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………「……ナ……フィオナ」


「え?」


「どうしたの?!しっかりして!」



ジョゼの腕に抱かれていた次の瞬間、マリアの声がした。

心地よい霞の中にたゆたっていた意識がいきなり揺り動かされたような衝撃。


一体……なに?

何が起こったの?

ぼんやりと映る視界には心配そうに覗き込んでくるマリアの顔。

腕を掴む彼女の指の力に、ここが夢の世界ではない事を知らされる。


どういう事だろう?

私は今、あの碧の館でジョゼと一緒に過ごしていたはず。

彼の冷たい腕と妖しく光る琥珀が私を包んでいた……それなのにどうして店にいるのだろう?



「マリ……ア、私ずっと、ここにいた?」


「……何を言ってるの?どうしたのよ本当に!」



泣きそうな顔で声を荒げるマリア。

彼女の話では2人で店番をしながらお喋りをしていたら、突然私が放心状態に陥ったらしい。



夢と現実が交わる。


オルゴールのぜんまいは止まらない。


私を巻き込んだまま、回り続ける。




このままじゃいけないという不安は確かにあった。

本当の事を言えば、似たような現象が少しずつ起こり始めているのに気付いてたから。

今までは夜に自分の部屋で寝てる時に夢を見てるだけだったのに、最近は昼間にも時々ジョゼの幻影が見えていた。

それはふとした拍子にちょっとウトウトしたり、寝ているつもりはないけれど一瞬だけ記憶が飛んだり。

そういう時に頭にジョゼの顔が浮かぶのだ。

でもそれは夢ではなくておそらく記憶の一部分。

夢の中で一緒に過ごした彼を、無意識のうちに思い出して頭に描いてしまっただけだと思っていた。





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