表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狼の生贄 -伊豆高原殺人事件-  作者: 青木 地平
23/32

肉薄

静岡県警察本部

 山岡本部長は本部長席の椅子に腰掛け、机上には今朝の東報新聞を広げそれを食い入るように読んでいた。一通り読み終わると内線電話で山谷刑事部長を呼び出す。急いでやってきた山谷に対し「どうやら我々も捜査の戦線に加わらなきゃならんようだな」と山岡は机上のそれを眺めながら言った。

「はい、どうやらそのようで、ただ、官邸や警察庁の方はどうなっているのでしょうか?」

「今は東京の方もてんやわんやだろう。それにこれだけ出てくれば誰がなんと言おうがもうやるしかあるまい。報道されていることはほぼ事実なんだろうからな。とにかく、いつでも捜査方針の転換に対応できるよう準備だけはしておくんだ」

「はっ、分かりました」

「じきに上級庁からも何か降りてくるだろう。とりあえずマスコミには広報課に対応させろ。今はとにかく『目下事実関係を確認中』、『捜査中の事件につき詳しくは話せない』この二つで押し通せ」

「はっ、かしこまりました」


総理官邸

 宮坂首相は苛立ちながら総理執務室を歩き回っていた。

「おい、どうなっているんだ!?。誰に許しを得て特捜は動いているんだ?」と宮坂はその苛立ちを隠そうともせず傍らにいる官房長官の杉山に怒りを込めた質問をぶつける。

「はい、それが私としても何がどうなっているのかさっぱり分からない状況でして…。検事総長にも先程問い合わせましたが彼も今回のガサ入れについては何も聞かされていなかったようで、どうやら特捜部独自の判断らしいのです…」

「ったく、何を考えているんだ特捜は!。特捜部長はなんて名だ⁉︎」

「笹田と言いますが…、しかし総理、今は政府としては何も動かない方が上策と考えます。いざとなれば指揮権発動も辞さずなどともしお考えでしたらそんなことはもっての外で絶対にしてはなりません。その他にも下手に検察に圧力をかければ捜査に介入したと野党から格好の攻撃の的にされてしまいます」

「う〜む…」

「とにかく今は忍の一字です。マスコミに訊かれても、『目下、事実関係を確認中。捜査は司直の手に委ねてあり政府としては推移を注意深く見守る』ということでいくしかないと思います」

「う~ん」と宮坂は返事ともつかぬ呻き声を上げ、天を仰いだ。


警察庁

「検察・特捜部は派手にやっているようだな」と警察庁長官の太田は苦笑いながら言う。

「特捜部の独断らしいですが…」

「うん、だろうな…。それにしても政権に楯突くんだ。相当な覚悟だろうよ。俺にはとてもできんよそんな真似…」

「しかし、長官、検察から新たな応援要請があった場合はどうしましょう?」

「う~ん。とりあえず応えないわけにはいかんだろうな…。まあ世論の反発を買わん程度にやるしかない。頑張ったって所詮主役は特捜だ。適当にお茶を濁してやれば政権にも恩が売れる…」

「しかし…、この事態を受けて政権が持つでしょうか?」

「うん…、確かにな。もしかしたら宮坂政権はもうだめかもしれんな…。ただ民友党政権としてはすぐには倒れんだろう。衆院の任期もまだあるし…。少なくても次の総選挙までは民友党の政権は続く…。とりあえずここで媚びておいても損はない」

「はい」


東京地検特捜部

 特捜部の部屋には捜査員の出入りが激しく次々と家宅捜索で押収した証拠品などが入った段ボール箱が運び込まれる。電話がひっきりなしに鳴り響き部屋は修羅場と化していた。

 特捜部員らはその運びこまれた段ボールの中から村田事務所等から押収した銀行通帳やカネの流れを示すと思われる帳票類を片っ端から抜き取っていく。パソコンやUSBメモリーも押収してあり、すぐに立ち上げて分析する。建設会社からの不透明な資金の流れを解明するためである。捜査するのは主に裏ルートからの資金、つまり裏金の流れだが、賄賂は表から来る場合もある。村田の政治資金収支報告書も睨みながら厳しく分析を進める。収賄罪は職務権限と請託と賄賂そしてその職務権限に基づく便宜行為が確認されないと成立しない。

 そして、表のカネというのは政治資金収支報告書に載っているカネのことでそれ以外の政治献金はごく一部の例外を除き基本的には全て違法な裏献金ということになる。難しいのはたとえ献金があっても政治資金として証明されなければ立件できないということだ。個人的な借金だということで言い逃れていった政治家も過去にはいた…。

