0週・生理開始(28日周期)-3
ずいぶんと間があいてしまいました(笑)
以前更新した分は推敲したものと差し替えましたので、よければ最初から読み返していただけたら幸いです(^O^)/
それからほどなくして博之さんが到着したので、私たちは美千歌の病室に通してもらった。
「いや〜、驚くほどの安産だったね〜」
美千歌は産んだばかりの体を横たえて、他人事のように笑っていた。
「なに呑気に笑ってんの!こっちは気が気じゃなかったんだからね!」
産まれたのは美千歌待望の女の子だった。
「名前は誰がなんと言おうと『理紗』ちゃんだからね!」
命名に関しては有無を言わせぬ勢いで、鬼気迫るものがあった。
「美千歌の好きなようにすればいいよ」
博之さんは気の強い美千歌とは正反対で、とても穏やかな人だったので、いい意味で尻に敷かれていた。
「それにしてもびっくりするほどの安産だったわね~」
「三人目だしね~。今回は楽だったわ~。これならあと何人でも産めそう」
「この少子化のご時世になんとも頼もしい限りねぇ」
お気楽な美千歌に少し呆れて拍子抜けしてしまうくらいだった。
「そういうお姉ちゃんはどうなのよ。もう四〇でしょ?」
「う、うっさいわねぇ!ほっといてくれる?!それにまだ三九ですぅ!」
痛いところを突かれて、つい声を荒らげてしまった。
私だって産みたくないわけじゃないし、夢にも弟か妹ががいたら……。そう思わないでもない。
けれどももうすぐ四〇歳。完全に高齢出産。初産だし、それにまた流産してしまったら……。そう考えると踏み出せない。
「そうは言ってもお姉ちゃんさぁ、どんどん歳取ってくんだからね?特に女にはタイムリミットがあるんだからさぁ……」
「……」
そこへお父さんと由くん、お義父さん、お義母さんが甥っ子たちと夢を連れて到着した。
「ママ~。妹みてきたよ~。かわいいね~」
「ね~!」
新生児室で眠っている理紗ちゃんをガラス越しにみてきた甥っ子たちが美千歌の周りにまとわりついた。
「圭太、優太、妹はね、『理紗』ちゃんっていうのよ」
「りさちゃん?」
「りさちゃーん!」
ふたりは大喜びで妹の名前を叫んだ。
「……」
ふと夢に目をやると、さっきからなにやら考え込んでいて、ずっと押し黙っている。
「どうしたの?」
「どうした?夢?」
理くんとふたりで夢の顔を覗き込んだ。
ゆっくりと夢が口を開いた。
「あのね?パパ、ママ、ゆめね、ほしいものがあるの」
「おっ!プレゼント、なにがいいか決まったか?なにがいい?」
「ゆめ……」
「ん?なにが欲しい?」
夢が私たちの顔をじっとみつめて叫んだ。
「ゆめね、おたんじょうびのプレゼントにいもうとがほしいの!」
「えっっっ?!」
その場にいた全員が凍りついた。
「……えっと、それは、その……」
「妹って言っても、ねぇ?!」
なんと言ったらいいかわからず、みんな口ごもってしまった。
「そんなに簡単には……」
「ゆめ、いもうとがイイの!ぜったいにいもうとがほしいの!だってパパもママも、なんでもイイっていったじゃない!!ゆめをうんでくれたみたいに、いもうと、うんでよぉ!」
いつもだったら、こんなに駄々をこねたり大人を困らせるようなことは絶対にしない子なのに……。
夢の言葉を聞いて困ってしまった。
「あのね、夢……、そんな急には無理……」
うんと言わない私たちの顔を見回して、夢は目にいっぱいの涙を溜めていた。
「そんなの、わかってるよ……。でも……、でも……。パパとママのうそつきっっ!」
夢は病室を飛び出してしまった。
「夢っっ!」
理くんと私が追いかけようとすると、それを由くんが止めた。
「俺に任せて!」
そう言って由くんは夢のあとを追いかけていった。




