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【fiona side】~1




夢の中で描いているジョゼの絵はもう半ばは仕上がっているだろうか。


白い布が掛けられたソファーに足を組んで座る姿。

膝に乗せた肘、そこから伸びる腕と長い指先。

そこに軽く顎を乗せて横顔を見せるジョゼ。

光沢のあるワインレッドのシャツが陰影を付けて、それはまるでジョゼその人の表と裏を映し出すかのように時折揺れた。


背景は琥珀色。

彼の瞳と同じ色。


甘く妖しい琥珀の瞳。

8500万年前の太古の自然を封じ込めた……甘い蜜のような石。

あなたの瞳の中には、一体なにを閉じ込めてあるの?

時を止めた琥珀の中、あなたは何を見ているの?




私が手を止めて見つめている事に気付いたのだろうか。

彼がスッと姿勢を崩して微笑んだ。



「フィオナ……こっちへおいで」



呪文のように囁かれた言葉に抗う理由も持たず、筆を置いた私はフラフラとソファーに近付く。

私を見つめる琥珀の瞳に吸い込まれるように目が離せない。

瞳の奥にひっそりと隠れているのは何なのか。

形を捉えそうになれば、それはフワッと滲んでその形を変える。

見えそうで見えない……だから惹かれる。





私を包み込む腕、触れる唇。

だけどその手も唇も冷たくて。

僅かに開いた目の前に、やはり薄らと開かれた琥珀。

その瞳の奥に揺らめく影を追いかけた。




―――気をお付け、琥珀に取り込まれるよ―――




そんなピエロの言葉が頭を過った。





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