 そうこうしているうちに部長席の電話が鳴る。笹田が瞬時に受話器を取る。かけてきたのは北海道にある村田の地元事務所に派遣されていた捜査員からだった。村田陣営による買収等の選挙違反(公職選挙法違反)の疑いが強まり、そちらのほうも捜査したいので北海道警に捜査の応援要請を願い出たいとのことだった。笹田は二つ返事で了承した。すでに強制捜査に踏み切っている以上、特捜部としては村田の逮捕容疑は一つでも多く稼いでおきたいところである。


村田孝一経産相・事情聴取

 強制捜査開始から約一週間、その間東京地検特捜部は怒涛のごとく捜査を進ませ、今度はいよいよ本丸に攻めかかろうとしていた。村田孝一経産相への事情聴取である。

 すでに任意での聴取要請を行なっていたが村田からの答えはなかなか来なかった。しかし3回目の要請でようやく聴取に応じるという回答を得た。


 事情聴取は村田が潜伏している都内のホテルで弁護士同伴で行なわれた。担当検事には上川が抜擢された。

「東京地検特捜部検事の上川といいます。本日は我々の事情聴取に応じて頂きありがとうございます」とまず上川は村田に対し丁重に礼を言った。

「いいえ…。まあ、こういうことは慣れていないのでね、できれば手短に願いたい」と村田は早速牽制の言葉を投げてくる。

「ええ、先生が正直に事情をお話し頂ければすぐに終わります」と上川も負けじとすぐに応戦した。

「俺は本当のことしか言わんよ」

「ええ、そう期待しております」

「それと今日はこちらの弁護士の山内先生にも同席していただくが、よろしいかな」

「ええ、結構です。あと記録のために音声を録音させていただきたいのですが…」

「ああ、構わんよ」

「ありがとうございます。それでは早速ですが談合事件からお聴きします。

あなたは平成27年7月17日列島建設以下大手5社が集まる会合において東北海道総合開発計画、通称、道東プロジェクトの一つである遠東自動車道建設工事に係る指名競争入札において談合を策し、そこであなたはいわゆる『天の声』を発して受注企業を実質的に取り決めた。その際に国土交通省道路局長、島田政男に依頼し工事の予定価格を予めあなたが受注企業に指定した列島建設株式会社、そこの第一営業部部長、高橋直樹に密かに漏らすよう便宜を図った。その便宜の見返りに列島建設から10億円の裏献金を受け取った。これは事実ですか?」

「フ、話にならんな。そんなものはまったくの事実無根だ。そんな記憶は私にはない!」

「しかし証拠は挙がってるんですよ、村田さん!。島田と高橋の証言は取れています」

「知らんというものは知らん!。それにもしそれが事実として一体何の罪になるというんだ?。私は国土交通大臣ではなく経済産業大臣だ。この工事については何の職務権限もない。私はただの部外者だ‼︎」

「確かに今の経済産業大臣というお立場からは収賄罪での立件は難しいとは思います。しかし、あなたは国会議員という立場でこの工事を含めた道東プロジェクトの誘致に中心的な役割を果たしています。国幹会議のメンバーも務めてらっしゃいましたよね?。またこの当時は衆院国土交通委員会の委員もなさっている。工事について職務権限はあったと解しますが、どうですか?」

「そ、そんなことは裁判所が判断することで私が判断することではない!。とにかく事実無根だ。私は談合なんか仕組んではいないしカネだって受け取ってはいない。百歩譲ってその談合の事実があったとしてもだ。それは私の名をかたってやった者の仕業だろう…」

「あなたの秘書とかがということですか?」

「うん…。私は自分の秘書を信じたいという気持ちはあるが、人間誰しも魔が差すということはあるだろう。特に権力というものに近いとな。日頃から秘書達には、私心を忘れ公に尽くすようにと言っているが、中にはその言葉を忘れ、私欲に走る者がいないとも限らない。人の世に絶対はないからな」

「まあ、そんなこと言っていられるのも今のうちです。捜査が進めば自ずとその辺も明らかになっていくでしょう。それから、列島建設からの裏献金の事実が明らかになれば政治資金収支報告書に記載がないいわゆる無記載の罪に問われます。よしんば書き忘れで通せても政治資金規正法の総量規制に引っ掛かります。もしこのカネが個人の財産と認められれば脱税のかどで所得税法違反にもなってきます」

「フフ、そう簡単にいくかな。もしそれが事実だとしてもだ。いずれも秘書の不始末。私には関わりのないことだ。うん…。ここからはオフレコで願いたい。レコーダーを止めてくれ」

「これは任意聴取ですので、どうかお願いします」と弁護士の山内が硬い声で言う。

「仕方ありませんね」と言って上川は渋々レコーダーのスイッチを切った。

「規正法の総量規制違反なんていうのは今までの例からいえば、多すぎる分は返金して収支報告書を訂正しさえすればそれで済まされてきたものだ。もし、私だけそうならないというのならばそれは法の下の平等に反するんじゃないかね?。うん?」

