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【〇イオハザード1】完全初見!絶対に叫ばない!!!【姫川ユリナ】

 その夜。19:00ちょうどに配信が始まった。


 姫川ユリナのチャンネルでは待機画面が流れ始める。


 ユリナのデフォルメキャラが右から左へ歩いている。

ゲームのロード画面を意識したのか、手の込んだ待機画面だ。


 今日の配信タイトルを見る。

『【完全初見】絶対に叫ばない【〇イオハザード】』


 今日はホラー配信のようだ。ユリナの配信をいつも追いかけているわけではないが、あまりしないタイプのゲームで、珍しいチョイスだった。


 待機画面が明ける。


 すると、表情が曇った姫川ユリナがいた。


「こんばんわ~」


《めっちゃ声に元気なくて草》

《顔色悪www》



「今日は、〇イオハザードをやっていこうかと思います。1です。完全初見です」


《ユリナ姫ホラーいけるんだっけ》


「えー、正直苦手です。

 けど、クールな私なら、スマートにホラーゲームを攻略できる…はず」


《絶対無理で草》

《ほんとに行ける?大丈夫?》


「覚えていってください。私の座右の銘は、本当に怖いのはゾンビじゃなくて人である。なので」


《座右の銘、聞いたことなくて草》

《まあ人怖も怖くはあるが》

《変な言葉作るのやめてね》




 オープニングトークもそこそこに、ゲームを開始する。


 〇イオ、ハザーーーード……


 特徴的なタイトルコールから、ゲームが始まる。


 このゲームは、洋館から脱出するゲームだ。

 プレイヤーキャラを二人の内から一人選ぶ。

 最初から銃を持っているシルと、最初はサバイバルナイフしかもっていない、グリスだ。


「これ、どっちがいいんですかね」


《グリスは罠www》

《まだゴリラじゃない頃のグリスやん》

《シル一択やね》


 小学生の頃に、プレイした時、サバイバルナイフしかない状態で、ゾンビに挑み、倒せずに積んだことを思い出した。


 そうなんだよな、グリスは罠なんだよな……。


「シルさんの方がおススメなんですね。じゃあシルさんでいきましょうか」


 よかった。コメントの指示に従ってくれた。


 キャラ選択後、すぐにムービーが入る。


 黒いサングラスをした、聞き覚えのあるCVのキャラが現れる。ゾンビと化した

 犬を次々と銃で屠っていく。ヴェスカーだ。


《頼りになる上司だなあ……》

《CVからして強キャラ》

《グラサン怪しい…、怪しくない?》


 初見と初見偽装コメントが見える。こういうのは、既プレイだとニヤニヤしてしまうところもあるが、初見実況の場合は、ほどほどにしてほしいものである。


 俺も初見実況の時は、コメントには気を付けないといけないかもしれない。


 ムービーが終わり、操作ができるようになった。

 ユリナは怖がりながらも、洋館の中を探索していた。

 その探索中、タイプライターを見つけた。


「あっ、知ってますよ。これでセーブするんですよね!」


 セーブをできると知って、声のトーンが少し高くなる。

 しかし。


「あれ……?」


 セーブができない。インクリボンが必要だとメッセージが流れる。


《あっ……》

《セーブは有限なんだよなあ》


「えっ、自由にセーブできないとかありえるの!?」


《めっちゃ驚いてるの草》

《ストレスフリーなゲームに慣れてると辛い仕様やね》


「はあ……、最近のゲームって親切なんですねえ」


 昔のゲームの仕様に驚きながらも気を取り直すユリナ。




 その後、しばらく探索すると、廊下の途中でムービーが入った。


 ゾンビの初登場シーンである。

 人を食っているゾンビが振り向くシーンは、今見ても結構怖い。


「わっ、わっ!」


 ユリナは見事にテンパっていた。ホラーは得意じゃないと言っていたが、本当だったようだ。


 ゆっくりと近づいてくるゾンビを迎撃しようと距離をとって銃を構えようとする。


 しかし、障壁となるのは、特徴的なカメラの視点と、ラジコン操作。慣れていないと、とっさの動作が難しいのである。


《慌てるユリナ姫がくそかわ》

《めっちゃ焦ってて草》

《慣れてないと操作ムズイんよなー》


 ゾンビにかまれながらも、何とか迎撃するユリナだったが、銃を無駄に消費してしまい、残りは数発となっていた。


 そんな時、持っていたスマートフォンに、通知が来た。


『夏目シホが配信を開始しました』


 予定通り、19:30。指定通りの時刻だった。


 俺にできることは、すべて終えた。


 あとは見守るだけだった。


 ユリナの配信と、お姉さんの配信。


 この二つの配信が、不名誉な蔑称なんて、吹き飛ばしてくれるはずだ。

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