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この4日でどれくらい村から離れたんだろう。
大人の半分くらいの歩幅しかないけど、日が沈んでからも歩いている分時間的には大人よりも多く進める。
エルフの村から大人でも3日分くらいの距離には来たんじゃないかな?
3日もかかるような遠い場所まで探しに来るだろうか?
ここまではひたすら距離を稼ぐことだけを考えて歩いてきた。
鞄の中をちらりと見る。
「もう、ポポはなくなっちゃった」
4日の間に1日2個ずつ食べて過ごした。
あと、鞄にあるのは蓮の実、レンコン、片栗粉、カタクリだ。
「ここから先は食べる物を探しながら進んでいった方が良いよね」
鞄の中のものはいざとなるときまで手を出さないようにしよう。
いざという時の食べ物があるかないかで精神的なプレッシャーが違ってくるはずだ。
「んー、水分も何とかしなくちゃ……。足りてない。この4日間で2回水場で水分補給はできたのとポポの実が水分が多かったから何とかなってたけど……」
ふわっと右側から風が吹く。
「おっと、スライムか」
光を浴びてキラキラと光っている。
「あー、ゼリーみたいでおいしそうな見た目しちゃって……」
本当に食べられないのかなぁ?
手を伸ばしたら強い風が私に吹き付けた。
焦った精霊が、風の力調整を誤ったようで、斜め後ろに転がった。ゴロンゴロンと。
そして、何とも間の悪いことに、少し小高い丘の上に位置する場所だった。
つまり、傾斜がついた場所をゴロゴロとそのまま転がり落ちた。
そして、何故か開いていた穴の中に落ちた。
「なんか、おむすびころりんのおむすびみたいな見事な転がり方だったな……」
穴の深さは5mくらいだろうか。いや、私が小さいから深く見えるだけだろうか。
無事なのは、精霊が風のクッションで受け止めてくれたからだろう。
大の字で穴の底に寝転ぶ。
「おお、空が見える」
丸い青空。
「綺麗だなぁ……そういえば、こうして空を眺めるのはどれくらいぶりかな」
丸い青空に、ぬっと影が差した。
「子供か?落ちたのか?」
人の声だ。
びくりと体が震える。
大丈夫、今の声は知らない声だ。村のエルフの誰の声でもない。
落ち着いてと、思っている間もなく、ドスンと、私の脇に誰かが飛び降りてきた。
「大丈夫か?血だらけじゃないかっ」
血だらけ?
そういえば、殺されそうになって切られて血が出たときに服とかも血まみれになったっけ。
「生きてるか?」
「うん」
「はー、よっかった。ほら、まずは飲め」
上半身を起こされ、手に小瓶を渡された。
知らない人からもらったものを疑いもせず口にするなんて、だめですよ!
よい子は真似しちゃいけません。
ごくごく。
「ぷはーっ……って、苦っ」
水分不足気味でのどが渇いていたから一気に飲んだけど、苦っ。
舌を出して顔をしかめる。
「ああ、そうか、飲みなれないと驚くよな。ほら、口直しだ」
革袋の水筒を手渡される。
知らない人からもらったものを疑いもせずに口にするなんて、本気でダメですよ?
よい子は確認しましょう。
「これは、何?」
今度は辛いかもしれない。酸っぱいかもしれない。
いや、口直しっていうから、もしかしたら、甘い飲み物かもしれない。
甘い飲み物、そうだ、そうに違いない。だって、口直しだもんっ!
目がキラキラしたところで、返事が返ってきた。
「水だ」
「水か」
期待した分ちょっとがっかりしてしまった。
水筒を両手で持ってごくごくと水を飲む。
「ぷはーっ」
「あははは、まるで酒飲みみたいな飲み方をするな!」
笑われた。
「喉が渇いてたの。ありがとう」
水筒を返すと、男の人が立ち上がった。
「ポーションを飲んだから怪我は大丈夫だと思うが、立てるか?」
「ポーション?」
え?あるの?この世界に、ポーションって、あるの?
「ああ、冒険者じゃなきゃ知らないか?それとも子供だから知らないのか?」
「冒険者?」
え?いるの?この世界に冒険者って、いるの?
「ああ、冒険者は知ってるよな。俺は冒険者だ。ほら、これがタグ」
「タグ?」
え?冒険者登録したら貰えるランクとか載ってるやつ、あるの?
ワクワクして、タグを見ようとしたけど、穴の底。
光は届いているけれど暗くてよく見えない。さっと服の中に戻されてしまった。
「まずはここから出るか」
そう言うと、冒険者の男の人は、私を軽々と抱き上げた。