「お言葉ですが大臣、規正法違反での立件、さらに逮捕というのは数こそ少ないものの過去にあることはあります。それは国会議員の先生でもありました。もし村田先生に明白な違反が認められれば当然立件し、場合によっては逮捕せざるを得ないことになるかもしれません」

「フフ、立件しても所詮、政治資金規正法違反なんていうのは『立ち小便』のような軽犯罪みたいなものだ。少なくとも今まではそう見られてきた。そうだよな?」

「…」

「だいたい規正法違反なんてのはな裁判でもたいていは形式犯として処理され、せいぜい罰金刑になるのがいいところだ。そんなことで立件してもおまえらにとってさしたる手柄にはなるまい。天下の東京地検特捜部の名が泣くぞ」

「お言葉ですがそれは金額の大きさとそのカネの性質によると思いますよ。先生のように実力のあるお方ですとそんじょそこらの議員先生とは集まるカネのケタが違います。過去には5億円もの裏献金を受け取っていたにも拘らず罰金刑で済まされた国会議員もいましたが、その時の検察批判が凄まじかったことは先生もよく覚えていらっしゃるでしょう。億円単位の裏金をもらって罰金刑などというのはもはやあり得ないと思っていただいて結構です。こういう事案は特捜部としてはしっかりと立件させていただいて容疑者を検挙、場合によっては逮捕し、起訴させていただきますのでよろしくお願いします」

「フッ…、強がっていられるのも今のうちだ。私は永田町や霞ヶ関にも友人が多くいてね。君がさっき言っていた脱税容疑一つをとってもだ、こういうのは国税庁が動かなくてはならんよな。私は国税庁にも友人が多くいてね。そう簡単に君たちのために動いてくれるかどうか…」

「ええ、先生が国税庁はじめ官庁関係、特に財務省関係にご友人が多いことはこちらもよく存じております。しかし、そのご友人方もいつまで頼りになりますかね。現に財務省はだんまりを決め込んだままじゃないですか」

「今のうちはな。でもな、ほとぼりが冷めたら怖いことが起こるかもしれんぞ。特に財務省は怖いぞ〜。なあ悪いことは言わん。今のうちに捜査から手を引け!。列島建設の高橋から道路局長の島田にもカネは渡っているはずだ。そいつらを立件して今回は手打ちにしろ!。そうすれば俺の古巣の財務省に掛け合って今度の補正(予算)で法務・検察の要求を通してやる。もちろんおまえら特捜の『功績』も上に伝えてやる」

「村田さんお得意の買収ですか?。前のスーパーゼネコン汚職事件でもこういう手を使ったんですか!?」

「何だと⁉︎」

「せっかくのお話ですが、お断りいたします!。私はスーパーゼネコンの時には特捜にいなかったので詳しくは存じませんが、そういう手は前回までは通用したかもしれませんが今後はそうはいきませんよ!。そんなことをしたらもう世論が黙っていません。それこそ特捜部存立の危機に陥ります。しっかりと政治家の悪事を暴いていくそれが私たちの使命です。そして悪徳政治家には一刻も早く政界から退場していただく。それが私ども、いや全国民の切なる願いです!!」と上川は言い切り、村田の申し出をきっぱりと断った。

「フン、そうか、じゃ、まあせいぜい頑張るんだな。とにかく俺は何も知らないし、記憶もない。言えるのはそれだけだ」

 今回の村田の聴取は終わった。ほとんど何の収穫もなかったが検察としては想定内のことであった。


経済産業省

 村田経産相が特捜部の事情聴取を受けたという事実はマスコミで大々的に報じられ、結果として村田は大臣辞任に追い込まれる。村田は経産省内で辞任会見を行なった。


「この度はこのように世間をお騒がせし誠に申し訳ございません。ひとえに私の不徳の致すところと深く反省をしております。私事でこれ以上経済産業政策ひいては国政の遅滞・混乱を来たすことは許されず本日をもって大臣の職を辞することを決意いたしました。

 ただ、私はこれまで一貫して政務を忠実に行ない、一切の法は犯していないと自負しております。捜査には全面的に協力してまいりますが、同時に私自身の潔白も晴らしていきたいと思っております。なお事件・捜査に関するご質問には現在捜査中の事案であり一切お答えすることができませんので御了承ください」

「以上終わります」と傍らの係官が有無を言わさぬ態度で会見の終了を告げた。

 しかしそれに構うこなく記者の質問が矢継ぎ早に飛んでくる。

「大臣、列島建設からカネは受け取ったのでしょうか?」

「事情聴取では何を話されましたか?」

「談合に関与したことを認めますか?」

 村田はそれらの質問には一切答えず廊下に出た。そして廊下にも溢れていた記者たちにもみくちゃにされながらそこでも一切無言を貫き、しつこくまとわわりつく記者たちをかき分けてやっとのことでその場から逃げるように立ち去った。


