。


 他国の長からの面会の申し出を断る訳に行かない。


 思えば、幼児の時に会ったきりだがよく覚えている。悪い印象はない。生意気な息子をかばっていた印象がある。


 ミネルバが到着したとの知らせを受けて会見場にはいった。


 ミネルバは、昔のまま細面の美しい姿だった。


 ミネルバは、大きくなったアールを見て目を細めて見た。自然に顔が笑顔になっている。


「失礼ですが、殿下は想像した通りのいえ、それ以上の方になられました」


 ミネルバが言った。


「まだ、未熟者です」


 アールが答えた。


 ミネルバが何を思ったのかため息をつく。


 アールは思わず不思議そうに顔を覗く。


「申し訳ありません。我が子との差に少し」


 アールは、不遜な顔で幼児だった彼に無慈悲な神威を繰り出してきた皇子の事を思い出した。


「本日いらっしゃたのは、同行されている天神種の方々の事ですか?

 天神種が下界に来ると言うのは珍しい事のはずですよね」


 アールは気さくに尋ねた。


 ミネルバは、ギクリと驚いた顔をしてアールを見る。


「殿下は、本当に何でもご存知なんですね。

 確かにその通りです。しかし殿下はどうして天界の神々の事までご存知なのですか」


「わたしは天神種の知り合いがいるのですよ」


 アールならそんな事もあるのかとミネルバは納得する。


「では、天神種が自分達が尊い神々であり地上界を下界と呼び、地上界に住む者を蔑んでいる事もご存知ですね?」


「もちろんです。天神種は平均的に魔力がハイエンドと同じくらい、聖力が倍近くいあり、主に神威・奇跡を得意とすると聞いています」


「魔力・聖力の事はわたくしも知りませんが、今回の御一行は、少し特殊です」


 ミネルバは天神種一行の構成を説明した。


「サーリ皇女は、聖女という異名があります。たぶんアールティンカー殿下と同じ様な特殊な才能を持って生まれた方だと思います。

 その他の方も相当に優れた方ばかりが来られているようです」


「その天神種の方々がどのようなご用で?」


「サーリ皇女殿下は、下界を散歩したいと仰せです。しかし、本当の目的はマキシミリアンの王に道案内をさせ恥をかかせてでも支配者が誰かを知らしめるって言う子供じみた目的が裏にあります」


「どうして裏の目的まで教えてくださるのです?」


「彼らがマキシミリアン王国を軽んじ過ぎているからです。もし、天界と戦争をしても良いというのでしたら、バカな企みに組する事はないので彼らを不法入国で拉致されるか追い払えばよろしいかと」


「彼らは、どのようにしてわたしに支配者が誰かを知らしめるつもりなのです?」


「力ずくのつもりのようです」


「力ずくですか? 特殊な能力の皇女がおられれば可能かもしれませんね。ミネルバ陛下は、彼らの力の程度がわかりますか?」


「彼らには階級で能力の高低を表していると思われます。御一行には、三位から中級六位までの階位がいらっしゃいます。しかし聖女サーリ皇女殿下はそれよりも強い先祖返りみたいな特殊な能力があるとか言っておりました」


 アールは考え込んだ。天上界の神々がどうしてアールを目当てにやってきて力ずくで配下にしようとしているのか不思議でならないし、神々とは最も関係の深いミネルバ帝が彼らを裏切っている。


 アールは、信じられないのでミネルバの考えている事をスキャンした。


 これは嘘をついているか真実を言っているかそのどちらかしかわからない魔法だ。


 相手のプライバシーに配慮した素晴らしい魔法なのでアールは多用している。


 結果はピンクとなった。


 嘘ではない。


 次にアールは、ミネルバを味方に引き入れる事にする。


「戦争になったらたぶん勝つと思うのですが、デハリアー神聖国は、我が国との不可侵条約と天上界との盟約とのどちらを重視されるのですか?」


「我が国は、自国の方針に抵触するようないかなる条約も現在のころ結んでいないと考えています。そして条約は破棄されるまで有効に機能されるでしょう」


 デハリアー神聖国は日和見である事を確約したのだ。


「我が国は、貴国が友好な関係である限りいかなる敵意も持ちません。しかし戦争とは臨機応変の対応を要求されるもの、緊急の場合貴国内を連絡なく軍を進める場合があるがいかですか?」


 アールも政治家風に言ってみる。


 この問いにはさすがにミネルバは即答できなかった。しかし彼女は時代のすう勢に機微な女性だった。彼女は決心した。


「皇太子殿下。我が国は、不可侵条約を一歩進めて貴国に軍事同盟を提案します。

 と言いましても我が国は弱小国。貴国の庇護をお願いします。

 ただし、条約の公表は貴国が我が国の国境を越えて第六層ドルファン神聖国と交戦状態になった時という事でお願いします」


 アールは笑いながらうなずいた。


「直ぐに調印の準備をさせます。王と主要大臣との協議に三時間程頂けますか」


 ミネルバはうなずいた。


「ちなみに」とミネルバ。「天界の神々御一行はいかがされますか」


「我が国は基本的に戦争も領土も欲しておりません。しかし我が国の主権を脅やかすあらゆる存在を全力で排除しますし、そのための武力行使も厭いません。

 天神種の方々がどのようなご意見をどのように申されるのかは分かりませんが、承るしかないでしょう」


 ミネルバは、アールティンカー皇太子らしい言い方だと思って聞いていた

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