第二十一話 成り行きでダンジョン攻略?場に流されたかもしれない問題です。
結局グダグダ・・・・
・・・・アニマ洞穴・・・・
ここは地下5階エリアまであり豊富な薬草、天然の石材、鉱石素材さらには生息するモンスターからも生産を効率化させる《促進剤》の材料が手に入る事があるため、初級~中級者には金銭的に効率のいい狩場といわれており人気があるのだ。
サチがクエストを受けこの洞穴に来たときも当然多数のプレイヤーが採取、採掘、レべリングを兼ねた討伐等それぞれの目的を持って訪れていた。
・・・アニマ洞穴地下2階エリア・・・・
サチはアニマ洞穴へつくなり目的の品物がある地下エリアへ歩を進めていた。地上エリアではTCOになれつつある初心者がPTをくんで食料品素材に有用できる飛行兎や猪等を次々と狩る姿が見られた。
地下1階エリアは地上と同じくPTが多く見られたが地上とはモンスターの種類が変わり
毒蜘蛛や毒蜥蜴、血吸い蝙蝠などのモンスターの大半が毒を持つがドロップする素材が有用性が高いものを狩っている様だった。掲示板や露店情報を見た限り異常耐性防具は出回っていない様なのでこのエリアで毒消しなりを露店で出せば売れるだろうな~と思いながら
サチは襲い掛かってくるモンスターを蹴り飛ばしつつ、地下2階へ急いだ。
ちなみに地下一階でもクエストに必要な秘薬草は集められるが、前述の通り毒攻撃が厄介なので、
大抵の人は地下1階ではなく地下2階より下へ移動して薬草の採取を行うのだ。
そういった理由で地下2階へ到着したサチは、エリア中央へある薬草の群生地である水場へ向かっているのだ。今まで述べていた中で気づいてもらえただろうか・・・?地上エリアでも地下1階でもここに狩りをしにきた人は全員PTであるにも関わらず今や有名人であるサチはたった一人でこのエリアに来ているのだ。
ここはPTで適正なだけであり、ソロの場合は難易度が跳ね上がるのだが、サチは特にそういったことを気にしていなかった。
サチの心情は「一人でこれないのが普通なら一人でこれる様に装備を作ればいいじゃない」と・・・。
復帰前にたくさん仕入れた素材を思う存分称号を含めて自重なく使うことにより、サチの装備は他のプレイヤーの性能とはかけ離れている。まずはもともと使っていたトンファーだがサチは手に持っているだけでほとんど使っていなかった為不要と判断し、トンファーをインゴット化し鉄鉱石の上位の鉱石素材 (このクロス洞穴で採掘できる)である真鉱石のインゴットを作り自分専用に爪、胸当て、脛当て、手甲を作り上げた。これらの装備をつけることによりサチはアニマ洞穴を探索する程度なら全く問題ないほどになっている。・・・・え?性能が知りたいですか?・・・しょうがないですねぇ・・ジャッジャーーン。、
『真鋼鉄爪:真鉱石と鉄を混ぜ込むことにより強度をあげた爪。腕力補正中。品質120』
『真鋼の胸当て:真鉱石と鉄を混ぜ込むことにより強度をあげた上半身鎧。耐久補正中、毒耐性大。品質120』
『真鋼の脛当て:真鉱石と鉄を混ぜ込むことにより強度をあげた脛当て。腕力補正中、敏捷補正中。品質120』
『真鋼の手甲:真鉱石と鉄を混ぜ込むことにより強度をあげた手甲。クリティカル補正中、オートガード小。品質120』
のほかにも特別ボーナスがついたのがこちら。
『セット品質一致ボーナス〈真鋼〉:同種材料で作られ品質が80以上を超え数値が一致した場合装備の能力が一段階上昇する。+魅力補正中』
過去を含めて品質一致ボーナスって言う情報は、掲示板にも上がっていなかったので、このテロップが表示された時は驚いたものです。もちろん情報をあげるか迷いましたが、自分専用装備では要らぬ反感を買ってしまうかも知れないと思い、品質85の鉄装備セットを証拠SSにして掲示板に提供しておきました。
『セット品質一致ボーナス〈鉄〉:同種材料で作られ品質が80以上を超え数値が一致した場合装備の性能が上昇する。上昇率小』
その装備セットの情報で買い取り希望用の掲示板が一時期荒れてしまったので、バザーで出品すると書き込むと25万Rで売れてました・・ビックリ。