東京地検特捜部

 一方、頑強な村田本人とは別に特捜部は今回の奇襲攻撃とも言える強制捜査により着実に外堀を埋め、捜査の本丸である村田本陣に着々と迫りつつあった。既に列島建設幹部と国交省道路局長が談合を行なったこととそれに伴う贈収賄や裏献金の事実を認め逮捕されていたし、村田の公設第一秘書の岡村重義も任意ではあったが連日の取調べで音を上げ始めていた…。そして、談合に関与した事実とそれに伴う不透明なカネの流れが関係者の証言から次々と明るみに出て岡村はシラを切り続けることができなくなり、ついに自らの罪を認めるに至った。すぐに岡村に対し談合の実行犯として官製談合防止法違反(談合幇助)の容疑で逮捕状が請求され、それが出次第逮捕される運びとなった。『村田逮捕の日も近い』そんな空気が特捜部内を覆う。

 また、押収した資料の分析が進んでいくうちに談合に絡む村田に対する違法献金の存在がはっきりしてきた。すでに取っている関係者の証言にほぼ沿った額でカネの動きが確認できた。政治資金収支報告書には記載がない。手渡しで受け取ったとされる裏金はこれまで得られた関係者の証言通りほとんどがその日のうちに村田の妻を始めとした親族や秘書らの個人名義の銀行口座に預けられていた。それも全額普通預金で…。すぐに引き出すことを念頭に置いた処置だろう。上川はそう思った。通帳などから確認された裏金の総額は全部で12億円にも達した。そしてそのカネの半分弱の約5億円が昨年9月に行なわれた総選挙の直前に引き出されていた。振り込まれたカネの目的が選挙資金であったことは容易に想像がつく。『あとの残りは…、おそらく来たる総裁選のためにとっておいてあったのだろう』と上川は見当をつけた。いずれにしろ村田の政治資金規正法違反はこれで確定したと言ってよい。『よし、これで村田をパクれる』と上川は嬉々として立ち上がり笹田特捜部長のもとに向かった。


「部長!、村田の犯罪は明らかです。すぐに逮捕状を請求しましょう」

「うん…、そうだな。だがな上川、これだけでは弱いかもしれんぞ…。やったのは秘書だ、妻だと言って言い逃れられてしまうかもしれない。村田を逮捕することだけが目的なら容疑はとりあえずこんなものでいいかもしれん。しかし、村田の言っていた通りではないが、政治資金規正法違反での逮捕はあまり前例がないというのは確かだ。う~ん、これだけで立件して逮捕し起訴するとなるとマスコミなどからも『本筋から外れた逮捕だ』と批判を受けるかもしれん…。う〜む、ここはやはり本筋である官製談合防止法違反、もしくは受託収賄といった罪名で立件・逮捕したいというのが隠しようのない俺の、特捜部の本音だ。まあ順番は多少入れ替わってもいいとは思うが、とにかく本筋でパクれなければこの捜査、俺たちの負けになる…」

「うん…。ええ…、そ、そうですね…。確かに本筋で立件・逮捕したいという心情は当然私としてもあります。では部長、島田と高橋それと岡村を徹底的に洗いましょう。ぜひ彼らの取調べを私にもやらせて下さい!。外堀を完全に埋めれば村田にはもう逃げ場がありません‼︎」

「うん、そうだな。だがな…上川、捜査はチームで動いている。あんまり一人で抱え込もうとするんじゃない。取調べは今やっている者に任せておけ。少なくともおまえよりは経験のある者ばかりだ」

「あっ、ええ、すみません。少し気負ってしまって…」

「うん、では、おまえは引き続き押収資料の精査に当たるんだ。とにかく我々は余罪を追及していく以上もっと奴の容疑をとっておきたい。特捜部としては村田の犯罪に係る証拠と思われるものはほぼ押さえていると自負している。つまり今ある押収物という宝の山を精査してから逮捕しても遅くはないということだ。それに、下手に早く逮捕してしまうと勾留期限の縛りが出てくるという問題もある。逮捕したからといって必ず期限までに起訴できるとは限らんからな。いったん勾留期限が切れて釈放されてしまうと世間からは特捜部が村田を追及しきれず巨悪を逃したという印象を持たれてしまう…。そうなれば我々特捜部は世論の強い非難を浴びることになるだろう。しかも相手は司法試験も突破している元エリート官僚だ。おまけにやり手のヤメ検弁護士がついてるときてる。抜け目がない…。とにかく俺たち特捜部はいったん奴を逮捕したなら何としてでもその拘留期限内に証拠を揃え、その逮捕容疑で起訴しなければならん。そのためには勾留期限を稼ぐ必要も出てくるだろう。おまえも知っての通りだが容疑者を再逮捕すれば勾留期限は延長される。そのためにも村田に余罪があれば徹底的にこれを追求し、勾留に穴が開くことのないよう間断なく連続的に再逮捕していく必要がある!」

