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第104話 守る意思

 マネシスから作戦を聞いた2人はフラ付きながらも身体を無理やり動かした。


「乙羽、大丈夫?!」


「大丈夫なんだよ! マヌケこそ平気?」


「うん! 早く終わらせて皆で帰ろうね。」


「もちろんなんだよ!」


 2人はお互いに拳を突き合わせた後、別々の方向へ飛んで行く。


 乙羽は腰に据えた刀に手をかけ、光の速度で踏み込んで自由の女神の左手首を斬り付ける。そこに軽く亀裂が入った程度ではあったが、間髪入れずにマヌケがその亀裂に向けてバスターカノンを発射した。


 その亀裂から傷は大きくなり、やがて自由の女神の左手が魔法を発動していた本と共に落とされた。すると、自由の女神はそれを拾おうと右手のトーチを放り投げて、本を掴もうと手を伸ばし前屈みの姿勢へとなった。


 それを見越して地上で待ち構えていた乙羽が、今度は右手に向かって斬撃を繰り出そうとしていたが、それを察知した自由の女神は瞬時に手を止め、代わりに高速の蹴りを乙羽にへ向けて放った。踏み込みを行っていた乙羽は避けることも出来ずに、そのまま太い足で吹き飛ばされてしまう。


「乙羽ぁあ!」


 乙羽はもの凄い勢いで次々に建物に衝突しながら遠くまで飛ばされてしまった。すかさず自由の女神は左足でマヌケに向かって攻撃を仕掛けようとしていた。


 吹き飛ばされた乙羽は何とか身体を光の障壁で囲ってダメージを低減させていた。しかし、それでも自由の女神のダイナミックな蹴りはかなり大きなダメージを与えることになっていたはずだった。


 しかし、乙羽はそこまでのダメージを追っていない。それは自分の身体を前と後ろから優しく包み込むように抱き抱え、衝突のダメージを代わりに負ってくれていた人物がいたからだ。


 その人物は、自分が愛おしくてたまらない存在である桜夜の闇分身体だった。桜夜は龍魔と共に天使族の始末をしていた闇分身体を自分達を守る様にこの戦いに参加させようとしたのだ。それにより、乙羽が自由の女神に蹴られるその前に乙羽の身体の前と後ろに現れて代わりにガードし、乙羽の身体を守ったのだった。


――いくら闇分身体とはいえ、ダメージはあるって桜夜言ってたのに……いつもいつも守ってくれるんだから……。


 乙羽は今にもボロボロで消えそうな2人の闇分身体を優しく抱きしめて、「ありがとうだよ」と声をかけた。


 漆黒の霧へと返った闇分身体を見送り、乙羽はマヌケの元に急いで戻った。


 マヌケはボロボロになりながらも自由の女神に向けて砲撃や銃撃を繰り返し行っていた。乙羽はその隙に自由の女神が落とした魔法を発動する為の本を真っ二つに斬り裂いた。


 すると、斬られた本は緑色の光を放った後に消滅してしまったと同時に、自由の女神は動かなくなって停止してしまった。


「や、やったの?」


『えぇやりましたわ、お2人とも。やはりあの本がコアである魔動力の塊だったようです。よく耐えましたね。』


「私また桜夜に守られちゃったんだよぉ。」


「乙羽もなの?! 実はさっきアタシのところにも闇分身体の桜夜が現れて、一緒に戦ってくれたんだよ!? アタシの代わりに攻撃を受けちゃって消えちゃったんだけど……。」


「「本当にあの子は……あはは。」」


 乙羽とマヌケは改めて拳を合わせ、桜夜とアクシスのもとへ急いだ。



*****


――向こうは済んだみたいだね。さすが乙羽にマヌケ、やっぱり強いなぁ~。私なんか盾の役にしかならなかったよぉ。


「アンブちゃん? 向こうが気になるんだろうけどさ、私もそろそろヤバいから本気出さない?」


「うん。」


 私は神成モード状態で白い稲妻を纏った状態で、落雷の如く超高速で攻撃を繰り出した。クズ神も空間転移で私の動きに合わせるように同時に攻撃を仕掛ける。


 その攻撃を自身の身体と機械の触手を使いながら防いでいるが、こちらの動きの方が早いので、どんどん防ぎきれなくなっていく。


「えぇ~い! 鬱陶しいコバエですわね! まずはあなたから葬りましょう! デビルフォーム、開放。」


 AIマネシスは悪魔族の力であるデビルフォームを開放した。すると、禍々しい邪悪なオーラと共にマネシスの姿だった見た目や装束や声など、全く違ったものへと変化していった。


「ふぅ。まさかもうこの力を使うことになるなんてね。あの方がここにいらっしゃってから使うつもりだったのに。」


「見た目が変わってくれて良かったわ。あの姿だったからとても殺し辛かったけど、その姿なら本気で……ぶっ?!」


 会話をしていたアクシスはAIマネシスの拳を顔面に受けて吹き飛ばされてしまった。そして私の方を振り返ったので身構える。


「あなた、人間なのにおみそれしましたよ。あんな使えない絶滅間近のクズ女神に従うよりも我々悪魔に魂を売るのはどうですか? 求めるなら私の配下にしてあげますよ?」


「……」


「どうせこの地球は悪魔の食用として作ったものです。あなた達が家畜を育てるように、私達が人間を家畜して育てて食べるのです。人間は簡単に繁殖を繰り返しますから育てるのは楽でいいのですよ。」


「……」


「あなたも家畜は嫌でしょう? ただ、育てられて最終的には食べられるだけの人生なんて惨めではありませんか。」


「……引くわ~。」


「はっ?! ……ぐッ?!」


 喋っていたAIマネシスに向けて、アクシスから黒炎魔法が放たれた。一瞬の隙をついた攻撃により、避けることは叶わず両手で受け止める形になった。


「誰の許可を得て私の可愛いアンブちゃんを勧誘しているのかしら?」


――お前のものでもないけどね。


「そういう冷たい突っ込みを入れつつ、何だかんだで優しいのを知っているんだから! そういうところ好きよアンブちゃん」


――引くわ~お前に言われても全然嬉しくないんだけど。


「ちょっと私の扱いだけ酷すぎない?!」


《あなたの日頃のセクハラ行為が原因なのだからしょうがないわねアクシス。》


「だってだって! 3人が魅力的過ぎるのが悪いと思うの!」


「……うるさい……エロ。」



 こんな会話をしつつも、私達は戦闘態勢を整えていた。


「そう……残念だわ。それならまずはあなたを生きたままちょっとずつ食べてあげることにしましょうか。人間の踊り食い、楽しみですわ。」


 AIマネシスは、漆黒の霧を辺り一面に発生させた。それが肌に触れるとピリピリと焼けるような痛みが襲って来る。


「これは……アンブちゃん、ちょっと飛ぶわよ?」


 アクシスはそういうと私の手を取り、空間転移をしようとした。しかし、いつもの空間を移動する時のような感覚が全くなかった。


「そんな?!」


「うふふふ。無駄ですよ。この霧の中では神の力は無力です。」

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