話は戻ってアニマ洞穴2階の水場へやってきたサチは、男女4人でPTをくんだ人たちを見つけ、挨拶をした。
「こんにちは~、採取ですか?」
「あ・・いえ私達は地下5階のボスを目指しています。あのぅ間違ってたらすいません。貴女はあの有名なサチさん・・・です・・よね?」と4人の中の猫の獣人が聞いてきたのでサチはそうですと返すと4人のPTは口々に「うわさ以上だ・・」だの「うらやましぃ・・」だのといった反応が聞こえる・・・。
サチが苦笑しつつでは私は採取に行くので・・・とその場を辞そうとすると猫の獣人から待ったがかかってしまった。
「あ!!待ってくださいサチさん。お願いがあるんです。ボスを目標にここまできたんですが、もともと居た遊撃兼前衛の人たちが突然抜けてしまいましてどうするかここで立ち往生してたんです。
そこにそのぅ・・サチさんがいらしたのでボスまで一緒に行ってもらえないかお願いすることにしたんです・・けどダメでしょうか・・?」
「うーん。私ってLV低いから役に立たないとおもいますよ?」と聞くと4人はボスと戦うことが目的なのでそれでも構わないというので、サチは道すがら採取や採掘の手伝いをしてくれるなら・・という条件を出すが4人は喜んで受け入れてくれたので早速PTに誘ってもらう。
「あ・・すいません申しおくれました。私はLV19の格闘家ビャッコです。猫の獣人ですが名前については気にしないでくれると嬉しいです」
という自己紹介を皮切りにそれぞれ挨拶をしていく。他の3人はアレクLV18で象戦士のタンカー
ジオンLV19犬獣人の投擲、ミミルLV15栗鼠獣人の地属性魔術師というらしい。
「皆さん知っていらっしゃるとおもいますが私はサチLV10猫の格闘家です。皆さんよりかなりLVが低いですがよろしくお願いします。」
「え・・?猫・・ですか?」といいつつサチの尻尾の辺りを見るビャッコ。
「猫・・・ですよ?」と尾の辺りをビャッコの視線から隠す様に体の向きを変える。
なにかいいたげなビャッコだったがサチに下層への同行をお願いした立場である為か今はそれ以上踏み込むことはやめてこの先のブリーフィングを開始した。
ビャッコが言うには地下3階には植物系統のモンスターが数多く湧出しておりドロップアイテムに薬草系素材が落ちやすい事、続く地下4階ではアンデット系のモンスターが大半を占め、エリア内の採掘ポイントからは良質の鉱石が取れる事、最終地下5階にはボス部屋までの直線通路があり、採取、採掘両方のポイントがあるという説明を受けそれを聞いたサチはまだ見ぬ素材にウキウキ気分である。
一通りのレクチャーが終わり、水場から見える地下3階への階段へ向かって5人は歩き出した。
地下3階には聞いていた通りに植物系モンスターが多く殴ったり蹴ったりというのは効果がうすいと判断し
サチやビャッコはジオンの前方高くへモンスターと蹴り上げると、そこに打ち合わせどおりにジオンが投擲で仕留める・・という流れを繰り返した。すると見る見るうちに格闘家のLVが上昇していくのをホクホクと見ながら役割のしっかりしてるPTってすごく稼げるんだなぁとおもった。
地下4階に関してはサチとビャッコの独壇場だった。アンデット系モンスターの大半がスケルトンだったので打撃系の攻撃でどんどん破砕できるのだ。しかもこのスケルトンたちはポップの頻度が高く、ドロップアイテムが〈促進剤〉を作る為のアイテム〈骨髄〉を高頻度で落とす・・・(あ・・これは称号効果ですけどね)。ビャッコたちからしてもレアアイテム扱いのモノがポンポン落ちるので、切り上げよう・・などと言う案も出ずポップされたものをひたすら倒していくのを楽しんでいた。サチたちがスケルトンを倒しているうちに、ジオンとミミルが採取と採掘で資源堀をする・・といった事を繰り返すことでようやく地下5階への階段が現れたのだった。
「うっわぁ・・・大量大量・・・骨髄も含めてこれだけあれば装備全部変えてもおつりがくるね~」
うれしそうにミミルがいいビャッコたちも頷く。
サチもそうだねと返しながら戦闘で減った耐久力をポーションで癒していく。
そしてボス部屋前まで到着すると、ビャッコがボスについての説明をはじめるのだった・・。




