「名だけの妻でいてくれ」と、広間も竪琴も『触れるな』と閉ざされたので、子らの稽古に開けました——もう戻せませんわ
【嫁いだ日・広間の扉】
「名だけの妻でいてくれ。奥方の披露はしない」
婚礼衣装を脱ぐより先に、コンラートはそう告げた。燭台の炎が揺れても、向かいに立つ男の声には陰影ひとつ差さなかった。
「承知いたしました」
ダフネの声も、窓辺の埃ひとつ動かさなかった。
「暮らしに不自由はさせない。客の前では必要な礼を尽くしてもらうが、それ以上を求めるつもりはない。君も私に求めないでもらいたい」
相談の形に整えられてはいたが、返事を差し挟む場所はなかった。コンラートは廊下へ出ると、館の奥にある両開きの扉の前で足を止めた。
「それから、ここへは入らないように」
扉は黒ずんだ金具で閉ざされていた。継ぎ目に沿って積もった灰色の筋は、朝ごとに廊下を掃く者もそこだけは避けていることを示していた。
「先代の奥方が使っていた広間だ。亡くなってから開けていない」
「なぜ、わたくしに?」
「館の女主人が使う部屋だと思われているからだ。君が勝手に開けば、古くからいる者が余計な期待をする」
鍵が回った。コンラートは中へ入らず、扉を人ひとりぶんだけ開けた。
細い光の中に椅子の背が並び、その向こうに一張の竪琴があった。布も掛けられず、柱にも弦にも同じ厚さで埃が積もっている。
「触れないでくれ。今のまま残しておく」
ダフネが半歩近づくと、コンラートの指が扉を引いた。光は竪琴の柱から細く削られ、最後には弦の一本だけに残った。
その弦は、わずかにたわんでいた。張られている形だけを保ち、鳴らされることをとうに数のうちから外されている。
扉が閉じた。コンラートは鍵を抜き、ダフネには渡さなかった。
「部屋は用意させてある。必要なものがあれば家令に言うといい」
「あなたに申し上げることは?」
「急ぎなら聞こう」
彼はすでに歩き出していた。ダフネは閉じた扉に手を触れず、その前を通り過ぎた。
用意された居室には、花も、炉の薪も、手入れの行き届いた家具もあった。どれにも不足はなく、どれにも彼女の手を要する箇所はなかった。
翌朝から、館の者は彼女を奥方さまと呼んだ。呼びかけたあとは皆、次に何を頼めばよいのか見つけられず、きれいに頭を下げて去っていった。
* * *
【ひと月後・廊下】
同じ廊下の板が、今日も同じ間で鳴った。
きしり、二つ置いて、きしり。歩いているにしては進まず、立ち止まっているにしては行儀が悪い。
ダフネが角を曲がると、小さな靴が閉ざされた広間の前で止まった。従士の娘のイゾルデは両手を背に隠し、扉を見たまま、右足の爪先だけを動かしていた。
きしり、二つ置いて、きしり。
「何をしているのです」
爪先が床へ貼りついた。
「何もしておりません、奥方さま」
「そう。では、この廊下はひとりで拍子を取るのですね」
イゾルデは口を結び、靴の先を裾で隠した。それでも二つぶん待ったところで、踵がわずかに浮いた。
「以前は、ここから音がしたと聞きました」
「誰から?」
「父たちです。夕方になると、仕事の手を止めても叱られなかった、と」
扉の向こうからは何も聞こえない。イゾルデはその何もないところへ、教わったはずの拍子を足していた。
「鍵は?」
「存じません」
答えが早すぎた。ダフネが見下ろすと、イゾルデは背に隠した右手をさらに深く左の袖へ押し込んだ。
「落ちていました」
「どこに」
「鍵を掛けてあるところの下に」
小さな手から差し出された鍵には、新しい擦り傷があった。何度か錠へ入れようとして、向きを違えた傷だった。