「そうですね。分かりました。ただ、部長…、村田を早く逮捕いたしませんとまだ押収されていない、隠れている証拠を奴に隠滅されてしまう恐れもあるかと思いますが…。それに、あまり時間をかけ過ぎると事件が時効になるという恐れも…」

「うん…、そこは賭けだな。とにかくここはもう少し裏を、余罪を固めて逮捕に踏み切りたい。今押収してあるものだけでもかなりの余罪が暴けるはずだ。だが、おまえの言う通り村田による新たな証拠隠滅の恐れはあるにはある。それと時効の問題もな…。それにまさかとは思うが総理が指揮権を発動する可能性だって絶対に無いとは言い切れん。我々としても村田の逮捕を急ぎたいのは確かだ。だから急ぐんだ上川!。どれだけ早く奴の犯行の全容を解明できるか、それがこの捜査のカギだ‼︎」

「はっ、分かりました!。至急、余罪を暴くべく資料を精査いたします‼︎」と上川はそう力を込めて言い、足早に部長室を後にした。


 そして、上川らが資料と格闘すること3日、調べを進めていくうちにこの談合事件とは別に、ある巨額で不透明な資金の流れがあることが分かった。それは電力会社からと見られる多額の献金だった。政治資金収支報告書には載ってはいない。明らかに裏献金もしくは賄賂であると思われるカネだ。

 たいていの場合、政治活動に使う目的であれば政治献金となり、その他の個人的な趣味や遊興等に使う目的で受け取れば賄賂となる。ただ、賄賂と認められるには前にも触れたが明確な請託と職務権限に基づく便宜の供与が伴っていなければならない。さらに個人的な借金と言い張りそれを否定できる証拠を検察側が示せなければ法の目をかいくぐれるようになっている。

 村田が先日まで大臣をしていた経済産業省は電力事業、エネルギー事業を統括する主管官庁である。電力会社は経済産業省の政策に左右されることが多い。そして各電力会社はその影響力を考慮して経産省から大量の天下りを受け入れていた。電力会社と経済産業省は切っても切れない仲にあった。そこともし不透明な資金の流れが確認されれば贈収賄罪の構成要件が成立する可能性が高い…。

 特捜部内は俄かに色めきだった。上川は興奮しながら特捜部長のいる部屋に入っていく。

「部長!、電力会社からと思われる不透明なカネの流れを掴みました。これは贈収賄で立件できるかもしれません。一気にいきましょう‼︎」

「上川、まぁ、そう先走るな。捜査はそう簡単にこちらの思い通りにいくもんじゃない。贈収賄となればなおさらだ。ここはもっとしっかり裏を固めてからだ」

「はぁ⁉︎、何言ってるんですか、部長‼︎。ここで行かなくてどこで行くんですか⁉︎」

「上川〜、特捜はな逮捕のタイミングが一番難しいんだ!。とにかく逮捕の時機は俺が判断する。まあ俺に任せておけ。とにかく今は押収した資料のさらなる精査と裏付けに専念するんだ。いいか、では村田に対する不透明なカネの流れがあることを知ったなら、そのカネの具体的な金額といつ村田側に渡ったかなどの詳細を早急に押える必要かあるだろう⁉︎。そういうのをしっかり押さえておかんとないずれは世間の批判に耐えられなくなってしまうんだ!」

それを聞いて「うっ、わ、分かりました」と上川は言いその場を引き下がった。だが頭では納得したつもりでもどこか釈然とせず、また冷や水を浴びせられた気にもなって先程興奮しながら来た廊下を今度はとぼとぼとかなり気落ちした感じで戻っていく。

 それでも上川は気を取り直し雑然とした室内で再び資料の山と格闘を始めた。しばらく時が過ぎた。上川はその資料の山から、ある資料というか一片のメモを見つける。メモの先頭には『電力・献金』と書いてあった。その下に電力会社別に献金額と思える数字が書き込まれている。ご丁寧に日付も入っていた。直感的に『いける!』という確信が上川の心中に芽生える。

そこには東日本大震災で原発事故を起こした主に首都圏を商圏とする『首都電力』を筆頭に各電力会社からの多額の裏献金と思われる金額の数字が列記してあった。

 なかには震災後の原発停止のあおりで一時赤字に陥った電力会社の名もある。『まったく赤字だった時でも裏献金だけはしっかりと続けてやがる』と上川は半ば呆れながらメモを睨みつけた。一通り読み終えて、あとはこの数字の金額が村田サイドに流れていることが確認できれば『ビンゴ』である。これでもしメモ通りに献金された事実を証明できれば村田を新たな政治資金規正法違反に問える。そればかりか村田の職務権限に鑑みれば贈収賄罪での立件も見えてくる。上川は人知れず興奮し、鼓動が激しくなるのを覚えた。

