第十六 後始末
第十六 後始末
結局ラバン総督もザナビス公爵も何も知らなかった。
ザナビス公爵家は取り壊しとなり、公爵以下関係者は斬首された。
百万人もの無実の人間が行方不明となっておりその手掛かりを求めて情報が収集された。
人攫いにあった人々は、奴隷として世界各国に売られていた。王国は、世界中の奴隷の身元を確認させ今回の事件に関係した商人を全世界から収監させ取り調べさせ、組織の解明に当たらせた。
取り調べは過酷を極めたとされる。
アールが今回の人攫いの事件でここまでの強硬な手段を講じたのには本当の理由がある。
それは奴隷制度に対する反発心があったからである。
彼は奴隷制度を世界的に全面禁止にするつもりだった。そのためになら世界征服も視野に入れていた。
そのためにハイエンドが滅ぼされても仕方がないとすら思っているのは内緒だ。
考えてもみたまえ。もし自分の自由を奪い強制的に使役する奴がいたとして。誰に権利がある?
ちなみにスカイハートは貴族の身分を剥奪された。私服は一切肥やしておらず義憤に駆られた行為だとして財産は没収されなかった。貴族の身分を落とされたといっても領地が残るなら直轄領の地方貴族となる。
もちろん寛大な処置が取られたのには皇太子の口添えがあったからである。