ダフネはそれを受け取った。返しに行くとも、扉を開けるとも言わず、ただ錠へ差し込んだ。
ひと月前と同じ空気が、細く開いた隙間から流れ出た。古い木と布と、火の入らない部屋の匂いがした。
「ここで待っていらっしゃい」
「奥方さまは?」
「落ちていた鍵が合うか確かめます」
広間の床には、敷居の内側へ続く靴跡はなかった。ダフネはその先へ足を置き、窓を覆う布を一枚だけ引いた。
光の中で埃が舞った。竪琴は婚礼の日と同じ場所にあり、同じように黙っていた。
ダフネは袖口の布で最も細い弦を拭った。白い筋が一本現れ、その両側に埃が寄った。
指で弾く前に、彼女は弦へ耳を寄せた。爪の先でごく軽く押し、戻ってくる震えを待つ。
かすかな音は途中で潰れた。隣の弦も、その隣も、張りを失いかけている。
扉の外で、板が一度だけ鳴った。
「入ってはいけないと言いました」
「入っておりません」
イゾルデの靴の先だけが敷居から覗いていた。本人はたしかに廊下に残っているらしい。
ダフネは埃をもう一本拭った。今度は少し強く弾くと、痩せた音が広間を渡り、閉じた窓に触れて消えた。
敷居の向こうで、右足が同じ拍子を拾った。
「まだ弾けますか」
「今のままでは、長くは」
「直せますか」
ダフネは返事をせず、弦へもう一度耳を寄せた。指先へ戻る震えは細く、まだ途切れてはいなかった。
* * *
【春・広間】
春の風が廊下を通るころ、広間の扉は両方とも開いた。
イゾルデは敷居の手前で足を揃え、その後ろにいる子らも一列になって止まった。誰も押していないのに、列の後ろだけが伸びたり縮んだりした。
「本当に、入ってよいのですか」
「使わないと決めた部屋なら、空き部屋でしょう」
ダフネは窓を覆っていた最後の布を外した。埃が日の中へ立ち上り、子らは揃って鼻を押さえた。
広間には椅子が多すぎた。ダフネは壁際へ寄せ、竪琴を囲めるぶんだけ残した。
子らはまだ動かなかった。イゾルデが扉の金具を一度見てから、先頭のまま靴を踏み入れた。
その一歩に続いて、板が次々に鳴った。閉じていた広間の床は、急に与えられた数の足を受け止めかねるように、あちこちで声を上げた。
竪琴の埃を拭うのには三日かかった。木肌を出す者、椅子を運ぶ者、窓を開ける者に分かれたが、弦だけはダフネが扱った。
「触ってはいけませんか」
イゾルデの指が、最も低い弦の手前で止まっていた。
「まだ、です」
ダフネは一本ずつ張りを確かめた。先代の奥方の指に合わせた高さを、館で知る者はいない。残っているのは、長く緩んだ弦と、これから触れる子らの手だけだった。
彼女はイゾルデの手を取らず、掌を上へ向けるよう言った。伸ばした指の長さを見て、椅子を竪琴へ半歩近づける。
「小指まで届かせようとしてはいけません。届く音から始めましょう」
「でも、全部使わないと曲にならないのでは」
「一本で曲にはなりません。けれど、一本を無理に伸ばせば、明日はその一本も鳴らせません」
ダフネはイゾルデの指が届く位置に合わせ、中央の弦の張りを変えた。硬く戻そうとする糸巻きを少しずつ動かし、短く弾いては耳を寄せる。
音が細い震えから丸い響きへ変わると、後ろの子が息を吸った。つられて別の子も吸い、広間の空気が一度に膨らんだ。
「弾いてごらんなさい」
イゾルデの人差し指は弦に触れたまま、動かなかった。肩だけが先に上がり、息が喉の奥で止まっている。
「外したら、先代の奥方に聞こえますか」
「さあ」
ダフネは答えを足さず、自分で一音鳴らした。窓から入った風が響きを運び、並んだ椅子の間を抜けた。
