12
ドスンッ! ドスンッ!
とってきた粘土を石の上に打ち付けています。
「聞きかじりの陶芸で、粘土の中の空気を抜かないと焼いたら割れるって……」
粘土はたくさんあったし、時間もたっぷりあるから割れても作り直すだけだけどね。めんどくさいけど。10個焼いて1個でも使えるものができればいいやって感じよ。今の私は縄文人よりも土器作り素人なんだから。
「ふえー、疲れた。ちょっと休憩」
ハスの実を食べながら、ハスの茎をストロー代わりに池の水を飲む。
「これがあるから、も顔を池に突っ込む必要なくて助かる」
ハスの実をとるときに一緒にとれた茎。中が空洞になってるのを発見したんだよね!
「この茎も食べられないかな?」
花のように穴が開いている。
「ん?なんか、この形、見たことある……」
中心に丸い小さな穴。その周りを花弁みたいな穴が……。
「あれ?よく見ると、この穴の形、見たことが……」
!
「こ、これ、レンコン!蓮の根と書いて、レンコン!」
ああああ、何故、今まで思い至らなかったのか。
そうだ。スイレンとハスと、混同してた。
スイレンのレンが、レンコンのレンみたいな。
だから、スイレンの根……じゃなくて地下茎がレンコンだと……。そうじゃない、逆だ!
ハスの根がレンコン、蓮根じゃんっ!
ざぶざぶと池の中に入っていく。
ハスの実をとるときに、深さに気を付けていた。手を池の底に入れ、泥をかき分けると泥でない何かに手が触れる。
ぐっと力を入れて、引き上げ……引き上げ……引きあがらない。
「ぐぬぬぅ、負けるものかっ!」
足で回りの泥をかきながら、引っ張る。
「ぬぬぬぅ」
ボキッと折れる感覚とともに抵抗がなくなりスポンと抜けて、後ろにひっくり返って水の中。
水の中から起き上がり、今取った蓮根を空に突き上げた。
「採ったどー!」
はぁ、はぁ、はぁ。いや、誰に伝えるわけでなく、言わなければならない気になったので。
レンコン採りました。
「ん?」
見ると、6歳児の小さな手でも握れる細いレンコン。
「そういえば、日本で食べているレンコンは太くなる品種改良されたものと聞いたことが……?」
1000年あれば十分品種改良できちゃうのでは?でもどうやって改良するのか?
太いレンコンができるものを残して栽培していくとか?
いや、そんなことよりも!レンコンを手に入れました!
池から上がって、ずぶ濡れだけど、蓮根を手にもって小躍りしちゃう。
ああ、楽しい。
幸せ。
嬉しい。
小躍りしちゃうほど、幸福感が胸にあふれてるの。すごい。
「生きててよかった~」
何で死のうなんて少しでも考えちゃったんだろう。って、まぁ、そういう精神状態になることってある。もう冷静に何も考えられない……人を追い詰めて思考を奪うDV夫やモラ夫の手法と一緒。ブラック企業とかもそう。やめればいいのに離婚すればいいのにと、そういう考えができなくなる。……怖っ。
もうちょっと前世を思い出すのが遅かったら、完全に洗脳されてるところだった。
「はー、レンコンで何作ろうかなぁ」
っと、その前に、せっかく空気を抜いた粘土が乾いたら大変!
粘土で土器づくりを再開する。
ろくろなんてないから手びねり。
小さなものはそのまま引き伸ばしてみる。
少し大きな……土鍋、一人用の土鍋は、細長く伸ばした粘土をぐるぐると上に積み重ねて作っていく。
運んできた粘土でお皿が3つ、コップが2つ、土鍋が3つとふたが1つで来た。
「うん、失敗してもまた作ればいい。でも、一つくらい成功して欲しい!」
ちなみに、縄文式土器的な分厚い土器。縄目模様は付けてないけど。
まずは日陰で乾かす。どれくらい乾かせばいいんだろう?
通常は1週間程度、厚みがあるからもうちょっとかかるかな?
んー、失敗するかもしれないから、もうちょっと粘土持ってきて一度にたくさん焼いた方がいいかな?
とは思うものの、明日にしよう。明日に。
さっきからずっと気になって仕方がない。
レンコンが!