上川は興奮冷めやらぬまま村田の政治資金収支報告書を読み返す。だが案の定そこにはそのような献金名や数字はない。次に村田の資金管理団体や彼が代表を務める政党支部等、およそ考えられる彼にまつわる資金の流れを既に特捜部が押さえている帳票等の資料からくまなく調べた。しかし、そのいずれにもそれに該当するようなものは出てこなかった。

 そこで押収してある各秘書の個人通帳を確認する。そして公設第一秘書で大番頭・金庫番とも言われている岡村重義の通帳を見た時その数字はあった。名義は電力会社とは思われない目茶苦茶なものだったが金額はメモ通りの数字(金額)が振り込まれていた。『ビンゴ』である。上川は念のためもう一度村田の政治資金収支報告書に目を通す。やはりそのような数字はない。正真正銘の裏献金だ。もっとも記載されていても政治資金規正法が定める年間の限度額を軽く超えてしまう大きな金額ではある。やはり昨年総選挙があり、今年民友党総裁選が行なわれることが大きいのだろう。また、原発に対する世論の反発がまだ根強いことも関係しているのかもしれない。だが、こんな賄賂性が強く疑われるようなカネはもとより収支報告書に書けるわけがないのだ。普通ならそういう危ないカネは銀行には預けないものだが、政権中枢には捜査のメスは入らないとタカをくくっていたのだろう、平然と岡村の銀行口座に預けられていた。ガサが入らなければバレるわけがないと安心していたのか…。『まったく検察もなめられたものだ』と上川は心中複雑な気持ちで岡村の通帳を睨みつけた。

 これで最低限、村田の新たな政治資金規正法違反は確定したと言ってよい。さらにこの事案は今後の展開によっては贈収賄罪での立件が十分に見込めるものだ。『よし、これで本当に村田も終わりだ』と上川は興奮して立ち上がり、三度、特捜部長のもとに向かった。


 村田はつい先日まで経済産業大臣であった。そのことは電力業界を主管する官庁の長であったことを意味する。つまり経産相は電力業界に対して職務権限があるのだ。このことから電力会社が賄賂を贈る一丁目一番地が経済産業大臣と言っていいだろう。少なくとも上川はそう思った。贈収賄に対し後ろ髪を引かれる思いもあったが、とりあえずここは犯行が明らかな政治資金規正法違反容疑で立件し、早急に村田を逮捕して検察の取調室に入れ『本筋』での立件を目指して事情聴取しなければならない。いわゆる別件逮捕というやつである。それで贈収賄については逮捕後に追求しても遅くはない…というか、そういうやり方のほうが効率的かつ効果的だという考えもある。また村田を逮捕すれば新たな証拠隠滅の防止も図れる。そして自殺も…。あと、管轄外ではあるが伊豆高原での事件の捜査も進展させなければならない。でなければ、身を賭して情報を提供してくれた児玉らに申し訳ない…。


上川はノックして部長室に入る。

「部長、やりました!。新事実発見です。秘書の岡村重義の個人通帳に先程の各電力会社からの裏献金と思われるカネが入金されていました。村田事務所から押収した書類の中から各電力会社からと思われる献金リストが書かれたメモを発見しました。そのメモ通りの金額が入金されていました」と言って、例の紙片を部長の笹田に手渡す。

「う~ん」と笹田は唸り、さらに手書きのメモを見ながら「これは誰の字だ?」と独り言のように上川に尋ねた。

「恐らく、公設第一秘書の岡村のものかと…」

「うん…、よし!。岡村もつい先ほど談合幇助による官製談合防止法違反容疑で逮捕された。あいつを吐かせて、なんとしてでも村田の談合への関与を証明させ、そしてこの裏金についても実態を解明するんだ。上川、おまえに岡村の取調べを命じる。そして必ず奴を落とせ!。岡村の供述が得られ次第、村田孝一の逮捕に踏み切る!!」