「音は、聴いてくださる方へ向きますのよ」
イゾルデは後ろを見た。子らは椅子の端へ座り、誰も口を開かずに待っている。
人差し指が弦を押し、離した。最初の音は隣の弦に触れて濁ったが、二つの響きはどちらも床へ落ちず、広間の奥まで届いた。
「もう一度」
今度は肩が上がらなかった。イゾルデは弦ではなく、正面に座る子らの顔を見て指を動かした。
* * *
【夏・夕べの広間】
最初の夕べ、子らは椅子へ座るだけで何度も膝をぶつけた。
弾く者が息を吸う前に次の者が音を出し、止まるところでは全員が違う長さで止まった。イゾルデだけは扉の外で刻んでいた拍子を足に残し、床を鳴らさないよう靴の中で爪先を動かしていた。
「急ぐと、次の音が前の音を追い出します」
ダフネが指を上げると、ばらばらの音が止まった。最後まで残った低い弦の震えに耳を寄せ、消える寸前で手を下ろす。
「今です」
子らが弾いた。二人は同時に入り、一人は遅れ、イゾルデは遅れた子の息に合わせて自分の指を待たせた。
廊下を通りかかった従士が、開いた扉の脇で足を止めた。革帯を締め直していた手をそのままに、曲とも呼べない四つの音を最後まで聴いた。
子らは気づかなかった。ダフネは見ていたが、知らせなかった。
次の音では従士が二人になった。さらに次では、磨き布を持った者が廊下の柱へ寄り、仕事へ戻る合図を誰からも受け取らないまま立っていた。
「そこは、わたしです」
一人が遅れた箇所で、イゾルデが手を上げた。
「誰が間違えたかではなく、どの息が合わなかったかを聞きます」
子らは互いの顔を見た。もう一度始めると、今度は弾く前に横の肩が上がるのを待った。
短い一節が終わったとき、廊下の者たちは手を叩かなかった。余計な音を足さず、竪琴の響きがなくなるまで立っていた。
それから、夕べごとに音が流れた。開いた窓を越えて中庭へ届く日もあれば、雨音に押し戻され、広間の中だけに留まる日もあった。
椅子を置く場所は少しずつ変わった。子らの手が届く弦も増え、最初は扉の脇にいた従士たちが、やがて壁際の椅子へ腰を下ろした。
イゾルデは演奏が終わるたび、最後まで残って布を畳んだ。ある日、竪琴を覆わずにおくと聞くと、畳んだ布の角を何度も揃え直した。
「奥方さまが叱られませんか」
「誰に」
「旦那さまにです。入ってはいけないお部屋だったのでしょう」
「扉を開いたのは、わたくしです」
「でも、わたしたちも弾きました」
ダフネは布をイゾルデの手から取り、戸棚へ収めた。空いた両手に、翌日の譜を渡す。
「あなた方が受け取るのは、こちらだけです」
イゾルデは譜とダフネを見比べた。口はまだ何かを言う形をしていたが、やがて椅子へ戻り、明日弾く箇所へ指を置いた。
廊下では従士たちが、もう手を止める理由を探さなくなっていた。夕べの鐘が鳴ると、仕事を区切り、広間へ向かう足音がひとつずつ増えた。
* * *
【秋の初め・当主の書斎】
「客を迎えることになった」
コンラートは書面から目を上げずに言った。机の前にはダフネ、その後ろには竪琴を運んできた子らが並んでいた。
「奥方の披露を開こうと思う。広間を戻してくれるだろう」
命じるところだけを、彼は頼む形へ包んだ。返事を待つ前に、机上の予定を指でなぞる。
「椅子は以前の並びへ。子どもたちの稽古は別の部屋で続ければいい。竪琴も客に見せられる張りへ戻しておいてほしい」
「以前の張りをご存じなのですか」
コンラートの指が止まった。
「先代のころの形に整えればよい。古くからいる者なら覚えているだろう」
「弾いた方ではなく、見ていた方の記憶で?」
