光族一の美女
「うっ、ぐおっ……!」
「どうしたスイン? 硬ぇぞ」
「お……思ったよりキツい……」
ライテストの大修練場で冒険者達と一緒に、光族の基礎特訓である柔軟を行っていた。
俺は今スインと背中を合わせて思いっきり背中を仰け反らせている。
「ほらスイン。根性見せろ」
「うおおっ……。確かにガクラさん達、体軟らけぇけど……こんな事よくやってたな」
「体が軟らけぇのは戦いに活かせるからな。まだまだ行くぞ」
スインの背を仰け反らせていると、エグラルに押してもらって前屈をしているブラークが唸りを上げる。
「ふんぐおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ブラーク、大丈夫か?」
「は、腹がキツい……。ダイエットすっかな」
「へっくしょん!!」
突然ユールがデケェくしゃみをしてちょっとビックリしながら振り向く。
「どうしたユール? 風邪か?」
「いや……この間の植物の世界から帰ってから、くしゃみが止まらないし、鼻水も出るんだ。目も痒いし」
くしゃみ……鼻水……目の痒み……。
「花粉症かよ」
「そう言えば、この時期プラヌトは花粉がよく飛ぶ時期だね」
「あ~。それで罹ったのか」
「そんなぁ~……へっくしょん!!」
花粉症かぁ。プラヌトの花粉症ってヤバいんだよな。普通のよりも何段階も。
やっぱユールだけじゃねぇ。ユールのパーティメンバーとマルナ達も花粉症に罹ってる。
俺は本来の姿になってるお陰で平気だが。
……少しくしゃみでうるせぇな。
「お、何だ何だ? 騒がしいと思ったらガクラ達か」
「ん? なんだピューケか」
俺達の元に来た女は、一つ結びした青髪に黄色い瞳。白い鎧を身に纏った中級戦士のピューケだ。
「珍しいな。お前一人って」
「仕方ないだろ。上級戦士の姉様は忙しいんだ」
ピューケの双子の姉、ティーラさんは上級戦士。
今の世の中、上級戦士はこれまでよりも行動が増えてるからな。
「そう言えばガクラさん。今一人でいるのが珍しいって言ってたけど、この人はその……ティーラって人とよく一緒にいるのか?」
「まぁ双子だからよく一緒に組んで任務に行くことがあるな。けど中級戦士のピューケに対してティーラさんは上級戦士。引き受ける任務が違うからな」
「そうなんだよ。あ~双子だと言うのに、こんなに姉様と実力の差があるのが悔しい」
「やっぱり、お姉さんに嫉妬しちゃうの? ……へっくしょ!!」
くしゃみしながらマルナが聞くと、ピューケは首を横に振る。
「いや……悔しいのは実力不足である自分にだ」
悔しそうな顔で拳を握るピューケの元にある人が近づく。
「そんなに悔しがる事は無いわピューケ。貴女ならすぐに私に追いつけるわよ」
「ね、姉様!?」
ピューケの後ろから肩に手を乗せて出てきたのは、今話題に出たティーラさんだ。
しなやかな長い青髪に、ツリ目気味のピューケと違い黄金の様な黄色い瞳の垂れ目。上は青いビキニの様な服。下はパレオの様に腰に青い布を巻いている露出の高めな服装をしている。
「な、何あの人? 何か……輝いて見えるんだけど」
「まぁ、流石は光族一の美女と言われてる人だからな」
「光族一……うわっ!?」
何かに驚いたマルナが声を上げて俺は振り向くと、ここにいる男冒険者達の殆どが、ティーラさんに見惚れていた。
俺と柔軟をしているスインでさえもボーっと固まってる。
「ちょっとソルラ! しっかりし……へっくし!!」
「………………っ!?」
マルナはくしゃみしながら固まってるソルラを揺らすと、ソルラはハッと気がついた。
「あれ? 何か、頭が真っ白になってた様な……」
「アンタ見惚れすぎ!!」
見惚れて固まってた男達を女達が戻すと、柔軟を終えた俺はある人物達の元へ足を進める。
「…………うおっ!? やべぇ、ボーっとしてた。……ん? ガクラさん、何処行くんだ?」
「ん? あ~、俺の先生……かな」