「おう、やった!!」と思わず上川は歓喜の声を上げた。

「喜ぶのはまだ早い!。岡村をしっかり落とすことが先決だ」と笹田は、はしゃぎかけた上川を戒める。

「あ、はい、すみません。必ず岡村は自分が落としてみせます!」

「うん、頼むぞ!」

「それから部長、これは単なる裏献金でなく贈収賄事件に発展する可能性もあると思いますが」

「うん…。村田は経産大臣だったからな、電力業界には職務権限がある。もちろんそのことも頭に入れて調べを進めろ。だがなくれぐれも無理追いはするなよ」

「はっ、分かりました。それで電力会社の方は…」

「ガサか?」

「ええ…」

「うちももう手いっぱいだからな。これ以上の戦線拡大は物理的にかなり厳しい…」

「では、警察に警視庁の捜査二課に応援を要請されては?」

「うん…そうだな。検討する」

「ぜひ、お願いします」


 岡村は、逮捕されて以来否認と黙秘を続け、取調べは連日長時間にわたって行なわれていた。岡村の表情にも疲労の色が濃くなる。そんな中、上川による岡村の取調べが始まった。

「岡村さん、もういい加減、これまでやってきたことを全て正直に話してくれませんかね」

「いや、黙秘します」と言って岡村はかたくなな態度をとる。

「もう、高橋も島田もあなたの周りは全て正直に話していて、あとはあなたの証言を待つばかりなんです。村田さんに義理立てしているつもりなんでしょうが、あの人が最後まであなたを守るとはとても思えませんよ。現にスーパーゼネコン事件のときだって村田さんは多くの仲間を見捨てて逃げおおせたじゃないですか」

「う~ん…」と岡村は低く唸り、その瞬間顔をゆがめた。

「それにもう村田の時代は終わりつつあります。もう、どう頑張ろうと彼の逮捕は時間の問題です。だから、たとえ村田さんにあなたを守ろうという意思があってもあの人自体が逮捕され潰れてしまえば到底あなたを守りきれるものじゃない。そうでしょう?。ここは我々に協力して早く楽になった方がいい。もうすぐ地に堕ちる村田からはさっさと離れたほうがあなたのためだ。それに…、いま正直に話してくれれば裁判では執行猶予がつくかもしれませんよ…。どうですか?」

「う、うん…。す、少し考えさせて下さい」とついに岡村はボソリと言った。

「ええ、いいでしょう。今日はこれぐらいで終わりにしますから、この後よく考えてください。明日またお会いしましょう」

「分かりました…」


 次の日、岡村は落ちた。岡村は村田前経産相の談合への関与を認め、そして電力会社からの裏献金についても証拠となるメモを突きつけられ、もう逃げられないと思ったのだろう渋々その事実を認めた。そのカネは実質的に電力会社が村田前大臣に渡した賄賂だったという認識であるということも吐いた。


 その直後、逮捕されていた列島建設第一営業部長の高橋直樹が村田が犯した別の犯罪について決定的な証言をしたという報せが飛び込んできた。岡村が落ちたことで村田王朝の終焉を悟ってのことであろうが、連日にわたる特捜検事たちの粘り強い取り調べが功を奏したとも言えた。


 高橋の供述によると、昨年9月の総選挙後の内閣改造で経産相での入閣を果たした村田孝一は、それ以前は党の国土交通部会長を務めており、また衆院国土交通委員会の委員でもあった。その村田に昨年5月の衆院国土交通委員会で列島建設にとって有利な質問をしてもらうよう高橋自らが依頼(請託)したというのである。もちろん裏金という賄賂を渡して…。その裏金は額にしてなんと2億円にも及んだという。もちろん裏金であるので村田の政治資金収支報告書への記載はない。その村田がした質問というのは、道東プロジェクトに関するもので、その中の高速道路建設において『巨大な事業規模と北海道の地理的・気候的特殊性に鑑み計画期間内に完工できる業者はかなり限られるとして、一定の条件をクリアすれば原則誰でも入札できてしまう一般競争入札の弊害』をしきりに説いた上で(村田はもしこの計画プロジェクトが順調に進まなければ少子高齢化と人口減少が急速に進む地域社会・地域経済に深刻な打撃をもたらすと主張した。ちなみにこのプロジェクトの主たる開発地域である北海道遠東市は某民間研究機関によって人口減少による『消滅可能性都市』に指定されていた)、北海道の厳寒に耐えられる高品質の高速道路を造る技術力があり、長期に及ぶ工期でも倒産する恐れのない企業規模、財務体力があって、公共工事において一定数以上の完工実績があるなど、突き詰めて言えば発注元(政府・国交省)の信用のおける企業による指名競争入札を実施すべきであると主張して政府の見解を質した。その結果、基本的に同プロジェクトにおいては村田と列島建設の思惑通り大手企業に有利でしかも談合がしやすい『指名競争入札』が導入されることが決定されたのだった。しかし一連のこの動きは明らかな受託収賄であり贈収賄事件であった。またこのことは政治資金規正法違反にも問われるはずである。


