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第102話 さよならじゃない

 程なくして、宇宙ステーションの準備が終わったとお母さんから連絡があった。しかし、どこに人口4万がいるのかと言われて非常に困った。私の異空間にいると言うわけにも行かなかったので、お母さんのボスであるアクシスの力も借りて、とある国の地下に大都市があってそこが滅亡してしまい、途方に暮れている4万人がいるという無理やりな設定を付けたのだ。


 当然お母さんは警戒心丸出しでマギにいろいろと確認を取っていたけど、マギがまた空気を読んでくれたので助かった。とりあえず、私達とその国の国王2人をそのステーションに連れて行ってほしいとお願いをした。

 ステーションに関しては、マギの監修の元に全自動で製造されているものだったので、一応お母さんが最終確認に行く予定だったとのことだ。その時に軽く説明もしたいということだったので、丁度いい。


 私達は早速、インチキとエドルドを異空間から出してお母さんへの挨拶を済ませ、うちの地下室にある小型のロケットから宇宙ステーションへと向かった。


 もちろん操縦もマギのオート制御にて難なく宇宙ステーションまで来ることができたのだ。


 無事にロケットはステーションへのドッキングを済ませ、その中へと足を踏み入れた私達は驚愕することとなる。


 そこは、ここが宇宙だということを忘れるくらいに、地球上と何も変わらず太陽の光が降り注ぎ、山も森も海すらも存在していた。その広さは丸まるあの星の王都が入るくらいの広さはあるだろう。これと同じものが後5つもあると言うのだからもう驚きを通り越して呆れるしかない。


 国王2人は華麗な土下座をお母さんにしたまま女神様と崇めまくっており、お母さんがタジタジになっていた。それからある程度このステーションの説明を受けながらお母さんの視察も無事に終了した。国王2人の意見も聞きながら、その都度マギで指示を出していた。


「これで施設内の事はいいとして、問題はどうやって4万人を移動させるかですわね……」


「そ、それは……」


 私はクズ神の脇腹を小突いて合図を出す。するとアクシスは隠れて端末を起動し、お母さんへとメッセージを飛ばした。


「ん? あら……うちのボスがあなた方4万人全ての移動手段を準備して下さっているらしいわ。……まぁうちのボスの事だから心配はないと思いますけど、お二人はそれでよろしいですか?」


「は、はい! 全く問題ございません!」


「……そうですか。それでは一旦、地球へ戻りましょう。」


 やはりお母さんは腑に落ちないような表情をしているが、それ以上の詮索はしないでいてくれた。そして私達は無事に地球へと戻ってきたのだ。


 お母さんと別れてログハウスに帰り、乙羽とマヌケや龍魔達は夕食の準備などをしてくれるというので、私はアクシスやインチキ、エドルドと一緒にまたさっきのステーションへ空間転移で戻り、すぐに異空間を開放して約4万人の人々をそのステーションの中に開放した。


 いきなり空間が変わって、他の場所へ現れたので、皆は驚いていたが、すぐに冷静さを取り戻していたようだ。


 そして、アクシスの能力である空間支配を発動し、声が全員へ届くようにした。


「みな、よく聞け! この場所こそが、我々に与えられた新たな生活の地である! 元の星と環境はほぼ同じであり、我々の脅威となる魔物や機械人はおらん! ここから我々の新しい時代を刻むのだ!」


「「おおぉぉ!」」


「ここでは魔動力ではなく「電気」という力が使われている。この星の建設主の計らいで、我々がすぐに寝泊まりできる施設もすでに完備されている。事前に決めていた通り、町長は特殊なデバイスからの指示のもと、皆を安全に誘導するのだ! 何か困ったことがあれば、そのデバイスに聞いてみよ。それに応えてくれるだろう。質問が無ければ、まずは東の国、リスリルの者から動き出せぇい!」


 各町長に渡したデバイスにはマギがアクセスできるようになっており、施設の案内や生活の仕方など、最低限のことを教えてくれるようになっていた。


 それでも最初はいろいろと問題があるかもしれないが、皆しっかり前を向いて歩いている。その顔は希望に満ち溢れており、何処か楽し気にも見て取れた。


「さて……あれ? アンブくんは?!」


「あんたねぇ、こんな目立つところにあの子がいるわけあいでしょ? おそらく……とっくに帰ってるわよ。」


「そうなの! アタチもちょっとの間、会えないかもしれないから最後にチューしようと思ってたのにどこにもいないの!」


「ほ、本当かい? 俺はきちんとお礼も言ってないと言うのに……」


「それは本心か? それとも戯言か?」


「……まぁ戯言だな。本当は気持ちを伝えようかと思っていたのさ。ははは。」


「……ごめん。」


「うわッ?! い、いたのかいアンブくん?! でも……速攻でフラれてしまったな。ははは、もちろん大丈夫だよ! でも俺は君が好きだという気持ちを伝えたかっただけなんだ。だからこれからも好きでいさせてはくれないかい?」


「……うん」


「そうか。ありがとう!」


 実は近くに隠れていて会話を全部聞いていた私。なんか姿を見せないことが悪いかなぁと思って、それに対してごめんって言ったつもりだったのに何かフってしまった流れになってしまった。


――まぁ付き合うつもりも無かったけど、なんかいろいろごめんよインチキ。


「うふふふ、お可哀想なこと……恋愛はまだまだお子ちゃまですねぇアンブちゃん。」


――うるさい、バカ。


 私はいたたまれなくなって、すぐにクズ神を連れて空間転移し、ログハウスへと戻ってきた。まぁ行こうと思えばすぐに行く事は出来るし、デバイスも持たせているのでいつでも連絡は取れるのだ。だから全然お別れ感もない。


「あ、お帰り桜夜にクズちゃん。」


「ただいまぁ~、美味しそうな匂いがするわねぇ!」


「うふふ、そうでしょう? ご飯にする? お風呂にする? それともわた……」


「ご飯」


「桜夜のいけずぅ~!」


 アヒル口で抗議してきた乙羽やマヌケとじゃれ合い、その後龍魔を含めた全員で楽しくご飯を食べ、楽しくお風呂でワチャワチャしていた。


 そして、ゆったり皆でお喋りしながらくつろいでいたところで急に事件は起きた。


「んなっ?! 何ということ……」


「ど、どうしたのクズちゃん?!」


「みんな大変よ……どうやったかは不明だけど、この地球にAIマネシスと大量の天使族が来ているわ。そしてたった今……アメリカが一瞬で落ちたわ」


「な、なんですって?!」


「それだけじゃないの……まだ少し遠いけど、この地球に向けて巨大な隕石がもの凄いスピードで迫っているわ。その中には大量の悪魔族がいるの。」


【隕石の到着予測、約6時間後になります。カウントダウンに入りました。AIマネシスは現在アメリカ合衆国を占拠し、自由の女神の上にいるようです。ボス、如何対処しましょう。】


「……服部家、及び光月家の者は直ちにアメリカ周辺へ急行、但しAIマネシスには絶対に手を出すな。周辺で天使族が動き出したら直ちに対処せよ。」


【御意】

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