世界による違い
「外観だけじゃなくて、中も随分変わってるな」
ノフアの船でテイモスに向かってる間、俺は随分変わった船内を見ていた。
「改良したからね。お陰で中も随分変わっちゃったよ」
「一体どんな改良をしたんだ?」
「それは秘密。見てからのお楽しみね」
オペナは口元に人差し指を立てて改良の内容を内緒にする。
「それにしても、まさか別の世界で魔物討伐をする羽目になるとはな」
床に座り込んで言うスインの言葉に同意した。
「しょうがねぇだろ、現れちまったんだから。だが考えてみろ。今回の任務は別の世界に現れたアスタラードの魔物討伐。考えようによっては、調査団と冒険者の仕事両方を一気に進められるぞ」
「まぁそうとも言える……か?」
俺も分かんねぇよ、自分で言っておいて。
すると今度は、壁に寄り掛かっているキルカが口を開いた。
「なぁ。あの映像を見て思ったんだが、映っていたファイアザウルスの目が紫に光って無かったか?」
キルカの言葉に何人も頷いた。
ノフアが見せた映像に映っていたファイアザウルスは確かに目が紫に光っていた。
何かしらの力の影響を受けてると見て間違いねぇだろ。
……まぁ何の影響かは大体分かるが。
「犠牲者が出る前に間に合えばいいんだけどな」
「でもそのテイモスって世界は魔物使いの世界なんだろ? なら大丈夫じゃね?」
「いや。テイモスの魔物使いはアスタラードの魔物使いと全然違ぇんだ」
アスタラードの魔物使いは相棒の魔物と一緒に戦うってスタイルだが、テイモスの魔物使いは魔物だけが戦って、魔物使いは指示するってスタイルだ。
「それにテイモスの魔物はアスタラードの魔物と比べて大人しいし小さいのが多い。大きくても二メートルぐらいだし、それよりも大きいのは滅多にいねぇからな」
「つまり、テイモスの魔物はアスタラードの魔物と比べて弱いって事か」
「ああ。だから動物に近いかもな。それにさっき言ったように人間は戦わねぇから、人間の方が圧倒的に弱い。それにテイモスには武器と呼べる物が無いんだよな」
「随分平和な世界なのね」
確かに平和だったな、アスタラードと比べると。
「皆。ワープの準備が出来たわ。これで一気にテイモスに行くわよ」
「よし。オペナ、頼んだよ」
「了解!」
オペナが操作盤を操作すると、船の船首から光が伸びて前方に穴が開き、船がその穴を潜ると、目の前にテイモスが浮かんでいる所まで一気に来て、船はテイモスに突入した。
次元の穴を通り抜けテイモスに入ると、そこはある町の上空だった。
「着いたのは良いがここは何処だ? 知ってる町だと良いんだ……が……」
俺は窓から外を見下ろすと目を見開き、続けて俺と同じように外を見るエスティー達も目を見開く。
窓から見えたのは、無数のアスタラードの魔物が町中で暴れ、人を襲っている悲惨な光景だった。
「これヤバいんじゃないか!? もうこの町制圧出来そうな程の数と勢いだぞ!?」
「ああ。急いで降り……っ!」
あのものを見た俺は急いで船内から出ると船から飛び降りた。
――――――――――――――――――――
「ガクラ!?」
烏の魔物、バットクロウに襲われそうになったサトルは、空から降ってきてバットクロウを倒したガクラを見て驚きを隠せなかった。
「よぉ、久しぶり。久々の再会を祝いてぇが、まずはコイツ等を片づけてからだ」
ガクラは大剣を取り出して手に持つと、空からクインワイバーンがガクラに向かって飛んできた。
(目が紫に光ってる。このバットクロウも光ってたな)
ガクラは大剣を構え、クインワイバーンに立ち向かおうとすると、船から飛び降りたガネンとクラカが剣を突き出しながら落ちてきてクインワイバーンの翼を貫き、クインワイバーンは地面に落ちた。
起き上がろうとするクインワイバーンの眉間を、同じく船から飛び降りたエスティーが両手の剣で突き刺し、クインワイバーンは倒れた。
「お前なぁ。勝手に一人で行くんじゃねぇ」
「ああ? ダチのピンチにジッとしてられるか!」
「ダチ? ……あ」
エスティーは近くで呆気に取られた様なサトルに気付き、「よっ」と左手を上げる。
「他の皆は?」
「まだ船だ。お前がさっさと行くからだろ。アスレル達はすぐに降りてくるだろうが、冒険者の皆は流石にあの高さは飛び降りられねぇよ」
「やべ。そうだった」
ガクラは町を見渡すと暴れる魔物の数にため息を吐いて頭を掻く。
「二級と三級だけか。それにこの数は面倒だな。早くアイツ等降りて来いよ」
「ならその間に魔物達を倒そうよ。この数は大変だもん」
「待ってる間にも人が襲われるからな」
「そうだな。サトル、お前は安全そうな場所に速く逃げろ」
「お、おお」
「ガネン、クラカ。サトルの護衛を頼む」
「ああ」「オッケー」
サトルの肩にサンダーラットが乗ると、ガネンとクラカと一緒に町の奥へ向かうのを見送ったガクラは首を回す。
「よっしゃ行くか!」
「おうっ!」
ガクラとエスティーは走りだし、町で魔物達へ向かった。




