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ちびっこエルフのサバイバル飯~精霊の愛し子を追放したエルフの森は消えるらしい~  作者: 富士とまと
第二章 ちびっこエルフは森の中

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「なぁ、またあれ作ってくれ、タッターゲ」

「タッターゲじゃなくて竜田揚げね」

 ……飽きた。

 なんていうか、焼き鳥ばかりじゃなくなったのはいいけれど……。

 オークの肉で作った豚の塩生姜焼きと塩の焼き鳥と竜田揚げ、ヘビロテである。

 また作ってあげるというのは、3日に1回とかそんな話ではないはずだ。

 ジト目にもなるってもんよ。

「なんだ?フワリ、眠いのか?目が半分閉じてるぞ?」

 ジト目だよっ!

「片栗粉がもうなくなる」

「ああ、あの粉!あの粉か……あの粉、街に出ないと手に入らないのかぁ!」

 森の中を移動中、紫の花が群生しているのを見かけたから、街に行かなくても作れば手に入るだろうとは思うんだけど……。

 片栗粉をたくさん作ればたくさん食べれるな!と思われても困るので黙っておく。

 だって、本当に、飽きたんだもんっ!

 精霊さん、どこかにおいしい果物がない?

 果物食べたいよ……。

 ふわふわと頬を風が撫でた。

「ヴァルさん、あっちに何かある」

 相変わらず私は抱っこされている。そのため行きたい方向を指さして向かってもらうことになる。

「今度は何があるんだ?」

 野蒜やガランガルを見つけるたびに指さしていたので、ヴァルさんも慣れたものだ。

「えっと、ちょっと待って」

 精霊さんには果物をおねだりした。ということは、足元ではなく頭上のどこかのはずだ。

 上を向いてキョロキョロする。

 ふいっと風が髪を揺らしある方向を教えてくれる。

「ん?んん?ん?」

 ぷらぷらと細い枝にどんぐりがぶら下がっている。

 いや、違う、どんぐりみたいな形の2、3センチの実がぶら下がっている。

 青いのと黄色いのと、鈴なりだ。

「あれかな?」

 精霊さんに聞いたつもりだけど、ヴァルさんから返事があった。

「あれって、あれか?」

 すぐに近づき手を伸ばしていくつかの実がなっている枝を折って渡してくれた。

「うん、動画で見たやつとそっくり……」

「動画?」

「あ?どうこかで見たやつとそっくり」

「あはは、どうこかでなくどこかだろ。フワリは時々おかしなこと言うとこもかわいいな」

 か、かわいい?

 子供扱いされた!中身はがっつり大人な年齢なのに……!っていうか、抱っこされてる時点で子供扱いなんだけど……。今のは前世の単語を誤魔化すためであって、言い間違いじゃないよ。ぷぅー。

 黄色い身を一つ取って手で割ってみる。

「お、おお、これだ、これ」

 キウイフルーツに似た見た目。間違いない。

 いただきまーす。

「甘くておいしい」

 塩系味の肉ばかり食べた数日を過ごしたせいか、甘さが身にしみるぅ。

「へぇ、甘いのかぁ」

 ヴァルさんも実を一つもぎ取ってぽいっと口に入れた。

「あっ」

 止める間もなく。

「ぶほわぁ、げほっ」

 すぐに吐き出した。

「辛っ、苦っ、甘くねぇぞ。フワリお前どこか病気なんじゃないか?これを甘く感じるなんて、危ない、危険だ、捨てろ」

 私の手から枝を採るとぽいっと捨てようとする。

「ヴァルさんっの、おばかぁーーーっ!」

 人にバカと言ってはいけません。でも、とっさに出た言葉が、それだった。

「青いの食べたでしょ、熟す前なんてなんだってまずいよね?黄色いのが熟しておいしいのっ!なんで捨てちゃうの?青いのだって、そのまま食べると辛くて苦いけど、塩漬けにしたらカリカリしておいしいし刻んで調味料としても使えるっていうのにっ」

 ヴァルさんがうっと言葉に詰まって、それから、ちょっと焦ったように誤った。

「フワリ、悪かった。そういわれてみれば……俺は青い実を食べた気がする」

 本当に申し訳なさそうな顔をされると、私も気持ちが落ち着いた。

「私こそごめんね。バカなんて言っちゃって……」

 ヴァルさんがにこりと笑った。

「よく親にも言われてたから、むしろ懐かしいよ。人の話を聞かずに行動して失敗することが多くてな」

 あ、うん。分かるわ。なんかヴァルさんそういうタイプっぽいよね……。考えるより先に体が動いちゃうタイプ。

 ヴァルさんが黄色い実がたくさんついてる枝を折って目の前に差し出してくれた。枝から一つ実をとって、ヴァルさんの口元に持っていく。

 ヴァルさんが口を開けて、私の手から黄色い実を食べた。

 左手に私を抱っこして、右手に枝を持っているから手が使えないだろうと思っての行動だ。

「うわ、全然違うな。辛くもないし苦くもない。甘くてすっきりした酸味が少し感じられて、美味いな」

 でしょ。にこにこ笑っていると、ヴァルさんが枝を私を抱っこしている方の手に持ち換え、黄色い実を取って私の口に運んだ。

「え?自分で食べられるよ?」

 両手開いてるし。と、断ったのに、ヴァルさんの手は引かない。

 体を少し引けばヴァルさんの手もちょいと前に出る。

「あ、ありがと……」

 仕方がないから、ヴァルさんの手から実を食べる。

 子供じゃないんだから、恥ずかしいってば!あ、子供か。いや、でも人に食べさせてもらうような子供ではない……はず。いや、子供が周りにいないと、小さい子はみんな一緒に見えるのかな?

「おいしいね」

 にこりと笑うと、ヴァルさんがまた実を取って私の口に運ぶ。

 私ばかり食べるのは申し訳なく、実を取ってヴァルさんの口に運んであげた。

 ……。

 ……。ナニコレ。お互い自分で食べればよくねぇ?

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