ネバー・ゲーム ーファイナルー
ネバー・ジゴクは恐ろしいところだ。
太陽の光はなく、真っ暗闇でいかにも地獄といったところだ。
「今度の伝説の武器はなんだ?」
「この伝説の紙だ」
もうどんなのでもいい。
どうせ特殊な力を持っているんだから安心だ。
ここはギルドもなければ、セーブポイントすらもない。
生きるか死ぬかの瀬戸際だ。
なにせ、魔王にたどり着いたのは俺がはじめたなんだから仕方ない。
ほどなくして、魔王の城についた俺たちを待ちうけていたのは、なんと管理人ルシア。
「よう、待っていたのかルシア」
ルシアはうなずくだけで、城の中へと案内してくれた。
ようやく魔王の間についたときルシアは怪しく笑いだした。
「ククク、私の城へようこそ」
俺は不気味な雰囲気にゾクゾクと背筋が凍る。
ルシア本人が魔王だったのだ。
正体を現したのは、ルシアの事実の父でミツルギという男だ。
「あいにく娘は他界しいてね。娘が作った、このSNSで知り合った危ない男に殺されたんだよ。だから私はネバー・ゲームで、ネット依存している人間をおびき寄せて殺しているんだ!」
単なる復讐心から生まれた、戦闘型・ネットワーキング・サービス、ネバー・ゲームは釣りサイトにすぎなかった。
俺もそうだった。
ネットに熱中しすぎて、時々危ない妄想もすることもある。
だからといって復讐していいわけがない。
ルシアが作りたかったのは安心・安全なSNSのはずだ。
「おっさん、間違ってんよ。ルシアは復讐なんざ望んでいない。むしろ安心してできるSNSを目指したかったはずだ」
俺がそういったとき、エミルを中心とした同行人が一斉に向かってきた。
どうやらすべての同行人がSNSの犠牲者らしい。
「こいつらは私の同士たちだ。魂がそうさせる」
もはや伝説の武器も通用しない状況だ。
しかしエミルだけは、なんとなく違っていた気がした。
だからきっと伝説の武器をいろいろ渡してくれたんだと思う。
伝説のグローブで防御しつつ、伝説の燃える竹刀で応戦するが同行人たちは倒れてもすぐに立ち上がる。
それはこの世の未練を晴らそうとする霊魂のように、だ。
輪ゴム鉄砲も使うが意味はなかった。
「お兄ちゃん……」
ルシアの声が聞こえた。
そのとき伝説の紙から浮きでてきた文字に気づく。
そこに書いてあったのは、たぶんルシアの思い。
「これを見ろ、ルシアは言っている」
俺は其の紙に書かれていたことを読み上げた。
「パパやめて。復讐なんかしてほしくない」
「それは何度もきいたセリフだ。お前らが勝手に言ってるだけだろう!」
何を言ってもムダなのかミツルギは復讐の鬼になっている。
伝説の紙を俺は、燃える竹刀で焼き払った。
「しかたねぇ、倒す!」
俺はの全身は怒りの炎で燃えさかる。
次々と迫ってくる同行人を倒しながら、魔王ミツルギに向かっていき竹刀で頭を叩く。
「メーン!」
ミツルギは泡を吹いて倒れた。
その瞬間エミルたち同行人は目が覚めた様子で、ルシアの姿もそこにあった。
「あれ、ルシア?」
「おめでとう。魔王は倒されました。あなたはゲームクリアを果たしました。よって新たな魔王になってもらいます」
はぁ――?
何なのこれ?
あれ、ルシアは殺されたんでは?
「あ、そうそう。クライマックスいい話だったでしょう。私が考えたシナリオです」
ルシアとエミルが笑っていた。
シ・ナ・リ・オ?
はぁ――?
怒りがふつふつこみ上げてきた。
「お前ら、ふざけんなー!」
「おしまい、おしまい」
ルシアが拍手しながら上手く締めくくった。
戦闘型・ネットワーキング・サービス -ネバー・ゲーム- (完)
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