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「ううう、重い……」
粘土、見つけました。やはり河原にあったので頑張って掘って、運んでいる。
途中で、ふと「あれ?別に河原で土器作ればよくね?」と思ったけれど、焼き始めたら夜を徹してとかなるから、河原で夜を明かすのはちょっとね?
ん?じゃあ、どこで夜を明かすんだ?
まだ寝る場所確保してないよ?
土器を作ってる場合じゃないのでは?まずは寝る場所……を何とかすべきだったのでは?
でも、器は大事。
せっかく作った片栗粉を入れるためにも。
干したハスの実を入れておくためにも。
どんぐりの粉を入れるためにも。
わらび餅風片栗粉餅を作るためにも。
食べることに重きを置きすぎてる気がしないでもない。
いや、大丈夫。今日は、粘土を運び、いくつか器の形を作る。日陰で干して水分抜く時間が必要だから、干している間に、寝る場所を考える。
それから食料の確保。さすがにハスの実とカタクリだけでは飽きてくる。粘土を運びながら、周りを見渡す。
何か食べる物ないかなぁ?
キョロキョロしながら歩いていたら、突然右側から突風が起こり左側によろめきたたらを踏む。
んん?
周りの木々が揺れていないということは、局地的突風。精霊の起こした風だ。
「何?」
右を見ると、スライムがいた。
「あ、あのまま歩いてたら接触して大変なことになってたね。ありがとう」
この世界のスライムは、動きは鈍い。ピョンピョン飛び跳ねて体当たりして攻撃したりはしない。
んー、動きとしては蝸牛っぽい?
通った後が溶けていくんだよね。体から酸でも出してるんじゃないかな?
もし、触れるとピリピリヒリヒリして炎症を起こすからすぐに洗い流さないといけないんだけど、そう都合よくどこにでも水があるわけではない。
森の中で触れると、火傷のようになってしまうことがある。
硫酸をかけられた時のように皮膚がすぐにただれるほどの強酸ではないけれど、もし踏んづけでもしたら液体が飛び散って目に入ると失明の危険もあるので、うっかり踏まないようにしないといけない。動きが遅いのと、ソフトボールくらいの大きさで見えるところを動くから踏むようなことはない。
エルフの村の周りの森で出る魔物は、このスライムとゴブリンとオークだ。
ゴブリンは皮膚が薄いためスライムに弱い。だからスライムがいる場所には近づかない。スライムが歩いた場所に残ったところを踏むだけで足の皮膚がやられるらしいから。
エルフは靴を履いているから平気だけど、ゴブリンには靴を履く知恵はない。
そして、オークはゴブリンを餌にしているから、ゴブリンがいるところによく出没する。エルフはそのオークを食料とするのだけど、風魔法の使い方が熟練したエルフなら難なく狩れる。だいたい150歳、人間でいうと15歳を超えれば男女ともゴブリンやオークなど敵ではない。
まだ魔法を自由に操れない子供のエルフや私みたいな魔法が使えない者は、スライムの出る森の中に入る。なので、普段は踏まないように足元に気を付けて歩いているのだけれど。
「食べられる物がないか探すあまり、足元がおろそかになってた……危ない危ない……」
スライムをじーっと見る。
ゆっくりゆっくり進んでいる。
進みながら溶かしたものを吸収して栄養にしているのだろう。
いうなれば、胃酸が体の外についているようなもの?
胃酸って無限じゃないよね?踏むと飛び散るってことは、お腹を押すと吐しゃ物が飛び出るみたいなもの?それとも胃酸が血液代わり?
血液だって無限じゃないよね?
スライムにだって「身」があるよね?
「どんな味だろう」
はっ!
びっくりして目を見開く。
私、何を口走ったの?
「なんでも溶かしちゃうスライムが食べられるはずないじゃないっ」
プルプルと頭を振って、粘土を抱えて、今度は足元に注意しながら池に向かう。
向かいながら頭の中に浮かんだのは、食用クラゲ。
食用クラゲの頭は透明でプルプルだ。
食用クラゲは毒がある。毒を除いて食べるのだ。
「やっぱり、何とか工夫したらスライムも食べられるんじゃないかなぁ?」
って、前世の記憶の日本人の意思が強すぎる!
本当、何で、何でも食べようとするんだろう!




