第百九十八話 父として
いつもお読みいただきありがとうございます!
ついに迎えた皇帝との謁見。
威厳ある帝国の頂点と、ユウトたちはどのような言葉を交わすのでしょうか。
それでは、第198話をお楽しみください!
謁見の間に静寂が満ちる。
玉座に腰掛ける皇帝は、ゆっくりとユウトたちへ視線を向けた。
「面を上げよ」
低く落ち着いた声。
その一言だけで場の空気が引き締まる。
ユウトたちは顔を上げた。
「そなたらがルシアンを助けてくれた冒険者たちか」
「はい!」
ユウトは元気よく返事をする。
その様子に、皇帝はわずかに口元を緩めた。
「そう固くなる必要はない」
「我が息子を助けてくれた恩人だ。まずは礼を言わせてもらおう」
そう言うと皇帝は立ち上がり、深々と頭を下げた。
その場にいた近衛兵たちが一斉に息を呑む。
「へ、陛下!」
「お、おい! 皇帝が頭下げてるぞ!」
ユウトは慌てふためく。
「主、落ち着くっす!」
「おいアニキ、こんな時はどんな顔したらいいんだ?」
シエルを除く3人とも慌てふためいていた。
「いやいや! 頭上げてください!」
「当然のことをしたまでだ」
皇帝は穏やかに微笑んだ。
「親として、息子を救ってくれた者へ感謝を伝えるのは当然だ」
その言葉に、ルシアンは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「父上……」
ユウトも思わず笑みを返した。
(……いい人じゃん)
先ほど感じた違和感が、少しだけ気のせいだったように思えてくる。
「冒険者ユウトよ」
「帝国へは何用で訪れた?」
ユウトはグランツから託された紹介状を差し出した。
「古代文字について教えてもらえる人を探していて……」
皇帝は紹介状へ目を通す。
「……ほう」
「グランツ殿の紹介か」
その名を聞き、皇帝はどこか懐かしそうに目を細めた。
「彼とは昔、魔術についてよく意見を交わしたものだ」
「相変わらず達者にしておるようだな」
そう言って微笑む皇帝の姿は、とても昨日今日で国を乱すような人物には見えなかった。
だからこそ。
ユウトの胸に残る違和感だけが、静かに引っ掛かり続けていた。
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は皇帝との初めての謁見をお届けしました。
ルシアンの父として、そして一国を治める皇帝としての姿を少しでも感じていただけたなら嬉しいです。
一方で、ユウトが抱いた小さな違和感もまだ胸の奥に残ったまま……。
この先、その違和感がどのような真実へ繋がっていくのか、ぜひ楽しみにお待ちください!
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それでは、また次回お会いしましょう!




