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冒険者の日常の日々  作者: りゅうけんたろう
第一章 下級下位
10/28

日常9

日常8までは取りあえず軽く見直しました。

おかしなところをいくつか修正しました。

 解放者の強化は言うなれば部分強化だ。

 殴る蹴る走る、すべて力を入れる部分のみに全力強化をしている。

 敵の攻撃を避け続けるとして、この強化だけで数時間持つ。その間に逃げるなり倒すなりするだろう。


 今、絞った状態で全身強化が数時間。部分的な全力強化を継続できるのは二十分程度だ。一般人なら一、二分で限界で、とてつもない疲労で体が動かなくなる。二十分も伸びたのは今までの訓練で体が強化に耐えられるようになったからだ。


 皿洗いでいまだに魔力を絞って全身強化をしているのは継続時間を伸ばし、強化に耐え続けられる体を作るためだ。できれば部分強化を三十分まで維持できるように強化したい。


 皿洗いは魔力を絞る練習にはちょうどいい。

 魔力を流しすぎてしまうと皿が割れてしまうので、かなりの集中力が必要になる。

 全身に魔力を流すし、どの部分にも均等に魔力を流し続けなければならない。

 少しでも気を緩めると、魔力が乱れてしまい変に力が入ってしまう。

 下手に皿を割ろうものなら、宿代が増えてしまう。

 生活が懸ると人間驚異の集中力を発揮するのだとしった。指に関しての魔力コントロールは解放者よりすごいのではと思う。


 これによってコントロールをうまく身に着けることができたのだ。

 今では乱れはほぼない。

 ちょっと気を抜いても僅かに乱れるだけで、無意識に乱れを修正するようになっていた。



 皿洗いが終わる頃には疲労度が限界まできていた。いくら魔力を絞っても負荷がかかっていることは代りないので体はガタガタだ。


 皿洗いが終われば店の余り物で夕食にありつける。

 主に食事は朝と夕方だけだ。昼はお金がないので森での移動中に木の実を食している。

 朝食はお金を払っているが夕食はタダだ。これは主人のドリーが作りすぎたといって恵んでくれるのだ。

 いつもわざと多く作ってくれている。冒険者は体が資本なのでとても助かっている。


 エリー曰く、皿洗いが終わると死にそうなぐらい疲れた顔をしているのを見て、心配して多く作っているそうだ。それを聞いてなんだか申し訳ない気持ちになったが、作ってもらえないのは困るので身体強化のことは黙っている。


 夕食をたらふく食べた後、アンナから桶と洗濯板と石鹼をかりる。

 部屋に戻り冒険で来ていた服を洗う。服は全部で三着しか持っていない。

 それをローテーションで来ている。ある程度しぼって、洗った服を窓際に掛けて乾かす。

 ポーチの中から今日使った布を取り出してそれも洗う。布はタンスに何枚かあるので新しいものと交換する。ウサギを入れた袋も念入りに洗い匂いを取る。


 机に置きっぱなしの砥石を取り、その隣に置いておいたナイフの汚れを落とし、砥石で丁寧に研いでいく。

 命を預ける物なので手入れは怠らない。もちろん、手斧も丁寧に研いでやる。

 自分の物じゃないが愛着がわいている。もう、長いことこの手斧をつかっている。

 駆け出しのころはナイフ一本で戦っていたが、攻撃力が低すぎた。

 魔物を探している時、警戒はしていても先に仕掛けれることがあった。

 そういったときにナイフでは致命傷を与えるのは難しかった。なんとか逃げ延びるので精一杯であった。

 そんな時に、朝薪割で使っていた手斧なら、もっとダメージを与えられるのではないかと考えた。

 それからは手斧を借りて狩に行くようになった。

 これで攻撃力は上がったが、それだけでは強くならなかった。なので色々、自分に制約を課した。

 麻痺毒袋は敵が複数の時のみ使う様にして、相手が一匹の時は自力で倒すことにした。

 何故なら戦いの経験を積まないと強くなれないからで、ある程度は一人で戦えないとやっていけないからだ。こういった経験のおかげで今では敵が複数がいても切り抜けられるようになった。



 なので、この手斧には思い入れが強い。

 いつか、剣を買ってお金が残っていたら買い取るつもりでいる。

 手斧の手入れが終わると、洗濯道具一式と手斧持ち裏庭の小屋に行く。手斧を使っているのは自分だけだが、やはり人の物を手元に置いておくのは悪いので、薪割台の近くに戻しておいた。


 洗濯道具を返して部屋に戻る。

 部屋に戻る前にドリーに挨拶をする。

 夜も遅くなると人も少なくなっていたが、何人かは残っていまだに飲み続けていた。

 エリーとアンナは朝もあるのでもう自分の部屋に戻っていた。

 今炊事場にいるのはドリーだけで、注文や片付けや明日の仕込みをしているのはバイトだった。


「どうだ、一杯。」


 ドリーが注いでいた酒を掲げる。

 この時間帯になるとドリーは飲みながら仕事をしている。

 大体が常連客で、その他がこの宿に泊まっているお客なので、特に文句を言うものはいない。

 むしろ一緒になって飲んで談笑している。

 働いているのは、ほとんどバイトだけのようだった。


「いや、いいです。明日もあるしそれに防具のメンテナンスもあるんで。」


「そうか。あまり気を詰めすぎるなよ。」


 どうやら今日も疲れた顔をして、ドリーに心配されたようだ。

 心のなかで謝りその場を離れた。


 部屋に戻り机に置いていた防具の点検とメンテナンスをする。

 盾も軽くふいておく。明日の朝返してまた借りなければならない。

 同じ盾をそのまま借りればいいのだが、盾は訓練所にたくさんあって壊れかけの物から仕入れたばかりのまだ新しものがある。運が良ければ新しい盾が借りられるので毎朝チェックしている。

 古いと強度に心配があるのと、壊れてしまえば買い取りになってしまうからだ。そんな金は持ち合わせていない。この盾はどちらかといえばかなり使い古されている。

 訓練所の盾は消耗品として扱われているので、メンテナンスは年に一回で、その時古い盾は一気に処分され新しいのが入ってくる。正直いらないなら欲しいのだが、冒険者としては自分の盾も買えないなど恥でしかない。盾を借りるのは駆け出しだけなのだ。一年たっても駆け出しから抜け出せないでいる。



 あまりの虚しさにため息が出た。




 メンテナンスを終えた防具を机に置く。

 盾は机のそばに立てかけておいた。


 疲労と満腹感で今にも眠ってしまいそうだが、寝る前に柔軟をしておく。

 柔軟をするとしないとでは、明日の筋肉痛と疲労度が全然違う。

 丁寧に体をほぐしていく。


 柔軟をした後は足をもみほぐしていく。毎日、長時間歩くので足の疲労度は体のどこよりも大きい。

 足に疲れが残れば次の日の仕事がきつくなる。


 全身をほぐし終わると、体があったまっていた。

 ちょうどいいので、この気持ち良い状態で寝ることにする。


 電気を消し、上着を脱いでズボンだけの恰好で布団に入る。

 ここの気候は今の時期は少し熱いので、この格好で寝るとよく眠れるのだ。


 明日は残りの魔石と薬草の採取で仕事は終わりだ。



 その後は訓練所に行こうか、本を読もうかどうしょうかな。



 微睡の中でそんなことを考えていたら、いつの間にか眠っていた。


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