「そこまで厳密でなくていい。客が見るのは家が保っているものだ」
形さえ保っておけば、家は保つ。広間も妻も、飾りは飾りのままでいい——。
コンラートはようやく顔を上げた。子らが竪琴の脚を支えていることには触れず、ダフネだけへ薄い笑みを向けた。
「君が弾けるとは知らなかった。ちょうどよかったではないか。妻として客の前へ出る機会にもなる」
ダフネは竪琴の前へ膝をついた。最も高い弦を軽く弾き、返る震えへ耳を寄せる。
次に中央の弦を確かめると、イゾルデの手を見た。春より指が開くようになっていたが、元の張りにすれば、まだ小指が届かない。
「奥方」
コンラートの声が一段低くなった。
ダフネは立ち上がり、竪琴を子らの側へ向けた。イゾルデが柱を受け取り、ほかの子らが脚を持つ。
「広間を戻せと言ったはずだ」
「音は、聴いてくださる方へ向きますのよ」
彼女は初めて、夫を正面から見た。
「披露? この広間は十年、あなたの言い訳を飾っていただけですわ」
机の上で、予定を書いた紙の端がわずかに浮いた。コンラートの指はそれを押さえたまま、次の命令を選べなかった。
ダフネは子らへ顎を引いた。書斎の扉が開き、竪琴は小さな手に囲まれて廊下へ出ていった。
「ダフネ」
婚礼の日以来、彼が彼女の名を呼んだのは初めてだった。ダフネは振り返らず、竪琴の脚が敷居に当たらないよう、子らの歩幅だけを見ていた。
* * *
【同じ夜・広間】
広間の椅子は、もう以前の並びには戻らなかった。
大人が正面を向いて座る列は崩され、竪琴を囲む半円になっていた。前の脚が床に残した跡は薄く、その上を子らの靴が何度も往復し、板だけが明るく磨かれている。
コンラートは扉の内側で立ち止まった。子らは彼へ礼をしたが、椅子を運び直す者はいなかった。
ダフネはイゾルデの右手を見て、中央の弦を一つ低くした。隣の子には左側を譲らせ、短い指で届く三音を任せる。
「旦那さまがいらしています」
イゾルデが声を落とした。
「聞こえています。始めましょう」
「でも」
「最初の息を」
イゾルデは竪琴へ向き直った。子らが肩を揃え、一人目が吸い、その息の終わりで最初の音が鳴った。
コンラートは何かを言いかけた。だが、杖の先が廊下で一度鳴り、白髪の男が扉に姿を見せると、その言葉を引っ込めた。
ザハリアスは誰にも案内を求めず、壁際の椅子へ座った。先代の奥方とこの広間で演奏した男だと、従士たちが場所を空けた。
一人の子が音を外した。指を離しかけたところで、イゾルデが足だけで拍子を示す。
外れた音の次に、待っていた音が重なった。曲は止まらず、短い節を終えた。
ザハリアスは杖を両膝の間に立て、手を重ねたまま聴いていた。子らが次の節を始めても、古い弾き方を教えず、先代の名を口にして音を止めることもしなかった。
最後の弦が静まってから、彼は竪琴の張りを見た。次に子らの指を見て、杖をついて立ち上がる。
「音は生きている者の方を向く。よい弔いだ」
従士たちは頭を下げなかった。代わりに、ザハリアスと同じように竪琴を見た。
ダフネは最も細い弦へ耳を寄せた。子らが続けて弾いたため、弾き始める前よりわずかに張りが落ちている。
彼女が糸巻きへ手を伸ばすと、イゾルデが灯りを近づけた。別の子が譜を押さえ、もう一人が椅子を寄せる。
コンラートの前を、誰も塞いではいなかった。竪琴までの道も、妻までの道も開いていた。
それでも彼は、半円の外側から一歩も入らなかった。
* * *
【冬・夕べの広間】
冬には、夕べの集いの日だけ広間の炉へ早く火が入るようになった。
