0週・生理開始(28日周期)-2
以前のものを推敲したものと差し替えました。
よろしくお願いします。
翌朝リビングでは起きた者から順に朝食を済ませていった。
「おはよう」
先にテーブルについていた美千歌に声をかけてから、私は向かい合うかたちで座った。
「お姉ちゃん」
テーブルを挟んで目の前にいる美千歌が話しかけてきた。
「ん?なに?」
「あのさ……ちょっとそこの私のスマホ取ってくれない?」
「目の前にあるじゃない。まったく横着ねぇ……」
身を乗り出し、美千歌の近くに置かれたスマホを取り手渡した。
「いくら妊婦だからって横着しすぎなんじゃ……」
そう言いながら、テーブルの上に朝食として用意されていたカットフルーツをつまみ、美千歌のほうに目をやった。
「もしもし?あ、陣痛きちゃってるみたいなんで、いまからそっちいきまーす」
「んぐっ?!」
あまりの急展開に私は口の中のオレンジを丸飲みしてしまった。
キッチンで目玉焼きを焼いていたお母さんも目を丸くしていた。
一瞬にしてその場の空気が凍りつき、緊張が走った。
「ちょっ!え?なんて?陣痛?!美千歌、アンタ陣痛?!」
「昨日の晩からちょっとおかしい気がしてたんだけど……いま五分間隔くらいかなぁ?」
「五分?!えらく落ち着いてるけど、え?!五分?!大丈夫なの?!ていうか大丈夫じゃないよね?!」
「大丈夫大丈夫……とはいっても三人目だからね~。病院まで待つかな~?ここで産まれちゃったりして~ははは」
「えっっ?!」
その場にいた全員の血の気が引いた。
「くっ、車!おっ、理くん!車!車出して!」
「おっ、理さん!いっ、急いで!できるだけ早く!」
「急ぎすぎてあんまり揺れると出ちゃうかも〜」
「いやぁぁあ!」
いまにも産んでしまいそうな本人以外は取り乱していた。
理くんの運転で、急いで、かつ揺れないように、慎重に、美千歌を病院へと運んだ。
美千歌は三人目ということもあって、手際よく自分で陣痛の合間に入院の手続きを済ませ、すぐに分娩室に入っていった。
陣痛はすでに三分間隔を切っていた。
「理くん、博之さんに連絡は?」
「いまお義母さんが電話してくれてる!」
美千歌の夫の博之さんは、仕事の都合で今回誕生日会を欠席していたのだった。
「三〇分くらいで着くって」
電話を終えたお母さんが戻ってきた。
「俺が産んだときはもっと陣痛が辛くなってから産まれたように思うけどなぁ」
夢は由くんたちと家で留守番していたのでこんな話をしているが、実はまだ夢に本当のことは話せていない。
「しっ!!理くん!どこで誰が聞いてるかわかんないのよ!もしこのことがバレたらっ……」
「それよりも、博之さん、間に合うかしらねぇ?」
お母さんが呑気につぶやいていた。
「……どうかなぁ」
「……経産婦だし」
「……もう産まれたりして」
「ぁんにゃ~!」
「「「あ、間に合わなかった」」」
三人の声がそろった。