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少女は大宇宙で虹と歌う  作者: 羽生ルイ
第3部7章「HappyEndのその後で」セヴランス-双愚の惑星
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#7

 戦いの後、王妃を守った最大の殊勲者であるケンは、多数の批判に晒されることになった。


 人々が口々に述べる批判は大別すると2つの内容に集約された。


 まず1つは「王妃殿下を褒める前に、他の女を褒めるとは不敬である」というもの。

 もう1つは「公衆の面前で王妃を赤面させるとは不敬である」というもの。


 どちらの意見も、その後に続く言葉は同じだった。


「不敬を贖うためにも、ちゃんと責任を取るように」


 ニーアは公衆の面前で褒め倒されたショックで2日ほど寝込んでしまった。

 看病していたアンの口から、その寝顔はとても幸せそうであったと伝えられたことで、王宮内に王妃殿下は褒められてまんざらでもなかったと言う噂がまことしやかに流れた。


 そして、公務に復帰した王妃がその噂を耳にして、再び顔を真っ赤にして寝込んだのは……ある意味当然の結果だったと言えるだろう。




 それから幾年もの年月が流れた。


 セヴランス共和国(・・・・・・・・)の建国200周年記念館を訪れていた、ある旅行者が王室末期の物語を記した展示を熱心に観覧している。

 そこに記されていたのは、不遇の王妃を救い、次世代の王へと正義を継承した光の騎士の物語だ。


 長い物語を読み終えた旅行者は、その時代を象徴する3つの展示物に目をやった。


 1つは当時建造されたばかりだった玉座(スローン)の模型。

 スローン自体は既に退役しているが、今でも軌道ステーション脇に停泊され、希望者は内部を見学することが出来るようになっている。


 もう1つは王権の象徴たる王笏。

 これは王妃と、その息子であるセヴランス王国(・・・・・・・)最後の王が握ったとされる現物が展示されている。


 そして最後の1つは――


「おや、旅行者の方ですか?どうですかな、我が共和国の建国記は」

「はい、とても興味深く拝見させて戴きました。ところで、これは……」

「ああ、それですか。それは光の騎士様が身につけておられたもの。その後も代々我が国の正当なる統治者に受け継がれた光の鎧です」


 記念館の管理人らしき老人が笑顔でそう説明した先には、ベルトのバックルのようなものが飾られていた。


「これは、本物ですか?」

「いえ、本物は今も元首様が身につけておられます。我が共和国が正義によって統治されていることを象徴する、『王鎧』として」

「そうですか……」

「……ところでお嬢さん、あなたが身につけておられるそれは……」


 老人は旅行者――褐色肌の美女が、王の鎧と同型の、しかし色違いのバックルを身につけていることを指摘した。

 その女性はにっこり微笑むと言った。


「ワタシのこれは、女神の守護騎士であることの証です」


 彼女の答えに、老人は納得したような、それでいてどこか納得ができていないような微妙な表情を浮かべ、去って行った。


 彼女は遠い過去を思い起こしながら、展示されたフォトナイザーのコアアイテムに微笑みかける。


「あの熱血正義馬鹿、ちゃんと王妃様を笑顔にできたんだね」


 旅行者は、小さくそう呟くと静かにその場を歩み去った――

これにてセヴランス王国を巡る幕間「王者の鎧」は終了になります。


次章はトワ達が向かった惑星デモクラスでの任務のお話しになりますが、本編の更新は一度お休みさせて頂き、セヴランスでの王位継承問題と同時期にヒナが直面した新たな事件を「監察官ヒナ」にてお届けします。

監察官ヒナ

https://ncode.syosetu.com/n0208me/


本編の次回更新は9/22の18時を予定しております。


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