子らは冷えた指を炉端で温めてから椅子へ座り、ダフネに言われる前に互いの手の届く弦を確かめた。イゾルデは一曲を通して弾くため、毎夕、ほかの子らが帰ったあとも最初の四音を繰り返した。
客を迎えた夜、コンラートは正面の椅子を自分の隣に空けさせていた。ダフネが妻として座り、求められれば竪琴を披露するための席だった。
だが、客はその椅子を見なかった。広間へ入ると、壁際に立つ従士たちにならい、半円の外へ静かに席を足した。
「奥方の演奏は、いつ始まるのです」
そう尋ねた客へコンラートが予定を告げようとしたとき、別の客が口を挟んだ。
「子どもたちの演奏は、夕べの鐘のあとでしょうか」
従士が扉の外を確かめた。鐘の一打目が鳴ると、広間に残っていた話し声が止まった。
子らが入ってきた。ダフネは列の後ろを歩き、正面の空席へは向かわず、竪琴の脇に置かれた低い椅子へ座った。
最初の子が弾き、次の子が息を継いだ。夏には廊下で立ち止まっていた従士たちが、今は客へ合図するまでもなく、最後の響きまで杯へ手を伸ばさなかった。
一節が終わると、ザハリアスが杖をついて立った。客ではなく、子らとダフネの方へ顔を向ける。
「先代はよい後継ぎを持った」
ダフネは答えなかった。イゾルデの小指が次に使う弦へ届いていないのを見て、椅子を指一本ぶん前へ動かした。
コンラートの隣の席は、最後まで空いていた。
客が炉端へ移ったあと、彼は広間の柱の陰でダフネを呼び止めた。以前より低い声だったが、頼み方だけは同じ形をしていた。
「やり直そう」
子らが椅子を片づける音が、二人の間を通った。
「今度は、きちんと奥方として扱う。披露も開けばいい。君が望むなら、稽古を続けても構わない」
ダフネは弦を拭っていた布を畳んだ。角を一度だけ合わせ、竪琴の柱へ掛ける。
「名だけではなくする、と?」
「ああ。客の前にも私の隣にも、君の場所を用意する」
彼女は空いたままの正面席を見た。すぐそばでは、イゾルデが譜を胸に抱き、自分の番を待っている。
「その場所は、もう要りません」
「では、何が要る」
「次の曲を始める時間です」
ダフネは彼の脇を通り、低い椅子へ戻った。コンラートは追わず、正面席の背に手を置いたが、そこへ座る者は来なかった。
イゾルデが竪琴の前へ座った。春には弦に触れたまま動かなかった人差し指を、今は最初の音へ迷わず置く。
「奥方さま」
呼んでから、イゾルデは言い直した。
「ダフネ先生。始めてもよろしいですか」
ダフネは弦へ耳を寄せた。子らの指に合わせた張りは、冬の乾いた空気の中でも揃っている。
「どうぞ」
扉の外で従士が、遅れて来た者へ声を落とした。
「静かに。ダフネさまの稽古の仕上げだ」
イゾルデの足が一度だけ拍子を取った。扉の外で鳴らしていたころと同じ間を置き、最初の音が広間へ放たれる。
途中で指が浅く触れ、音が細くなった。イゾルデは止めず、次の息を待って弾き直した。
一つの節が次の節へ渡り、春には届かなかった弦まで音が上がった。子らも従士たちも、客も、手を動かさなかった。
曲は最後まで途切れなかった。
イゾルデの指が弦を離れても、ダフネはすぐに合図を出さなかった。広間の梁に残った響きが、開いた扉へ向かい、廊下の奥へほどけていく。
その音が消えるまで、誰も席を立たなかった。
今度の静けさは、空ではなかった。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
「悪くなかったな」と思われたら、★や感想を残していってもらえると、とても励みになります。
作者ページには他の短編も並んでいます。よろしければどうぞ。