 なぜ列島建設にとってこのような村田による国土交通委員会での質問が必要だったのかといえば、密室談合的に党の部会で談合の温床とみなされていた『指名競争入札』が導入を決めることは国民世論の強い反発を招きかねないとして、その本音とは裏腹に政府側が難色を示していたからで政府としては当初、道東プロジェクトにおいても全般的に『一般競争入札』を導入する予定であった。業界最大手である列島建設はそれを覆すために、また今後も様々な入札が見込まれる同プロジェクトでの営業を考慮し、ここはしっかりと、自社にとって有利な指名競争入札の表向きの利点を国会の国土交通委員会という公の場でアピールし、その導入を図ってもらいたいという思惑があった。またかねてから大手建設会社寄りの民友党政権としてもこの指名競争入札の導入には歓迎する向きが多かった。それで建設族のドンであった村田孝一に業界最大手の列島建設が2億円という大金を渡して質問を依頼したのであった。今回、この高速道路を受注すれば会社には何百億何千億というカネが転がり込んでくる。そればかりか道東プロジェクト全般に指名競争入札が導入されれば、今後の様々な入札を有利に進めさせることができ、その結果多くの受注を見込むことができる。そうなれば莫大な利益を会社にもたらすことができるのだ。列島建設は村田に2億のカネを払っても十分に見返りがくるのである。その意味で列島建設から見れば村田に払う2億円というカネは『安く』さえ映るのだ。村田も質問一つで2億円が転がり込んでくるという話に目が眩み法に触れるということは認識しながらも嬉々としてその依頼を受けた。

そして列島建設はそつなくその後の談合の仕切り役も業界の実質的なドンである村田孝一に託した。もちろん自らがその工事を受注するために。その見返りとして村田に10億という大金を渡して…。

 ただ、その列島建設の高橋、前のスーパーゼネコン汚職事件の時には特捜部の捜査が入り土壇場になって村田が手のひらを返して逃げおおせ、当時の列島建設幹部が多数逮捕されて幕引きというトカゲのシッポ切りに終わったことから今度はしっかり最後まで『仕事』をしてもらうため、村田への『押さえ』として確かな証拠を残しておいたというのである。秘め事である悪事の共謀ということがあれば否応なしに両者(政治家と業者)は結託せざるを得ない。しかもその証拠を残しておけば前回のようにおいそれと『手のひらを返される』ことはないだろうと踏んだのである。高橋(業者)なりの懸命の防衛策であった。

 列島建設には、今回の村田への質問依頼にはただ単に高速道路を受注するということだけでなく、『プロジェクト全体に渡る広範な受注の確保』という目的があった。列島建設も前回のスーパーゼネコン汚職事件のことがあり、一度は村田と袂を分かとうとはした。しかし…、列島建設がこの建設・土木という業界で飯を食い、生き続けようとする限り、多少のゴタゴタがあったとしても政界の実力者とは『うまく』付き合っていかなければならない。どんなに裏切られ足蹴にされようとも次に会う時には頭を下げ笑みをたたえて接しなければならないのだ。そうであるならば…、一蓮托生の思いを持って村田と『悪の同盟』を確かなものにするために敢えて互いに法を犯す『共謀』を図りその証拠を握っておこうと考えたのだ。それを村田がいざという時に離れていかないようにするための『保険』としたのである。このことによってもはや村田は列島建設を無視できなくなる。もしそのようなことをすれば『村田の悪事をバラしてしまうぞ』と脅せば効果があると踏んだのだ。そして皮肉にもその列島建設の『保険』が特捜部に金星をもたらそうとしていた…。

 高橋は列島建設の『保険』となるべき証拠として受け渡し時の録音、録画したモノを持っていると供述した。その動画には村田本人に依頼してカネを渡しているシーンが音声とともに克明に映っているという。決定的な贈収賄の証拠となり得るものである。録画は高橋自身が鞄の隙間から隠しカメラで撮ったという。高橋は特捜部による連日の取調べに音をあげ、村田を裏切って談合があったことを供述している。であるならば下手に村田を生かしておいては先々何をされるか分からない。村田は暴力団とも繋がりのある危険人物だ。高橋は『完全に村田の息の根を止めなければならない』と思い定めこの証拠を検察に提供しようと思い至ったのだった。


 この場合の犯罪構成要件を確認する。まず業者側が村田代議士に会社(列島建設)に有利な質問をするよう請託(依頼)をする。そしてその見返りとして現金(2億円)の受け渡しがあって国会議員の職務権限に基づいて国土交通委員会でその質問が行なわれている。よって明らかに受託収賄罪の構成要件を満たしていると言えるだろう。しかもその裏金にまみれた違法な質問はそれから行なわれる巨額の税金を食い物にする談合の温床・起点となったものである。許すべからざる大罪である。そしてすぐに村田の秘書だった岡村重義にも確認した。岡村は動かぬ証拠の前に渋々観念し、「その通りです…」と村田の受託収賄の事実を認めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