第100話 最終決戦に向けて
猫カフェから家に帰ると、クズ神がソファに寝転びながら、テレビを見ていた。
「あ、お帰り~。遅かったじゃない! 退屈で死にそうだったわよぉ~。久々の学校で汗かいたでしょ?! 3人とも一緒にお風呂入りましょう!」
――アンタ私達を見る目がいつもいやらしいから、嫌。
「だってしょうがないじゃない! マヌケちゃんの細いのに出るところは出ている悩殺ボディも、ヘタレちゃんの究極にバランスの取れた眩しいくらいの黄金比なスタイルも、アンブちゃんの汚れを知らない純白なロリロリ体形も一般人が見たら鼻血ものよ?! もう想像しただけで……えへへへ。」
「クズちゃん、言ってることが完全にセクハラおやじなんだよぉ。」
「乙羽ってばクズちゃんって……一応神様なんだよ?」
「いやいやマヌケちゃん?! あなたも一応とか言ってる時点でだいぶ失礼だからね?!」
気が付けばマヌケも乙羽のことを本名で呼び出したことがなんか嬉しかった。
そんな状態でグダグダ皆が喋っている間に私は影を隠して、1人でお風呂に入る。一瞬で裸になった私が頭を洗っているとドカドカと3人が入ってくる。
――ヤバい……まだ頭洗い出したばかり……。
「えへえへ、アンブちゃん。今なら身動きできませんねぇ~私が身体を洗ってあげますからねぇ~」
そういって手にたくさんの泡を纏い、いやらしい手つきで身体を触ろうとしてくるアクシス。それから逃げようとするがシャンプーが目に垂れてきて目視が出来ず、身動きが取れない。しかし、気配を察知しながら手を出してガードの構えを取る。すると私の両手が何やらとても柔らかい物を掴んでしまった。2つとも大きさも柔らかさも弾力も違っており、その先端には何やら突起物が付いている。
「あんッ?!」
「ひゃんッ?!」
――うん?!
乙羽とマヌケが同時に変な声を上げる。
――一体何が起こってんの?!
「はぁ、はぁ、はぁ……美女の戯れ……美女の戯れ……ぐふぅっ?!」
とりあえず私はクズ神の声が聞こえた方に思いっきりアッパーブローをお見舞いしておいた。
そんなドタバタ入浴を終えた私達はマヌケが作ったご飯を皆で食べていた。
「ところでクズちゃん、AIマネシスの動きはまだ掴めないの?」
「アイツ自身の動きはまだ掴めないねぇ。結構な数の機械人をこの地球に送り込んでくらいかな。」
「え?! それ大丈夫なの?!」
「大丈夫だよぉ~服部家と光月家の者だけで今のところ対処出来てるしね~。ねぇマギ?」
《はい、ボス。》
――てかこの家にまでマギいたの?! ん? ボスって?
「あぁ~実はアンブちゃんの両親に裏で指示を出していたの、私なのよ。」
――はぁ?! じゃあアンタは世界に5人しかいない権力者で、それぞれが12人のスパイを使うっていう人達の1人なわけ?!
「それはあなた達の勝手な妄想だよぉ~。その権力者っていうのも私1人だし、スパイもアンブちゃんとヘタレちゃんの両親4人だけだよ?」
――まじかぁ……そりゃお父さんもしょっちゅう海外行くわけだわ。
「まぁね。でも今はアンブちゃんのお母さんが作ったマギのおかげで本当に助かってるよ。それまではこの地球上全てに感知能力を開放していて疲れていたからねぇ~あはは。」
話によると、地球に来てから人間の生末を眺めていることにしたアクシスは、人間にスパイ技術身に付けさせて、長年に渡り裏から指示を出していたらしい。それが私の服部家のご先祖と乙羽の光月家のご先祖だったそうだ。
この両家は大昔からずっとこのアクシスの指示の元、裏の仕事を行って来たことになる。そして、お母さんが服部家に嫁いでからというもの、現代日本の1歩も2歩も先をいっている技術を駆使してスーパーコンピューターであるマギを作り出し、何世紀も先になると思っていた人間が住める宇宙ステーションまで作り上げてしまったのだ。
まぁ、もともとは悪魔族が襲撃して来た時にどうしても対処できなくなった時の最終手段として、宇宙空間に人間を逃がす為に準備させていたものらしいが、そのおかげでインチキ達の住む場所が確保できたので、準備してもらっていて本当に良かったと思っている。
その代わり、もう地球の人間は逃げることができないので私達が絶対に守る必要があるのだ。
そして現在、AIマネシスからの刺客である機械人が世界各国に降り立っているが、それも服部家と光月家の者で今のところ対処出来ているとのことだ。両家には私達も知らない隠れた部下達が各国にいるらしく、それはなんと私達のクラスメイトの中にもいるらしいのだ。
因みに、このアクシスがスパイのボスだということは両親も知らない。マギは分かっているが、それは黙っていてほしいとアクシスがお願いしていたそうだ。
――アンタ空気まで読むのね……マギ。
《ボス、残り876秒後に8体の機械人が日本へ降り立ちます。分析によると、この敵は今までの機械人とは少し違うようです。如何いたしましょう。》
突然、マギが喋り出した。
「対処可能な人員は?」
《現段階で対処可能な人材は皆無です。よって、地上への被害予測は……全体の33%と予測されます。》
「う~ん、さすがに困ったわね。アクシスちゃん大ピンチ~! 誰か助けてくれる人は……」
デス「我らの主が呼ぶところ!」
ポチ「いつでもどこでも参上する!」
インコ「どんな指示も命令も!」
クモ「我らに出来ぬことはなし!」
コン「この忠実なる5つ刃がいざ参上!」
――……私まだ呼んでなかったけど?!
《まぁどうせ呼ぶかと思いましたので、もう事情を話して異空間を開いてあげましたよ。》
――流石はスマコ……仕事が早いわね。
《うふふふ。それはどうもありがとう。》
「ということで行くよ。」
「「「はッ!」」」
5人の龍魔やマヌケと乙羽は、私の桜のヘアピンで作った花びらの機械を付けているのでいつでも連絡を取ることも位置を確認することも可能だ。
因みに、私が装備している、変化服やスマートウォッチなどはマヌケと乙羽もお揃いでお母さんに作ってもらっていた。
私のスマートウォッチには神成ウラシスが、マヌケのスマートウォッチには神機マネシスが、乙羽のスマートウォッチには専用のAIがそれぞれ付いている。
しかも以前より画面も大きくなっており、ウラシスとマネシスの姿が立体映像のように浮かび上がるのだ。
――ていうかスマコ、アンタそんな可愛い姿だったの?! ……なんか許せん!
《あらあら、あなたにだけは言われたくないのだけれど?》
「はいはい、美少女同士で何言ってるのよ。その先13秒後に目標がいるわ、処分して。」
「マヌケちゃんはストップ、そこから射撃して? 座標はマネシスに送ってるわ。」
「了解です! 桜夜、寂しくない? 早く片付けて家に帰ろうね。」
「ヘタレちゃんはその位置で待機ね。上空から敵が来るわ。」
「了解なんだよ! 桜夜、早く帰ってイチャイチャするんだよぉ!」
「全く桜夜ちゃん……あなたいくら何でも好かれ過ぎよ?!」
――え~私に文句いうの?! 私悪くないよね?