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悪人達の日常  作者: 安雄
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衝撃の事実

思い付いたらばしばし投稿しまーす。

次はいつになるか不明やけど

「遅い。何してたんだ。テメーらは?」


館に戻るとスカムが何か作業をしながら、帰ってきた俺たちを睨む。スカムの全身をざっと見た感じどこにも損傷らしき損傷はない。服の胸部分に何やら返り血はべったりついてるみたいだがそれ以外にこれといって気になる点はない。


『スカム様!無事だったんすか!じゃ、じゃあ結界の外にある血痕は…。』


「…その事なら問題なしだ。帰ってきたときは半死半生でマリーに背負われてきたが、'捕虜'のお蔭でこうして全快だ。」


随分と珍しいというか…意外だな。てっきり人間は全殺しでいく方針かと思っていたんだが、まさかのまさか捕虜、とはな。

だけど肝心の捕虜とやらが何処にも見当たらない。


「今はこうして捕虜とその護衛が持ってた装備の確認と魔術式を何とかモノにしようとしている。

捕虜と護衛ならまとめて館の地下にあった牢屋にぶちこんどいた。そこなら魔法は使えんようだしな。そこら辺のことはオットー、お前が知ってるだろう。今はマリーが拷m…じゃなかった、事情聴取をしてるから少し様子を見に行ったらどうだ?てか行け。」


…人使いが荒い主人だな。ん?人ではないから適用されないか?まあ、そんのくだらないことよりもさっさと用事を済ませて休息をとるとしよう。あ、後いつもの狼の体に戻るかな。





「にしても地下があったなんて驚きだな。そこまで広かったとは…しかも地下は牢屋だけかと思いきや、地下への階段を降りたその先はまさか、研究室みたいな部屋とは。」


『曾祖父は人間に文化に興味津々だったみたいでこの館も当時にしては珍しく人間の建築方式を真似したらしいよ?…それでも魔族らしさはあるのだけど。牢屋はすぐ下。』


真似するとこはちゃんと真似するんだな。確かに魔族が作ったにしてはやけに機能性はあると思ったな。…現在、魔族が住んでいた館や居城、砦は全てがすべてじゃないが、何やら凝った造りだからな。構造自体を複雑にしてるし、家の地下に複雑な迷路?まであったりする。行き止まりを複数作ったり、何故か分かれ道があったりと、果てにはマジもんの迷宮が砦の地下にあったりするから仰天ものだ。


そういや、ここにはやけに迷宮関係の書物や魔術運用、馬鹿でかい水晶玉まである。前にもどっかでこれと似た感じの風景を見たことがあるが…何処だったかな?


「ふっ…まさかな。」


『サップ、どうしたの?早く用事を終わらせたいんじゃないの?本に興味があるのは分かるけど、また今度にしない?』


「え、あ、悪いな。すぐ行く。」


少し考察が過ぎたな。元々あまり考えるのも得意じゃないし、ここいらのことはスカムに話すだけ話してスカムに任せよう。



「貴様ら…まだ生き残ってたのか!薄汚い魔族が!」


階段を降りてきて早々、手前の牢屋にいた魔法使いらしき男に罵られる。全く…王国と共和国の反魔族教育は筋金入りだな。ここまで嫌悪感があるとは。

俺が卒業した学校はそこら辺の部分は大分薄かったから俺自身、魔族に対してもそこまで忌避感はなかった。むしろ好奇心で遭遇したいと思ってた時期もあったからな。今はこうして自分自身も魔族?になってるわけだが。


「うるせえ。」


自分の身分が分かっていないのか、ますます罵倒を加熱させてくる魔法使い。

牢屋の柵に掴みかかりガシガシ揺らして、ここから出せだの、うるせえから鼻の頭に拳を叩き込んだ。


「そうだ。それでいい。」


鼻血をダラダラ滝のように垂れ流し、俺の方を睨んでいるがもう何も言わないようだ。…こいつにいつまでも構ってても仕方がない。さっさとマリーのところに行こう。


『えっと、ここが拷問部屋だよ。』


牢屋の階層は思ったより広く、これから捕虜をまた捕まえる機会があったら充分にまだ収容出来そうな位だな。歩く間にもちらほら収容されている。


オットーがいう拷問部屋は階層の一番奥にあって、やけに重そうなゴツいドアが付いた部屋だ。オットーが両手を使っても僅かしか開いていない。

埒があかねぇから俺も取っ手を掴んで目一杯引っ張った。


「ぐ…!早く入れ…。」


とりあえず入れるスペースは確保できたので、オットーを先に入らせて扉が閉まらないように体で支えてもらい、すかさず俺も部屋のなかに入る。


「あらぁ~♪サプサプ達帰ってきたの?言ってくれれば扉開けたのに。」


「は?」


マリーが指差す方向を見ると、連絡用だと思われる簡易的な郵便受けがあった。


「お前…。」


『ゴメンっす。』


ここに住んでるのに分からない…いや、牢屋なんてそう滅多に行かねぇから分からなくて仕方がないか。あと切り替えが早ぇな…口調を仕事?用に直しやがった。


「ちょっと今、この可愛い騎士(ナイト)様に情報提供してもらってるのよ♪…もうこの怪我じゃ、魔法を掛けたとしても騎士としてはやっていけないだろうけど♪」


「はぁ…はぁ…。そこにいる貴方は騎士ライアーでは…?魔族方に、寝返ったのですか!」


「寝返った?違うな。俺はもう人間じゃないし、むしろ最近こいつらと色々活動し始めたから、創設メンバー、といったところだ。騎士団でいうならば副団長だな。」


むしろ前々からあまり王国に対して忠誠心はなかった。長男が家督を継ぐから、生きていく手段として騎士を選んだだけだった。まぁ、それも今は過去のことだ。


「足の骨を両方とも粉々にしたから、この子歩けないの。サプサプ、牢までおぶって行ってあげて。ワタシが案内するから。一回みんなで集まりましょ?」


「もうそのまま自分で運べよ…。精神的に疲れてて体もだるいんだよ。」


「あ、そう言われるとそうだわ。話しているうちになんだかイケそうな気がして。…それとオットン、あなた女の子だったのね♪そのスカーフ可愛い~。」


そういや、こいつ胸にはスカーフ巻いて下はかろうじてズボンを穿いている程度。そんで髪はおろしてる。その格好で男ってのは無理があるな。


『ふぇ!?こここ、これは…その!擬態能力が身に付いたの!』


「うふふ…いいのよ隠さなくて。サプサプ幸せにしてあげてね♪」


「は?なんで俺が?」


何故か知らんがマリーは不適な笑みを浮かべながら、少年騎士を片腕で肩に担ぎ上げ、もう片方の腕で扉を押し開ける。…俺らの苦労は、こいつにとっては片腕、か。



拷問部屋から出た後、暫く進むと修道服を着た女が牢屋の中で祈っていた。俺たちの気配に気づいたようで祈りをやめてこちらの方へ振り向いた。


「ラベル!」


「た、タムニエル…。」


マリーの肩に担がれた騎士がじたばた動きだした。すかさずマリーは牢の鍵を開けて、牢のなかに騎士をぞんざいに投げ入れた。


「ちょっとワタシ達…お話してくるからいいこで待ってるのよ…?」


「何だ?お前、拷問の方も趣向の内なのか?いたぶりかたが随分と上手いが。」


「やっぱり分かっちゃう?あーいう、純朴で正義感のある少年の心を粉砕したりするの―

果てしなく興奮するの♪」


筋金入りか。


「そういや、この階、魔法が使えないとかスカムが言ってたけど普通に使えるぜ?ほらこんな感じに」


オットーを背に乗せながら、指先に水滴を出現させる。こんな無詠唱で出来るようなのを魔法とは言えないかもしれんがな。こんなんじゃ脱獄することなんて不可能だし。


『魔に属するもの、並びにここを管理するものが許可したものだけ、ここで魔法を使うことが出来るの。それに牢の中は何だか特殊で色々な力が制限されるみたい。どこまで下がるのかは分からないけど。』


「おい…まさか。やっぱりそうなのか?」


「どうしたの?サプサプ?もしかして元人間として何だか情報を知ってるのかしら?」


「半信半疑だが、スカムに相談する価値がある。いや、むしろ相談しなきゃここが万一襲われたときのための防衛手段にならねえ。」




館へと階段を昇り、館の外へと出るとオットーの腕から脱出して自力でスカムの足元へと辿り着く。


「…どうした。」


俺たちが地下に行ってる間にも、確認作業を休むことなくしていたようで、たくさん積まれていた装備品などは粗方、丸とバツ印で分別されていた。


「ヤバイ。」


「何がだ。」


「あの館…。」


俺も牢の階層に降りる前に疑問に思ったが、改めてオットーの話を聞いて確信した。今は人間達が研究のために保持しているあの砦と一緒だ。何もかもが似ている。いや、むしろこっちの方が格はずっと上かもしれない。


「勿体ぶらずに早く言え。」


「…あの館の地下は――




―迷宮だ。それもまだ始動してないが、王国に現存しているどの地下迷宮より格が違う、な。」

ネタ切れにつき小話


~サップ達逃走後のロー~


「くっそ…!取り逃がしたか。それにしてもヤバイもんばらまきやきやがって。ひとまずここは、高級な丸薬で毒を誤魔化しながら強行するか…。」



~ギルドに向かう途中のロー~


「ゲホッ!ゲホ!やっぱり誤魔化しはきついな。まさかここまでとは。それにスラムの住人が死んだまま歩いているしよ。町の治安を守る長としては、団体さんご一行を在るべき場所に案内してあげてからギルドに向かうかな…。まあ、たったの10人だ。」



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